ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!? 作:ざいざる嬢
決闘まではサクサク書きたいので許して……。
書きたい展開が決闘後に集まっているから……。
「君たちの話が気になってしまってつい声をかけてしまった。確か特待生だったか……?」
「はい、私とリビアは特待生で間違いありませんね。それと、この刀の持ち主のリオン・フォウ・バルトファルト男爵です」
クリス・フィア・アークライト。宮廷貴族の後取り息子でホルファート王国において剣の腕前で登り詰めた家系だったかな?
剣聖の座を抱くアークライト伯爵の息子で、彼も若くして剣豪(EXジョブにあらず)の座に着くほどの剣の腕前だという。
確かに軽装に剣一本を腰に差しているスタイルはまさに剣士というのを体現している。
「お前が例の成り上がりか。それにその刀とやら……なるほど、それなりに実力はあるみたいだな」
「っそ、そうですかね〜?」
なんでリオンさんはそんなに下手に出てるんだろうか?
あんな冒険を成し遂げたんだからもっと堂々として冒険譚を話して自慢してもいいと思うんだけど。
「それと君に聞きたいことがあるんだが……名前は?」
「私はジータと言います、アークライト様。こちらが同じ特待生のオリヴィアです」
「ど、どうもはじめまして。オリヴィアといいます」
「そうか、ああ私もクリスと呼んでもらって構わない。 それよりジータ、君に聞きたいことがある。その剣はどこで習ったんだ?剣と刀……どちらも見事なものだった。剣豪の私でさえ思わず見惚れてしまうほどに。だからこそ、君に剣を教えた相手に興味がある」
なるほど、クリスさんは剣豪ではあるけど剣聖ではない。その座に就いているのは父親だから父親を乗り越えるキッカケが欲しいんじゃないだろうか?
なら私でも協力でき……るかな?
「そうですね……最初は通信教育で剣とか魔法を学んでいたんですけど」
「つ、通信教育?」
「ええ。私の住んでいる島は田舎も田舎なのでそういうのを教えてくれる人がいなかったので、通信教育を。届いた本を参考に剣の型とか魔法の基礎を学んで、それからお父さんとお母さんが師匠を紹介してくれたんです。それから冒険に出るまでの十年間みっちり鍛えてもらいました」
「じゅ、十年もですか!? ジータはそんな努力をしていたんですね……」
「まあね。でも叶えたい夢があったから、妥協はしたくなかったんだよね」
この果てしない蒼い空を旅するには強さと知識が必要だった……それら全てを授けてくれた師匠には感謝しかない。長生きしてくれよな。死んでも死ななそうだけど。十年間一緒にいたけど年を取るそぶりが見られなかったけど。
「師匠……それはどんな人物なんだい?場合によっては私もその人からご教授いただきたいのだが……」
「実は名前と素性は知らないんですよね。聞いてもそれとなくその話題を躱しちゃったので……ただそれなりにお年を召した老婆ではありましたよ」
「老婆ってあの『受け継がれる意思』のか……!?」
ん?リオンさんが何やら口にしたような気が……。残念ながら聞き取れなかったな。
「そうか……名のある方だと思ったのだが、素性を隠していたのなら何か理由があったのだろうな」
「そうかもしれませんね」
実際
「クリス、どうしたのですか?」
「ああジルクか。いや、少し剣の腕の立つ特待生がいたから話を聞いていただけだ」
と、新たな乱入者が。
緑のロングヘアの貴族令息……この方はもしや?
「失礼します、ジルク・フィア・モーマリエ辺境伯令息でお間違えありませんか?」
「ええ、合っていますよ」
この人がクラリス先輩の婚約者か……。うん、クリスさんに負けないぐらいのイケメンだ。学園での人気もエアバイクのレースでもスター選手に挙げられるのも納得だ。
ただ、ミュオンと違って清々しさが無いというか……どこか腹黒いものを感じるんだよなぁ。
まあ気にしても仕方ない。モーマリエ辺境伯令息はクラリス先輩の婚約者で彼女が惚れ込んでいる男なのだから。
私に出来ることはこうした挨拶と、この授業中の彼の動向を報告することだけだ。
「私はジータと言います。エアバイクのレース場ではお会いできなかったので、こうしてお会いできて光栄です」
「おや、私のファンでしたか? それなら最近レース場に顔を出せていないので申し訳ないことをしてしまいましたね」
あれ?ファンと勘違いされてしまったぞ? ファンではないんだけどな……というより、私のことは知らない感じなのだろうか?
