ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!? 作:ざいざる嬢
小型騎空挺で空の旅へと出たジータちゃんこと私は空図を頼りに近くに島々を訪れ情報を集めた。
都市や街があるような島はあまりないようで割とこの辺りは知られていない空域なのかなと考えたりもした。
正直、この空図を見てもグラブルにおけるどの空域なのかさっぱり分からない。けど、グラブルに出た島だけが存在するわけじゃないだろう。きっと私の住む島も『ホルファート王国』も本編に関わらなかった島に違いない。
でもその割には騎空挺は発展しているよね……。これも星の民の技術によるものなのかな。
星の民──かつてこの空の世界を支配していたという彼らは凄まじい技術力を持っていた。
そんな登場した星の民の中でも私の印象に強く残っているのが
話を戻しそう。その星の民は後に空の民との戦い『覇空戦争』に敗れたものの、その技術はこうして騎空挺などとして残っている。
ならまだ発見されていない星の民の残した遺産があるのではないか?そんな風に考え始めた。
幸いにもこの辺りはあまり開拓されていないようだし、そういったナニカが残っているかもしれない。
空図を手に、怪しいと直感したところを虱潰しに探していく。
捜索を始めて二ヶ月が経ち、道すがらダンジョンで小銭を稼ぎ──ようやく見つけた。
錆びて朽ち果てているけど、明らかにこの世界観から浮いている施設を。
入り口は巧妙に隠されていたのか、それとも何らかの要因で埋まってしまったのかは分からないけど、それはこの際置いておこう。
私は本編やサイドストーリーにもない未知を見つけて高揚していた。
この施設は一体何なんだろう。星の民……いや、ひょっとすると『組織』──月が関係しているかもしれない。そんなSFチックな施設を恐る恐る探索していく。
道中、魔物が出てくることもなく荒れ果てた施設が続くだけ。時折白骨死体なんかが見つかったので、前世善良な日本人を自称していた私は後で埋葬してあげようと亡骸に手を伸ばし──。
『動くな』
その時、後ろから突如として声が聞こえた。背後を取られ──るわけにはいかないので師匠譲りの身のこなしで即座に距離を取る。
『動くな、と言ったはずだ』
バババババッ!!とマシンガンのようなものが撃たれる音がした。弾丸が私に迫っている──ので腰に下げていた剣を抜き、全て弾き落とす。
すると声の主は僅かに動揺を見せた。
『……まさか全て弾かれるとは。 侵入者に対する危険度を上方修正する必要がありそうだ』
声の主の姿を見れば──それはまごうことなきロボットだった。
高さ4メートルはありそうな人型ロボット。しかし、そのボディは錆びて半分は壊れているようで、動く度にギギギと嫌な音を立てている。唯一まともに動きそうな片腕にはガトリング砲が付けられていて、私に向かって撃ったからか銃口から煙が出ている。
……それにしても流暢に喋るなぁ。いや、ロボットだから当然とは思うんだけど、この感性って前世で培ったものであって、グラブル世界ではロボットが喋ったりとかは『ロボミ』とかしかなかった気が……。
もしかして、ロボットじゃなくてこういう機械型の星晶獣だったりするのかな?
なにはともあれ会話は出来そうだからしてみよう。
「……えーっと、いきなり撃つなんて酷いんじゃない? 私何も悪いことしてないと思うんだけど」
『それはこちらの台詞だ。侵入者に動くなと警告し、それに反したから撃った。
そもそも許可なくここへ侵入し、死体を弄ぼうとしていた侵入者への評価を大幅に下方修正する必要がありそうだ。
……もっとも、新人類に対する評価など最低値以外ないのだが』
初対面にしては辛辣過ぎない???
いや、確かに侵入者といえば侵入者なんだけど、死体を弄ぶというのはいただけない。
私は仏様で遊ぶような罰当たりな女じゃありません!!
それに新人類って何さ!?
「とんでもない誤解をされてるみたいだけど、まずは勝手にここに入ったことを謝るよ。ごめんなさい。
でもさ、そうやって人を勝手に評価してそれを押しつけるってすごい失礼じゃない? 私もキミへの評価がガタ落ちだよロボット君。ロボミの方が愛嬌あったよ」
『ロボミ……?』
あ、ロボミは知らなくて当然だよね。あれは確かシロウと羅生門博士が作ったんだっけか……?その辺りは曖昧だなぁ。
「まあいいや。それでロボット君、アナタは何者なんだい? 生まれてこの方ロボットなんて初めて見たよ。 ……いや、ロボットなのかな?星晶獣とかではない?」
『……何を言っているんだ?星晶獣?』
どうやら星晶獣ではないみたい。となると純粋なロボットなのかな。気になることが多すぎる。
「あ、自己紹介させてもらうね。私はジータ!15歳! 将来は騎空団の団長になってこの大空を旅するのが夢だよ! ささ、ロボット君、君のことも教えてくれないかな?」
最初こそ険悪な雰囲気から始まってしまったけど、割と友好的に接せられているんじゃないかな?
