仮面ライダーバレット   作:サツキタロオ

13 / 15
直接対決回。
多分流血する。


Mystery.9:アルカナとエクレール

「はあっ!」

「ふんっ!」

二人は戦いを始めた。お互い徒手空拳での激しい殴り合い。

お互い倒す勢いでの攻防だった。

 

「このッ!」

るるかが蹴りを入れるがくれあはすぐに受け止めてそのまま足を掴んで壁にぶつける。

そのまま追撃のパンチを入れ、振り下ろしで地面に叩き伏せるくれあ。

煙の中、ティアアルカナロッドでくれあに攻撃を仕掛ける。

鼻にぶつかり後ずさるくれあとその隙を逃さずに攻撃するるるか。

「るるか…!」

くれあは鼻から出た血を拭って体勢を立て直す。

「…るるか、貴方が何か悩んでるのは分かってる。それを他の人に言いたくない気持ちも分からなくない…!」

「そう…なら黙って戦って!」

るるかはティアアルカナロッドを投げ、くれあはそれを弾き飛ばしてエクレールデュアルセイバーを召喚して斬る。

るるかはデュアルセイバーが当たらない位置を攻撃し、そのまま手首を攻撃してデュアルセイバーを弾き落とした。

 

「くっ…!」

くれあは近くに岩をもぎ取り、そのまま投擲する。

るるかは平然と避けるが、くれあは高速移動して背後に回る。

避けられた岩を掴んで後頭部に殴り伏せ、そのまま追い討ちを仕掛ける。

「ッ!?」

更に追撃で正面に立ち、回し蹴りでるるかを怯ませた。

そのまま高速移動を続けるくれあを見たシュシュタンは心配そうにしていた。

「くれあ…あのまま戦う気でシュか…!?」

 

ただでさえくれあへの負担が激しい高速戦闘。しかし、くれあはそれ覚悟で立ち回っていた。

(私はるるかにあんなちゃんやみくるちゃんみたいに戦闘経験値は無い…だったらこのまま撹乱して攻撃する…!)

くれあは怒涛の連撃で撹乱するが、るるかは一瞬立ち止まって確かめる。

(くれあの動きにはパターンがあった…なら…!)

るるかは背後に回ってロッドでガードする。すると飛んできたパンチを防御され、くれあはすぐに背後から殴る。しかしこれも受け流された。

「くっ…!」

くれあは悔しそうな顔をする中、るるかはティアアルカナロッドの先端のカードを回して必殺技の体制に入る。

「アルカナスターレイン…!」

至近距離からのビーム攻撃で吹き飛ばされるくれあ。壁に着地し、そのまま壁を掴んだまま上に登る。

(閉所じゃ駄目…広いところに出ないと)

くれあは辺りを見回しながら、人気の無さそうな海を発見する。

「来ないのなら…こっちから行く…!」

るるかはそう言いながら、ティアアルカナロッドを構えて飛んでくる。

(来た…!)

るるかが飛んで来るが、くれあはすかさず飛び出して近くの海に移動した。

「移動したのね…」

るるかも後を追うように壁を蹴ってその場に向かった。

玲二達はそれを見て、走り出す。

「俺達も行くぞ!」

そう言って玲二達もその後を追った。

 

そうして飛んでいる最中、るるかが急接近して海から軌道が大きく外れ、廃墟の遊園地に着陸した。

るるかはすさかずくれあを探すが見当たらず、辺りを見回す。

「隠れた…でも…」

るるかは向こうの水溜まりが揺れている様子とその先に着いた足跡を辿って走り出した。

 

 