クラリス先輩と会っているならエアバイク繋がりで話題に上がってもおかしくない……というのは自惚れが過ぎるかな? でも、クラリス先輩なら話してくれそうだと思うんだけどな……。
ふと、クラリス先輩のことを思い出す。なんだか寂しそうな、不安そうな顔をしていたな……。
もしかして入学してからクラリス先輩に会っていないんじゃないかな? だから婚約者が何をしているのか知りたかったとか……。
こういうのは直接会って話すべきだと思うんだけど、クラリス先輩も立場のある人だしそう上手く事は運ばないのかもしれない。
まだ学生なんだからもっと気楽にやってもいいと思う──と考えるのは私が平民だから言えることで、貴族社会というのは私が思う以上に複雑だろうから、軽々しくそんなことを口に出しちゃいけないな。
「いえいえ、そんなことありませんよ。モーマリエ辺境伯令息もお忙しい立場でしょうし」
「そう言ってもらえると助かります。ああ、私のこともジルクで構いませんよ。モーマリエ辺境伯令息というのは呼びづらいでしょう。それに互いに学生ですから、立場を気にする必要はありませんよ」
「ではそうさせていただきますね、ジルクさん。 何かの機会にエアバイクの話を聞かせていただけると嬉しいです」
「そうですか、ならいずれお茶会にご招待するのでその時にでも」
ああ、お茶会か。ブラッド・フィア・フィールドから一度招待状をいただいたけど、うっかり参加しようものなら身分の違いから他の令嬢の反感を買ってしまうと思い、同じく招待状を受け取った令嬢に参加できない旨を直接伝えてもらったことがある。
私はこれで令嬢から立場を理解しているとより認識され、頼まれた令嬢はフィールド辺境伯令息と直接話す機会が出来たのでそれなりに好感度を稼ぐことが出来たと思う。
そして、今回こうして直接招待するという言質をいただいたので、次回は参加できるけど……多分リップサービスだ。
”いずれ”という言葉を使うことによって招待する気はあることを示しながら、何時招待するかまでは決めていない極めて高度な言い回し(?)をしているのであまり周囲に角が立たないやり方をしている。策士だなぁ。流石は貴族と褒めてあげたい。
「おうクリス!ジルク!そんなところで何してるんだ!?」
「それは……魔法で造られた的かな? なかなかいい腕前じゃないか。どちらもほぼ同じ魔力量で成形されているね」
と、新しく二人の令息がこちらにやってきた。
赤い短髪に鍛えられた筋肉が目立つ彼はグレッグ・フォウ・セバーグ伯爵令息。
紫の肩まで伸ばした髪に知的な印象を受ける彼はさっき話題に挙げたブラッド・フィア・フィールド辺境伯令息だ。
さっきから入学した時に話題に上がっていた名門貴族の跡取りたちがどういうわけかこの場に集まり始めている。
残すは──
「お前達、ここにいたのか」
──噂をすればなんとやら。
ホルファート王国第一王子、ユリウス・ラファ・ホルファート王子。
未だに学園内で高い人気を誇る五人の貴公子と冒険で大成功を収め男爵位を得ることが確定している
話題の人物たちが一堂に会し、私はこれから何かが起こるんじゃないかと期待を胸に弾ませた。
「……やっぱこれコラボしてるよな? 嘘だと言ってくれルクシオン……」
「リ、リオンさん!? 急に頭を抱えてどうしたんですか!? どこか具合でも悪いのなら休んだ方が……」
「大丈夫じゃないけど大丈夫だよオリヴィアさん……」
一応主人公の近くに攻略対象が集まってるから大丈夫だよリオン君。
ただその近くに別作品の主人公らしき人がいるだけだから!!