ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!? 作:ざいざる嬢
書き溜めが尽きました。
もっと話数溜められればよかったんですけどね、我慢出来なかった……。
「よく帰って来たねぇ……」
「はい師匠! どうですか私の旅の成果は!」
私は冒険を終え、無事に故郷へと帰還した。
そして今はその成果をお披露目しているところだ。
飛行空母ファクト──ファーさん(ルシファーにあらず)を連れ帰り、見事最後の試練を乗り越えてみせた。
辛く……苦しい戦い……でもなかったな。私の圧勝だったわ。
「これだけの成果を持ち帰られたらもう言うことはないね。
合格だよジータ。お前に免許皆伝を与えよう」
「ッシャアッ!!!」
師匠からのお墨付きも貰えた!やった!
じゃあしばらくはファーさんを修理しつつ、冒険の旅へ──
「ただ、まだ冒険に出るには早いさね」
「え?」
し、師匠?ここまで来てお預けですか……?そりゃあないって!!
私もうファーさんを副団長に迎えて、旅を始める気満々なのに!!
「ほれ、まずはこれを受け取りなさい」
と、嘆いている私に手渡されたのは何かの推薦状だ。
えーっとなになに?ホルファート王国王都の学園、特待生としての推薦状……?
確か聞いた話だと王都の学園には貴族が主に通う場所で、上級クラスと普通クラスに分かれてはいるものの、普通科でも家を継げない次男、三男……みたいなそれでも貴族出身!って家庭の人が通う場所のはず。
正直言って私のような平民には縁のない場所だ。それなのにこの推薦状には平民である私を学園に推薦って──それも上級クラスへの推薦だ。
「師匠これって……」
「そうさジータ、お前は腕っぷしは十分に磨いた。そんじゅそこらの空賊なんか鼻で笑えるぐらいには鍛え上げたとも。
けどね、そんなお前にも足りないものがあるのさ。 そこでならお前の足りないものを探すことが出来るじゃろう」
「足りないもの……」
確かに今の私には足りないものは多いけれど、それは物理的にだ。
まずは団員──仲間がいない。現状私とファーさんの二人だけだ。けれど、船の管理はファーさんの無人機ロボットがやってくれるのでそこまで心配していない。けど一緒に旅する仲間がいないのは寂しいし、なにより私ひとりでは解決できない事態もきっとある。
そうなるとやはり仲間の存在は必要不可欠。だからこそ学園で団員を募る……というのを師匠は勧めたいのだろうか?
「でも師匠、学園には貴族の方々ばかりで仲間になってくれる人がいるかどうか……」
「なぁに、ホルファート王国の貴族共の先祖は冒険者ばかりだ。冒険の話で意気投合できればもしかしたらってことがあるかもしれんよ。
それに、学園で得られるのはそれだけじゃないからね。三年間学園に通い、見識を広げてから旅立っても遅くはないさ」
「なるほど……」
確かに一理ある。私はこの世界を未だあまりよく知らない。
グラブルの時系列のどのあたりになるのかとか、どの空域に属しているのかなど知らないことの方が圧倒的に多い。
それなら王都の学園で周辺諸国や歴史などを学んで、万全の準備を整えてからでもいい。
なにせ冒険は逃げない。その気になればファーさんと一緒に何処へだって行けるのだから。
「分かりました師匠、私学園に行きます!」
「ふぇふぇふぇ、そうかいそうかい。 私もこれを用意した甲斐があったってもんさ。しっかりやるんだよ」
「はい師匠!」
こうして私、ジータちゃんは王都の学園に通うことが決まったのだった──。
それから月日は流れ、いよいよ入学当日。
王都行の定期便を待っている私はこれからの生活に胸を弾ませていた。
『楽しそうだなマスター』
「そりゃあもちろん! グラブル世界ならきっとドラフやエルーン、ハーヴィンとか原作で見た種族の人と会えるかもしれないじゃん!?」
『だが私を見つけた冒険の中では見かけなかったのではないか? エルフとエルーンと特徴が近しい獣人ならデータは存在するが、他は該当するものがない』
「た、多分この辺りの空域にはあまりいないんだよ……。でもグラブルにエルフはいなかったはずだから、エルフはハーヴィンの祖なんじゃないかな?」
『現時点では不確定な情報だ。だが、興味深い考察でもある』
「あ、あと私のことはジータちゃんって呼んでよ
『それは拒否しよう。私のキャラに合わない』
「キャラとか気にするんだ……それじゃあせめて団長で」
『私に乗船している時ならそうしよう』
「頑固だなー」
人工知能とはいえ、やっぱり知能があるから感情もあるのかな?
この辺りは前世よりも発達しているから私には分からない。前世もあのまま生きていれば、いずれAIが人のようにふるまう時代になったのかな?
『忘れ物はないな?』
「もちろん!冒険で得たお宝も現金化したし、必要なものも揃えたから!」
元は貴族の通う学園だから多分色々とかかる費用も貴族価格……だと思う。そうなると元手となる資金は必須だ。
それに学園にいる間は冒険にもいけないからお金を稼ぐことも出来ないだろうし……。
いざという時はファーさんに頼めば何とかしてくれるって言われたけど、最初からファーさん頼りなのもねぇ……。出来る限り自分で頑張りたい。
「でも残念だったなぁ。入学までにはファーさんの本体を直してあげたかったんだけど」
『それは仕方のないことだ。私の損傷は大きい。マスターがいなかったことで修繕もままならなかったのが、多少改善したのだ。ゆっくり直していけばいい。
それに代わりの船は用意しただろう?』
「そうだけどさぁ……」
そう、ファーさんの本体は今も修繕中だ。
私をマスター登録したことでようやく自己修繕機能や整備を行なえるようになったみたいだけど、それでもファーさんのいた施設はほぼ機能を停止していたから思うように修繕が進んでいないのも事実だった。
それなのにファーさんは造船機能を使って代わりの船を造ってくれた。私の要望に応えた『グランサイファー』もどきを。自分を直すよりよっぽど早いと言って。
シルエットこそグラブルの『グランサイファー』にそっくりだけど、実際のところ未知の技術で造られたこの船の中は意外にもかなりハイテクだ。どことなくSFを感じる。
『騎空団を率いるのなら、いずれは団は大きくなり船団を率いる時が来るだろう。その時には私の本体の修復も終えている。それまでに私が作った船の特性を理解してくれればそれでいい』
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけどね」
と、さっきからファーさんと会話しているがファーさんはこの場にはいない。けれど、この場にはいるのだ。
厳密に言えばファーさん本体ではなく、球体の子機なんだけどね。大きさは直径一メートルほどのメタルグレーのボディに赤い一つ目のようなデザインをしている。
ただし、今は姿を周囲に溶け込ませ消えている。流石に一メートルの球体サイズはどうしても目立つのと、隠れてすれ違う人の遺伝子を片っ端からスキャンして旧人類の生き残りを探すという効率がいいのか悪いのか私には判断しがたい行動を実行しているらしい。
今のところ私ぐらいしか見つかっていないみたいだけど、学園に行けば見つかるだろうか。
期待と不安を胸に抱いて、私たちは王都へと向かうのだった。
次回から原作合流です。
リオン視点とか是非書きたいですね!
感想、高評価などあると嬉しいので良ければよろしくお願いします。