ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!? 作:ざいざる嬢
感想とお気に入りと高評価が来るたびに私の中のタービンが回り続けています。
学園の授業でダンジョンに挑むことになった私たち一年生。
いくつかのグループに分かれてダンジョンで冒険者としての経験を積むという授業があった。
ここホルファート王国の王侯貴族は元を辿れば冒険者で、ご先祖様が成した偉業、そしてその苦労を知るために普通クラス、上級クラス関係なく男女全員が一度は冒険者登録を行いダンジョンに挑むのが慣例ということらしい。
私は既に冒険者登録を済ませ、ある程度の経験を積んでいる。それを見込んでかアンジェリカさんに彼女が参加するグループに参加して欲しいという頼みごとをされた。
アンジェリカさんのいるグループというだけあって他のグループのメンバーも名立たる面々で、宮廷貴族の跡取りたちに加えその取り巻きの高位貴族たち……と平民にとっては中々肩身の狭いグループに護衛を兼ねて参加することになった。
その中にアンジェリカさんの婚約者であるユリウス殿下もいらっしゃるらしい。更に言えばクラリス先輩の婚約者であるジルク・フィア・マーモリア辺子爵令息も。
そんな話をしたとクラリス先輩にアンジェリカさんとの場を用意してくれたお礼の場で報告したところ、クラリス先輩の顔が曇った。どうしたんだろう?
「……ねえジータ、その……ジルクの噂って聞いてる?」
「噂ですか? いいえ、私の耳には特にはそういった事は……」
「そう……それならいいのだけど」
そういえば未だにマーモリア子爵令息……ジルクさんには会ったことがない。エアバイクのレース場にいれば会えると思っていたけど、ここしばらくは姿も見せていないようだった。
宮廷貴族出身と言うし、忙しいのだろうか?
「ジータ、ひとつ頼まれ事をして欲しいのだけど……」
「クラリス先輩には日頃お世話になっているので出来る限りのことはしますよ!」
「それなら……貴女の参加するグループにはジルクも参加しているはずなの。そこで彼がどんな風だったかとか、どんな人と交流を持っていたかを私に教えてくれないかしら?」
「そんなことでしたらお安い御用ですよ! 私もひとりのエアバイカーとしてジルクさんとは一度お話してみたいなと思っていたんで」
と、こんな感じで安請け合いしたのだけど、これが後にクラリス先輩を変えてしまう出来事になるとは私は思いもしていなかった……。
そしていよいよダンジョンに来た私はオリヴィアさん──リビアと合流した。
「わあ……ジータの装備、すごく似合ってますね!」
「ありがとうリビア。そう言ってもらえると嬉しいよ」
リビアからの誉め言葉に思わずにやけてしまう。
ジータちゃんは実際可愛い。これはこの世の真理である。
そして今私が装備しているのは支給されている冒険者装備ではなく、私がファーさんに用意してもらった装備──グラブルリリンクでお馴染みのリベリオンジャケットだ。
ジータちゃんといえばファイターの衣装がメジャーだけど、折角ジータちゃんに転生したのだから色んな装備を着てみたい!という私の熱いオファーにファーさんが応えてくれたのだ。
私に絵心があってよかった。この通り完璧に再現してくれている。文句なしの出来栄えだ。
もちろん、他のジョブ装備も要望通り一通り揃えてくれている。もう至れり尽くせりでファーさんには頭が上がらないね……ありがとう。愛してんぜ。
「そうだ!ジータに紹介したい人がいるんです!」
「紹介したい人?もしかして彼氏でも出来たの?」
「ち、違いますよもう! 前話したリオンさんですよ!」
「リオンって……バルトファルト男爵か!」
どうやら彼も同じグループに配属されたみたいだ。何たる奇遇か。
……いや、奇遇ではないか。多分、リビア伝いにアンジェリカさんからこのグループに参加するように頼まれたのだろう。私みたいに。
私もバルトファルト男爵も冒険で功績を上げたから、その実力を買われてのことだと思う。
「リオンさん、紹介します。彼女が同じ特待生のジータです!」
いよいよご対面……バルトファルト男爵は他の一般生徒と同じ冒険者装備を着た一般的な男子生徒だった。目立たないけど一皮剥けば化ける……そんな印象を私は抱いた。
それと腰に下げている武器……あれは刀かな?珍しいな、師匠と私以外で持っている人を初めて見たな。
「特待生のジータです! バルトファルト男爵の冒険譚を聞いて、一度お会いしたいと思っていたんです!」
まずは挨拶をして、親睦を深めよう。
実際、同年代で私以上の冒険をして男爵位を賜るほどの成果を持ち帰った人だ。どんな冒険をしたのか是非とも話を聞きたい。
それと、もしかしたら騎空団に入ってくれる人かもしれない……なんて期待を込めて、仲良くしておきたい。もし気が合って結婚相手に悩んでいるようならクラリス先輩に紹介してもいいかもしれない。
そんな打算も込めつつバルトファルト男爵の顔を見ると……あれ?なんでそんな『どうして俺に会いに来たんだ』的な顔をしているんだろう?
