レッドアーカイブ   作:フルール・ド・ガリア

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初めてましての方は初めまして。
以前拙作をお読み頂いた方はお久しぶりです。
えっと。はい
まず前作なのですが…少し展開に行き詰まってしまいまして。少し寝かせていたらいつのまにかこんな時間が過ぎてしまいました。

今回は投稿が続くよう尽力いたしますので、どうかお楽しみください


Day 1 イレギュラー

今日も私は仕事を果たした。大した仕事でもない、酷くつまらない小悪党を打ちのめすだけ。

その帰りに。ブラックマーケットの中央駅、似合わぬほど精巧な作りをしている大型モニターに映し出されていたあるニュースを見た

『連邦生徒会長の信任を得た大人、現る』

 

——連邦生徒会長。

つい数ヶ月前に忽然と姿をくらまし、全学園による決死の捜索も虚しく消えた女。

そして

 

私を唯一、引き抜いた者

 

経緯はすでに忘れた。忘れたかったからかもしれない。

私は彼女に惹かれていたのかもしれない

 

彼女が消えてブラックマーケットは、今までに比を見ない速度で経済成長を果たした。圧倒的な権力とカリスマを持った人が消える。それは権力だけでなく、治安維持の空白も生み出した。

違法な薬物などの重大な連邦犯罪から、抗争といったこの世界では軽犯罪に当たるものが等しく、そして全学園の治安維持組織の管轄能力を遥かに超えるスピードで増加。

 

ブラックマーケットは犯罪の後押しをし、実行に携わり続け。

得た利益を元手に学園世界の裏組織へ支援を拡大。

そしてまた利益を還元し、支援を継続。

 

終わらない循環によりブラックマーケットの生活水準は多く引き上がった。

中央駅だって、罪のない一般人の涙の上にできたものだ

 

私は、彼女の意思を継ぐわけでもなんでもないが、そんな空間が嫌になってただ武器を振り続けた。

カイザー。ゲヘナの不良集団。マーケットガード。

全てを粉砕し、私の通った場所には等しく赤い霧とオイルが垂れ、燃え盛った。

 

『赤い霧』の名はまたしてもブラックマーケットに轟いた。

私の姿を見れば、カイザーの武力組織ですら足を止める。

私が動けば、力弱き勢力は瞬く間に壊滅した。

装甲列車は“ランプ*1”によって粉々に砕かれ、ロボットは“懺悔*2”により潰された

 

しかし。

ブラックマーケットに、結局前向きな変化は訪れなかった。

犯罪数は増え続け、より悪質なモノに変わり、発展は続いた

 

連邦生徒会長なら、なんとかなったのだろうか。

彼女が認めた大人なら、どうにかなるのだろうか。

 

「赤い霧、で合ってるか」

「ああ、そうだ。何の用だ?」

「うちの弟分を叩きのめしたそうじゃねえか」

「今日の朝のあいつらの親分ってとこか。自業自得だろ」

「…いくら相手が赤い霧だからってんで。ここで止まればあいつらが報われねえんだ」

 

駅のモニターを眺めながら考え事をしていると、大柄な、顔に傷跡の残るロボットと、数人の女が私にショットガンを突きつけてきていた。

 

私は虚空より、赤い刀身と幾つかの目がついた大剣…「ミミック」を取り出し、一撃でロボのショットガンを切り捨てる。

刀より肉の蠢く音と小さな声が聞こえ、少しもしない間に銃の先端がカランと落ちる音がする

 

「けっ、これで終わると思うか?」

「いいや」

 

ロボットは手を斧状に変形させ、私に向け振り下ろす。

そして子分共はショットガンを、躊躇なしに乱射し私の回避ルートを潰している。

 

振り下ろされる刹那、一足強く踏み込むと私はロボットの懐へ滑り込んだ。

人間であれば脇腹に当たる部位へ、思い切りミミックを深々と突き立て、

全ての力を持ってミミックごと壁へ叩きつけた

 

「お前らの頭はもう鎮圧した。逃げるなら今のうちだ」

「に、逃げてたまるか!進めぇ!」

「素手の私に勝てると思うか」

 

ショットガンとナイフを持ち私へ突撃してくるが、お粗末だ

1人の腕を思い切りにぎり、床に叩きつけ無力化。あと2人は…ちょうどいい、あれを使うか。久しぶりだ

 

手には黄金の光が宿り、少しして黄金のグローブ…“黄金狂”がはめ込まれる。

 

「少しは本気でも出してみるか」

 

黄金狂の一撃を思い切り目の前にいる少女の腹に当てると、鈍い音と共に壁へ相方と共に打ち付けられた。

 

「鎮圧完了、臨時業務は終わりだ」

 

ロボットに突き刺さっているミミックを抜き取り虚空へしまうと、連邦生徒会の制服姿の数人が通りかかったのが見える。

 

「連邦生徒会?」

“…君は”

前に立っていた大人が口を開いて、それを補足するように連邦生徒会の生徒が話す。

「先生、彼女は敵ではありません。お久しぶりですね、[CENSORED]」

「…」

 

強い耳鳴りがした。

彼女は今、なんと言ったんだ。

私に向けて、何か言ったのは間違いがない。

しかしノイズでかき消され、内容が理解できない

 

“[CENSORED]、[CENSORED]って言うんだ。よろしく”

「…赤い霧とでも呼べ。その方が慣れてるんだ」

「私は貴女と関わりがありませんでしたが、確か貴女は…」

「今はいい。貴様の名前はなんだ」

“私は…うん。先生だよ。つい先日ここにやってきたんだ”

 

先ほどのニュースは、数日前のことを映し出していたようだ。

ここらしい、変な情報統制なのだろうな。

 

「そうか。ここでは生ぬるい優しさなんざ通用しない。気をつけることだな」

“あはは…手厳しいね。もしよければなんだけど”

“ここの案内、お願いしてもいいかな?”

 

そして私は——

*1
ロボトミーコーポレーション世界の武器。「O-02-40」より抽出される巨大なハンマー

*2
同じくロボトミーコーポレーション世界の武器。「O-03-03」より抽出されるメイス




ロボトミー用語解説
E.G.O:幻想体(アブノーマリティー)より取り出せる武器や装備のこと。使う際は幻想体の自我を被せることになる。正式名称はE.G.O(Extermination of Geometrical Organ)。和訳で幾何学的器官の根絶
幻想体(アブノーマリティ):現代科学では説明不能な未知の怪物のこと。project moon作品に於いて敵にあたる存在に近い。
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