ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!? 作:ざいざる嬢
いや、終わってみれば多分開放する必要なかったんだけど()
やることが……やることが多い……!! マグナ3周回とか、六龍とかも?
アーカルムもやらないといけないしあああああああ()
無理ぽ
決闘当日、闘技場でルクシオンが用意したパイロットスーツに着替え舞台へと向かうと鎧が一機用意されていた。
それを見た俺はまずアンジェリカさんが原作通りに学園外の人間の代理人を用意したのかと疑ったが、見たところアンジェリカさんとオリヴィアさん以外の人間が見当たらないので違うらしい。
「おい! なんで鎧を用意してこなかった! お前、自信満々だったくせに用意していないとか言わないよな!」
だからアンジェリカさんがせめてもの助力を……という意味で鎧を用意してくれたのかと思った。だがこの発言から分かる通り違うらしい。
「あれ? もしかして念のために用意してくれてました? でも大丈夫……今到着しましたよ」
そうしてデカいコンテナの中から現れたのはルクシオンが用意してくれた鎧──アロガンツだった。性能はルクシオンのお墨付き。
観客も殿下たちも見た目で嘲笑っているが、その余裕も今の内だと内心嗤い返してやっていると──。
「なんでみんな笑ってるんだろう?」
突如聞こえるアンジェリカさんともオリヴィアさんとも違う声。この声は──!?
「あっ! ジータ、来ていたんですね。心配しました……」
「ヴェッ!!? ジ、ジジジッ、ジータさん!? なんでここに!? ま、まさかあの鎧は……」
「ああ、バルトファルトには伝えていなかったが……ジータもあの後私の代理人を引き受けてくれたんだ。無用な厄介事を招かないように当日まで情報を伏せていたんだ。すまない」
な、なっ、なんで……
なんで乙女ゲーのイベントに乱入してきてるんだよォォォオオオッッッ!?
あの鎧はジータさんのものだった。しかもジータさんも代理人になってたとか聞いてない。
誰か教えてくれ……なんで原作キャラとコラボキャラのいる場に俺みたいなモブがいなきゃいけないんだ……。
『決闘に最初に首を突っ込んだのはマスターではありませんか?』
「うっせえ!!」
アロガンツの中にいる──ジータさんを視界に入れた途端アロガンツの中へと移動した──ルクシオンからの指摘が文字通り耳に痛い。
どうしてこんなことに……。ジータさんが何やら話しかけてきてくれているけど、あまりのショックで言葉が耳に入ってこないから生返事しか返せない。
「リオンさん、そんなに緊張しているなら私が先に戦おうか?」
「ハッ!! いや、大丈夫大丈夫!! 女子を先に戦わせるなんてことになったら、男の風上にも置けないとか言われちゃうから、俺がやるよ」
心配をかけてしまったようで、ジータさんからの提案にようやく目が覚める。
この決闘の後、学園を退学するつもりだが俺にも面子があるし言い出したのは俺だ。それをジータさんに押しつけるわけにもいかず、俺はそそくさとアロガンツへと騎乗した。
開始前に決闘のルール変更が決まり、俺ひとりで片づけるつもりがジータさんも戦わなければならなくなってしまったのは誤算だったが、ある意味ジータさんの実力をこの目で確認出来るいい機会でもある。彼女が本物なら、この決闘も無事勝利するはず。
もちろん、平民出身の彼女がこの決闘に首を突っ込んだということは俺と同じ末路──即ち退学を覚悟しているだろう。
その辺りはこの決闘で行われている賭けで出来た儲けで無かったことにしてもらえるように、アンジェリカさんの親であるレッドグレイブ家に取り計らってもらえれば彼女は学園に通い続けることが出来るはずだ。
そうなれば俺は学園からおさらば出来て、後は
『いっけええええ! テンペストブレード!!』
『ボーパルブレード!!』
『これで決める!! ライジングソードォォォ!!』
……これ確定じゃない?
テンペストブレード、ボーパルブレード、ライジングソード……どこからどう見てもグラブルです。ありがとうございました。
というか強すぎる。いや、アニメのジータ基準ならまあ納得できるんだが、それにしたって鎧に慣れてなかったってなんだよ。慣れてないのに無理やり合わせてクリスを圧倒するとかどんだけだよ。
『どうやらあの鎧はジータには合っていないようですね。彼女の反応についていけてないのか関節部に負荷がかかっています』
「あの鎧って一応最新式っぽいんだけど……?」
『新人類の造った鎧などアロガンツの足元にも及びません。……とはいえ、仮にジータが乗るのであれば相応の調整は必要ですが』
ルクシオンがそう言うだけあってジータさんの操縦者としての腕はトップレベルなんだろう。それも連邦の白い悪魔的なレベルの。
……ジータさんって新人類的な意味じゃないニュータイプだったりしないよな?
