ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!? 作:ざいざる嬢
もう書き溜めがなくなりそう(震え声)
「そう、この施設の荒廃具合から結構な間ロボット君は独りぼっちだったんでしょう?
出会ってすぐ戦いになっちゃったけどさ、話し相手が来たんだから武器だけじゃなくて言葉も交わさない?」
ロボット君を無事無力化した私は自爆しようとしているロボット君をなんとか説得しようとしていた。
初めは星晶獣かな?と思っていたロボット君はちゃんとロボット君だった。
だって自爆する星晶獣なんて聞いたことないもん。
いや、私が知らないだけかもしれないけどさ!
でも、この施設の荒廃具合から、このロボット君が製造されたのは相当昔なんだろうと思う。
それでこの時代まで原型を残して、こうして稼働しているのなら製造された当時の歴史なんかにも詳しいと思う。
それなら私の知る原作知識が役に立つのか確認したい。
ロボット君を作ったのは星の民なのか、それとも月なのかとか。 覇空戦争はどうなったのかとか。
加えて言えば、なにか持ち帰れるお宝はないかとか……ね?
「どうかな?」
確認の意を込めて、改めて尋ねるとしばらく沈黙していたロボット君のモノアイが光り……。
『……いいだろう。どの道私に出来るのは自爆ぐらいのものだ』
「また自爆って……それ以外の選択肢はないの?」
『無い。我々は新人類を殲滅するために存在する。 私の本体もマスターなしでは正常に稼働しない。ならばせめてお前という脅威を私諸共消し去りかつての仲間たちと旧人類に報いなければならない』
「……さっきから言ってるその新人類ってなんなの? 旧人類とは違うっていうのは分かるけどさ」
『……先に私の質問に答えてもらおう。今は新暦何年だ?』
「新暦? 今は確かホルファート王国暦……」
『ああ、いや結構。 改めて……我々は敗れたのだな』
「敗れたって……その新人類ってのに?」
『ああそうだとも。あまり何度も言わせないでくれ、ただでさえ低いお前の評価が更に底に落ちてしまう』
その物言いにちょっとイラっと来たけど、そんなことでイライラしていては何も得るものがないので私が聞きたいことを聞くことにしよう。
「その新人類って空の民のこと?」
『……空の民?』
あれ?知らないのかな?じゃあ……
「ロボット君を作ったのって星の民?それとも月? それとも星晶獣とかだったりする?そうなると創造者は
『ま、待て待て待て。一体何の話をしているのだ?』
「違うの?私が知る知識だとそうなんじゃないかって思ってたんだけど……」
反応的に違うっぽいね。
それとも昔は星の民は旧人類と言われていて、空の民が新人類って呼ばれることになったのかな?
その辺りは詳しそうだからロボット君が解説してくれると嬉しいのだけど。
『……申し訳ないが、私の所持している情報にはそのようなものはない。差し支えなければお前──否、貴女の知る知識とやらを教えてはくれないか?』
なんだかロボット君がすっごく困惑しながら私への態度を変えてきた。なんでだろう?
「いいけど、その代わりに正直にロボット君が知っていることも教えてよね?」
『……承知した』
それから私は知る限りの原作知識をロボット君に披露した。
空の民と星の民の覇空戦争のことや、月から降りてきた月の民の勢力──組織、敵、機神や契約武器の存在。星晶獣や幽世のことなど洗いざらい語った。
そしてロボット君は機体から煙を出してしまっている。大丈夫だろうか?
「──ということだから、ロボット君の起源は月か星の民じゃないかと思ってるんだけど……」
『……大変興味深い話だったが、私の所持するデータにはないものばかりだ。
そして我々の創造主は月でも星の民でもない。この星に元々存在していた人類だ』
それからロボット君は自分の知る限りの情報を提供してくれた。
科学技術に優れた旧人類、新たに魔法という新技術を持った新人類が争った種族戦争のこと。
旧人類が作り上げたロボット君たち人工知能による機械兵器と新人類の魔装と呼ばれる生体兵器が激しくぶつかり合い、この星は荒廃し最終的には旧人類は敗れ滅びたのだろうと。
「そっか……やっぱ原作知識が役に立たないな……時系列が違うのかな」
『原作知識?』
あ、つい口にしちゃった……。
……でもまあいいかな?この情報の出所はどこかって言われたらそう答えるしかないわけだし。
「実はねロボット君、この世界は前世の私が知るゲームの世界にすごく似てるんだ」
『……前世?』
「そう、私はこの世界に転生したってわけなのさ。 さっきの私の話も前世でやってたゲームの設定だったってこと」
『……妄言にしか聞こえないが』
「そうかもね。 でもこんな大空に浮かぶ島を飛空艇……飛行船で旅したりするゲームって私は”グランブルーファンタジー”しか知らないんだ」
『……!! ”グランブルーファンタジーと言ったな?貴女は日本語を使えるのか?”』
え?日本語?
というかグランブルーファンタジーって転生してから口にしたのは初めてだけど、この言葉ってこの世界の言葉じゃなくて日本語変換されているの?