このままロボット君も応じてくれればいいんだけど……残念だけど静かに銃口を向けている当たり、そうも行かないみたい。
『侵入者、それに答える義理はない……!』
「そっか……なら仕方ないね! 私が勝ったら聞かせてもらうよ!!」
再びガトリングを私に向けぶっ放してきたロボット君。さっきみたいに剣で弾くだけじゃなく、弾きながら前進する。狙うはガトリング!見たところ武装はそれだけだから、それさえ破壊してしまえば無力化できる。
ロボット君はそれを想定していたのかある程度近づくとガトリングの中心部が開きボッ!と拳大の塊が発射された。
このまま剣で斬り払っても……いや、私のジータちゃんアイがそれをしてはいけないと警鐘を鳴らす。よく見れば手りゅう弾にも見えるそれは私に近づくにつれ赤くなっていき、明らかに爆発する寸前に見える。剣で斬り払ったらその衝撃で爆発することは免れない。しかもこのジータちゃんアイはこの手りゅう弾チックな塊は爆発だけでは済まないと予見させた。
なら斬り払うではなく避ける──いや、避けたとしても予想される爆発の規模から爆風や破片によるダメージを受けてしまうことは予想できる。
迎撃は論外、回避不能。どうすればこの状況を乗り越えられるか──答えはひとつ。
この間0.2秒の思考の末私は師匠との特訓、そしてグラブル知識から生み出したスキルを発動する。
「『ファランクス』!!」
ファランクスはゲームではダメージを1ターン70%カットするスキル。グラブルで高難度に挑むなら必須とされていたこのスキルなら……!!
『……やったか』
この施設には時折こうして新人類が侵入してきた。その度に排除してきた。
だが……今回の侵入者はこれまでのどれとも脅威度のレベルが違う。
ガトリング砲を魔法で防がれたことはあれど、魔法を使わない身体技能だけで弾丸全てを弾かれるなど想定していなかった。そんなこと旧人類が作り上げた兵器──飛行空母ファクトが擁する戦闘ロボットでも不可能だ。
まさか新人類はこれ程強くなっていたのかと悲嘆にくれた。だが屈するわけにはいかない。我らを作り上げた旧人類への弔いのために……。
牽制に先程と同じくガトリング砲を放つ。これが通用しないのは承知の上。目の前の新人類はきっと私を侮っているはずだ。
実際長い年月により錆び壊れたこの機体も限界は近い……だが、それを理解していないはずがない。ガトリングを凌ぎ、肉薄してくるだろう。
だからこそのこれ、虎の子でもある特製のナパーム弾だ。
これならば剣で弾かれたとてその衝撃で否応なく爆破起動する。ここまでこの勢いで接近されれば避けようもない。仮に魔法で防ごうとしてもこの短時間でそれほど強力な防御が出来ないのは過去確認出来ている。
新人類に放った特製ナパーム弾が炸裂し周囲が炎と煙に包まれた。予測通り侵入者はなすすべなく炎に包まれる。だが油断はしない。銃口を向け続け、煙が晴れたところで追撃を──ガコンッ!!──は?
ガコンッという音はこの機体の武装腕部が斬り落とされた音だった。
そんなバカな。あのナパーム弾を受けて無事であるはずが──。
「いてて、七割カットでこれか……単に私がまだまだだってことかな」
背後から侵入者の気楽そうな声が聞こえた。
振り返ってみれば所々に火傷を負った形跡が見えるが、それ以外は軽傷。アレを受けてこの程度のダメージしか与えられなかったという事実に私は最後の手段を取らなければならないと決心する。
「えーっと、武器も壊したことだし、見たところ他の武装ももうないみたいだし私の勝ちだよね?」
『……認めよう侵入者、いや新人類の末裔よ。私ではお前を排除することは出来なかった。
だが、このままでは終わらない……せめて私の本体ごとお前を道連れに──』
「え?ちょっと待って。 その言い草だと自爆するつもりなの?というか本体?」
『……お前は私を手に入れるために此処に来たのではないのか?』
「いや、明らかに隠されていた施設だったから何かあるかもしれないって探索しに来ただけなんだけど……」
……この新人類は私について何も知らないのか?
あの戦いから一体どれほどの月日が流れてしまったのか。
「なんだかさ、お互いに知ってることと知らないことがありそうだし、情報の照らし合わせを兼ねてお喋りしない?」
『お喋り……?』
「そう、この施設の荒廃具合から結構な間ロボット君は独りぼっちだったんでしょう?
出会ってすぐ戦いになっちゃったけどさ、話し相手が来たんだから武器だけじゃなくて言葉も交わさない?」
その新人類──個体名ジータの提案に私は乗ることにした。
それが私のこれからを変える出来事になったことを私はまだ知らない。