気づけば鎧から降りてアンジェリカさんとオリヴィアさんと──知らぬ間に増えていたオレンジの髪の女生徒から激励を受けていた。
誰かと思えばあのオレンジの髪の女生徒はジルクの婚約者のクラリス・フィア・アトリー先輩だった。どうやら俺の知らないところでジータさんと知り合っていたらしい。
……やっぱグラブルとコラボしてるよな。でもグランサイファーもビィくんもルリアもいないし、何故かファーさんはいるらしいし……結局判断が付かない。
あ、次の試合俺だったな。
相手はグレッグか……うん、丁度いいな。色んなことで悩まされているこのストレスを思いっきりぶつけてやろう。
『お前はもっと道具にこだわれやぁ!!』
『ぐはあっ』
『現にその鎧も旧式の量産品じゃねーか! そのよく分からんプライドを捨てろォォォ!!』
『ぐおぉぉ』
あ、やばい。なんだか滅茶苦茶スッキリする。
そうだな、前世から苦しめられた相手だからな……思わず力が入ってしまっている気もするが、この爽快感がたまらなくいいな。
『アハハハ! お前、本当によく喋るよね。まぁ、人を舐めて旧式の鎧なんかで出てくるくらいだから、よっぽど実力に自信があったんだろうけど……お前程度の奴なんか世の中ゴロゴロいるからね。俺も実力的にトップじゃないし、アレだけ決闘を申し込んだ時に強気に出てくるから少しは期待したのにこのざまって……お前、本当に雑魚すぎ。こんな雑魚をいたぶっても後味が悪いから、手早く終わらせたいの。この気持ち、分かんないだろうな~』
「うわぁぁぁああああぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
鎧を破壊し、生身で挑んでくるグレッグに君は弱いんだよっていうのを丁寧に教えてあげた。
大勢の前で雑魚呼ばわりした相手に、雑魚扱いを受けて負ける……悲惨すぎて心が痛む。
まあ、嘘だけど。全く心が痛まない。むしろスッキリして晴れやかな気分だ!
『なんとも酷い結果ですね。相手をここまで追い詰めるなんて常人には躊躇われますよ』
「知るかよ。こいつらは現実を知った方がいいって。俺、調子に乗った奴は嫌いなの」
『鏡を用意しましょうか? マスターにも当てはまるピッタリの言葉ですね』
……自覚はあるが言われるとやはり腹が立つ。
そして、行われた第四試合ジルク対ジータさんの試合は……俺たちの予想をはるかに上回る結果になった。
ルクシオンの指摘でジータさんの鎧に爆弾が仕組まれていることを知り、なんとか試合を止めようとしたが──結果は及ばずジータさんの鎧は爆炎に包まれた。
その時のクラリス先輩の絶叫が耳に残っている。アンジェリカさんとオリヴィアさんも酷く呆然としていた。
問題はその後だ。爆破され最早動くことも飛ぶことも叶わないはずの鎧がそのまま宙に浮き続け、炎が収まったと思ったら無事だったジータさんが姿を現した。あの規模の爆発で無事なのは奇跡だとアンジェリカさんが呟いていたが、俺はジータさんから目が離せなかった。
あの顔──明確にジルクを敵とみなしたジータさんを。
その後はもう圧巻だった。誰も何も口に出せないほどの戦い──それも鎧と生身の人間の対決だ。
普通なら鎧に生身の人間が勝つなどロストアイテムの武器でも使わない限りは不可能に近い。だが今回の鎧の相手は普通じゃなかった。
まず素手で鎧を殴り飛ばし、そのまま
その後はひたすら殴り続け、遂には空を飛んでまで鎧に接近し装甲をぶち抜いて直接ジルクに殴りかかってた。
この時点で俺たちも殿下たちも観客たちも唖然としていた。誰が思うだろうか。鎧に乗った相手を倒すために鎧を素手で破壊して操縦者を直接ぶちのめしに行くようなやつがいるなんて。
少なくともここにひとりいたけどさ。
極めつけに制御を失ったジルクの鎧を掴んだままきりもみ回転しながら落下して舞台に叩きつけ犬神家(動詞)をお見舞いしていた。
……あれ、中のジルクは無事なんだろうか?
その時聞こえた技名であろう”グランブルー・フォール”は聞き間違えだと思いたい。聞き間違えであってくれ。
『凄まじい戦いでしたね。まさか生身で鎧を倒せるとは思いもしませんでした』
「本物ならそれぐらい出来てもおかしくないけどな」
生身で仲間と共に人知を超えた星晶獣や星の民とも渡り合っている主人公だ。
特別な力の宿っていない鎧なんて本来相手にもならないだろ。
……もうジータさんは本物と見てもいいよな、これ。本物じゃなきゃここまででたらめな奴いないだろ。
いや、それでもルリアとビィくんの姿が見えないのが謎なんだけどさ。
『マスター、いいんですか?』
「なにがだよ?」
『いえ、ジータへ謝罪はしなくていいのかと。私の不手際とはいえジータの監視を命じたのはマスターです。もしこのことがバレれば……今度はマスターがああなる可能性が高いですよ』
「──ッ!?」
言われてみればそうだ。いや、正確には理解していたけど考えないようにしていたというのが正しい。
追われていたルクシオンの映像を思い出す。あの時のジータさんは今と同じ顔をしていたな……。あれ? もしかしてルクシオンのことバレたら俺がああなるの? マジ?
「……ま、まあ俺もジータさんも退学になるし、その時にでも……」
『いいのですか? あまり先送りにしても状況が悪化すると思うのですが』
ルクシオンがそう言うが、この決闘が終わればこの学園生活とはおさらばだ。
そうなればジータさんと関わることはなくなるだろうし、学園を去るときに最後のお茶会と称して謝罪の場を設ければいいだろう。うん、それがいい。
遠目からボロボロになったジータさんに涙を流しながら抱きついたクラリスさんと少し遅れて駆け寄ったアンジェリカさんとオリヴィアさんを見ながら、そんなことを考えていた。
ごめんねリオン君
あ と 一 話 あ る の
残念だったな。特異点からは逃げられない!!