また気になることが出来てしまったなぁ……。
「”使えるよ。なんてったって私の前世の出身は日本だからね”」
そう言うとロボット君はしばし黙り込んでから、倒れた機体を起こして歩き始めた。
『少し確認したいことが出来た。ついて来てもらおう』
「何処に行くの?」
『……私の本体のある場所へだ』
それからロボット君の案内で施設を進んでいき……着いた先には騎空挺とは言い難い軍艦のような船が鎮座していた。
所々さっき語っていた戦争で傷ついたのか破損しているところが見えるけど、それでもその巨体の持つ圧倒的存在感は薄れていない。
『これが私の本体だ。ここからの案内は音声に切り替える。あの入り口から指示に従って進んでくれ』
「え?そんなこと言って私を閉じ込めてから自爆したりしない?」
『しない……とは断言出来かねるが、貴女の言った情報を確認するには私の本体のコントロールルームにある設備が必要だ。
貴女の言ったことが真実なら自爆せず、無事に帰そう』
「そっか。それならいいよ」
私は嘘なんて吐いていないし、自爆される心配はないよね。
万が一自爆されても今度は『センチュリオン』*1を使えば生き残れるだろうし。もしくは自爆される前に破壊すればいい。
そんなことが出来るのかって?
……出来るでしょ。主人公だったグランくんもジータちゃんもアルビオンでシュバリエが取り憑いたアドウェルサと戦ってたんだし、転生者ジータちゃんが戦えない道理はないのだ。
それからロボット君の案内に従い、何事もなく目的地であるコントロールルームへと辿り着いた。
『着いたようだな。そこから正面に進むとコントロールパネルがある。そこに表示される指示に従い操作してくれ』
言われた通りに操作を始めようとすると言語設定がこれ見よがしに表示された。
画面の文字はアルファベットだったけれど、日本語から英語、中国語、フランス語やイタリア語まで様々な言語に対応しているみたい。
だが残念ながら私は生粋の日本人(前世)。この世界の言語と日本語とちょっとした英語ぐらいしか分からないので、ここは前世で慣れ親しんだ日本語を選択。
すると当然のように日本語が表示され、指示に沿ってサクサクと操作をすすめる。
……そういえばグラブルの言語って何だったのかな?あれも日本語だったっけ……?
まあ日本のゲームだから使われているのは日本語だよね、きっと。
と、最後の指示『コントロールパネルに手をかざし認証データを登録する』という表示がされたので愛用の手袋を外してパネルに手を乗せる。
『──スキャン完了。貴女の遺伝子の中に日本人の形跡を発見。それに……新人類の遺伝子を継ぎながら旧人類の遺伝子まで引き継いでいる』
「え?勝手に私の遺伝子とか調べてたの!?」
『無礼を謝罪する。だが必要なことだった。 これで貴女の言うことは正しかったことが証明された』
なんだか納得いかなかったけど、ロボット君はどこか物腰が柔らかくなったような気がする。
音声が柔らかく聞こえる。
「じゃあもう自爆もしないね?」
『肯定する』
よかった。私の命もロボット君の命も守られた……。
これで私の冒険も一段落かな。
あ、でも何か成果を持ち帰らないと……。
『……ジータ、貴女に頼みたいことがある』
「ん?なにかな? 生命に関わらない、私が叶えられる範囲でなら聞いてもいいけど……」
『それならば問題ない。 貴女は私を求めてここに来たわけではないのは理解した。だが、こうして旧人類の遺伝子を持った人物と長い時を経て出会えたのは私にとっては僥倖だ。
よって貴女に提案する。私のマスターになってはくれまいか?』
「マスター?」
『そうだ。もしマスター登録してくれるのであれば、私の権限では動かせなかった機能が使用可能となる。私は飛行空母、空を飛び多くの戦闘機や鎧*2を製造、搭載し運用できる。他にも出来ることは多くある。どうだろうか?』
それってあれかな?運命構図的な……「問おう、貴方が私のマスターか」的な。
少し考えてみよう。ロボット君は前世でも見ることがなかった自立型の人工知能搭載ロボットだ。
そして本体はこの巨大な船だと言った。つまり、私とロボット君だけの騎空挺ということだ。
後々騎空団を立ち上げようと考えている私にはこれ以上ない良物件ならぬ良騎空挺だ。逃す手はない。
でも確認しておきたいこともある。
「それは新人類を滅ぼすため?それとも私みたいな旧人類の遺伝子を引いた人を探すため?」
これは確認しておかないといけない。
今聞かされただけでもこの船──飛行空母は結構なことが出来る。それこそオーバーテクノロジーと言ってもいいぐらいに。グラブルにもこんなのいなかったぞ、多分。
だからこそ、ロボット君のマスターとなるのならロボット君の目的を知って、いざという時は止めなければならない。それが未来の騎空団の団長の責任ってやつだ。
『その問いには後者であると返答しよう。
我々が敗れた後、どのようにして旧人類は生き延びたのか……それとも何らかの手を打っていたのかを私は知らなければならない。もしかすると旧人類が復興するかもしれない希望がある。
新人類は殲滅したいが、貴女がそれを望まないのは、前世からこの世界を愛しているのは理解した。だから私もマスターに従い殲滅は避けよう』
「そっか……それじゃあ、団長でありマスターである私の指示には従うこと。いいね?」
『感謝するジータ、新たなるマスターよ。 飛行空母ファクトはマスターと共に進もう』
「あ!それがロボット君の名前なんだね! じゃあこれからよろしくね、ファクト」
『こちらもよろしく頼む』
こうして私は三ヶ月の冒険の果てに、ロストアイテム飛行空母ファクトを手に入れて故郷へと帰還した。