「は、はじめましてジータさん。あ、オリヴィアさんの友人なら俺のことはリオンって呼んでもらって構わないよ」
「そうですか?では私のこともジータとお呼びください!」
どこか棒読みに言葉が聞こえるバルトファルト男爵──リオンさんと握手を交わした。
……緊張してるのかな?それともこのジータちゃんが可愛すぎて『おっふ』してるのかな?
「ところで……その腰に下げているのは刀ですか?」
「!! ああ、そうだよ。よく分かったね」
「私も使えるんですけど、他に使っている人を初めて見たんでつい気になって。 曲剣にしては刀身が細めに見えましたから」
「えっと……その刀って剣とは違うんですか?」
リビアが不思議そうに聞いて来るけど、刀を知らなければ剣との違いなんて分からないよね。
大衆的に見れば斬れるんだから両方同じじゃないの?て感じだろうし。
「そうだね、リオンさんよろしければその刀を一度お借りしても?」
「あ、ああ、構わないよ」
リオンさんから刀を受け取り鞘から抜き出す。
誰が造ったのかは分からないけど従来の刀とは違って鍔の部分は西洋剣と一緒なのは、ここがグラブルの世界だからなのかな?
まあそんなこと一々気にしていても仕方ない。グラブルの刀の中にはどう見たって大剣*1にしか見えない物もあるけどカテゴリとしては刀だし、なんかもうそういうものだと思って受け入れた方が早い。
「ほら、剣と違って反りがあって片方にしか刃がついていないのが特徴で、刀身と刃の境目にあるこの模様が刃文っていうんだ」
「へぇ……確かに剣とは違いますね」
「でしょ? で、普通の剣と何が違うのかって言うと、剣よりも斬ることに優れているのが刀って覚えておけばいいよ。実践すると……」
魔法で適当な的を二つ作ってからそれぞれを剣と刀で斬ってみせる。
「ほら、切り口を見てみて。剣で斬ったのに比べて刀で斬った方が切り口が鮮やかでしょ?」
「わあ、本当ですね……剣に比べて斬ったところがすごく綺麗です。それに断面も心なしかツルツルしてますね」
「そう、だから剣よりも刀の方が斬ることに特化してるって言ったんだ。 ただ、刀は繊細で手入れも剣に比べて難しいからあまり見ないんじゃないかな。
ただ、刀によってさっき言った刃文が違うし観賞用としても美術品としても価値があるものがあるって聞いたことがあるよ」
剣と刀をそれぞれ鞘に戻して、刀はそのままリオンさんに返却する。
なんだかリオンさんも目を丸くしていた気がするけど気のせいかな?
「……興味深いことを話しているようだな」
と、後ろから声を掛けられたので振り返るとそこには青い髪と瞳に眼鏡をかけた男子生徒の姿が。
「……いきなりすまない、私はクリス・フィア・アークライトという」
アニメだとリオンが使ってるのルクシオン製の剣ですけど、原作だと刀なんですよね。
予定ではジルクと絡ませるつもりがクリスが先に出てしまった。