しばらく走って倉庫を辿り着く。るるかは辺りを見回しながら歩いていると、上から木箱が落ちてくる。

しかし、るるかは難なく破壊すると奥に水色の光が見えた。

「フライングインフィニティッ!!」

その叫びと共にくれあが突撃してくる。るるかは急いでガードし、吹き飛ばされたと同時に受け身の体制で壁に激突した。

「ぐっ…」

口の中を切って血が垂れた。

るるかはそれでも正面を見る。くれあが息を荒くして歩いていた。

くれあ…エクレールは静かに佇んでいた。

「くれあ…」

「るるか。無理してるでしょ…こんな事したって何も起こらないわ…」

「無理してるのは…お互い様…」

くれあの左目から血涙が溢れ出る。急いで抑えるもあまり止まる様子は無かった。

「言ったでしょ…話す事なんて無い…!私はただ…あなたのマコトジュエルを壊したいだけなのに…!」

るるかは苦しく、そして悲しそうな声でそう叫んだ。

くれあも意図を理解しつつも、歩いてくる。

「るるか。私強いよ?だからもっと頼って欲しい。」

「一人で無理してる孤独になるなんて…寂しい事よ!」

「そんなこと…分かってる!」

るるかは攻撃してくれあと距離を取る。

くれあも臨戦態勢に入り、血涙を拭って拳を握る。

るるかも同時に血を拭い、拳を握って臨戦態勢を取った。

 

そうして戦闘は続いた。倉庫のシャッターを突き破って二人で殴り合うくれあとるるか。

攻防が続く中、くれあは足を引っ掛け、そのまま続く蹴りでティアアルカナロッドを蹴り飛ばす。続けて顔面にも蹴りを入れて壁を吹き飛ばした後に距離を取る為に走り出した。

るるかも急いで後を追い、ティアアルカナロッドを回収して走り出す。

「…!」

二人がお互い必殺技の体勢に入ると、くれあは壁から飛び出してそのままフライングインフィニティを放とうとする、るるかは急いでアルカナスターレインを放ち、両者のエネルギーがぶつかり合ってその場に大きな衝撃が巻き起こった。

 

二人はその勢いのまま、海の方に吹き飛ばされた。

玲二達は森から抜け出し、海に辿り着いていた。

そこには既に満身創痍で倒れる寸前の二人が未だになっていた。

「み、見てられないわ…るる…」「待て!」

マシュタンが心配で駆け寄ろうとするが玲二は止めた。

「ちょっと!なんで止めるのよ!このままじゃ死んじゃうかもしれないのよ!?」

「これは二人の戦いなんだ。俺達は介入しちゃいけない。」

「玲二…」

 

「あの二人は苦しいのを承知で戦ってる。ただ本気でぶつかり合って本音をぶつけてるんだ。」

「…某達はただ見守る事だ…どのような結果であろうとな。」

「幸次郎…」

シュシュタンは幸次郎の背中を見て呟いた。彼らだって辛い思いをしているのに…。

 

そうしてるるかとくれあ。

二人は殴り合いながら戦いあっている。しかし、そのパンチは既に全力では無かった。

「どうして…どうしてプリキュアになんかなったの…!」

るるかは続ける。

「あなたにはこれからもずっとパティシエで居て欲しかった…誰かを笑顔にする為のパティシエで…!」

「このまま戦ってる死んで欲しくない不安にさせたくない…だから…」

るるかはそのまま力を込めて殴る。

「私に…勝たせてよ…!!」

 

「ぐはっ…」

くれあはその一撃で吹き飛ばされる。

 

「私の…勝ち…」

息を荒らげながらそう言うるるか。

しかし、くれあは立ち上がった。

「るるかの…馬鹿!」

「!?」

「どうしてもっと頼ってくれないの?どうして一人で抱え込もうとするの!」

「あなたには私達が居る!こんなに心強い味方が…あんなに居るのに!」

くれあは玲二達の方を指を指す。

るるかは玲二の方を見る。

「…仲間…」

「あなたにに辛い思いをさせて…ごめんなさい。」

「だからこそ…私が…勝つッ!」

くれあはそのまま走って殴りを入れた。るるかはすかさずにクロスカウンターを仕掛けるが、くれあは全力の頭突きでるるかを攻撃した。

「ぐはっ…!」

目を大きく開いてそのまま倒れ込むるるか。

二人はついに限界が来て変身を解除した。

「…へへ…私の…勝ち…」

そう言ってくれあは倒れてしまう。しかし、すかさず幸次郎達が駆け寄って彼女を受け止めた。

「幸次郎さん…」

「見事だったぞ。」

幸次郎は静かにそう言った。

 

 

………

 

しばらくして、るるかが目を覚ます。

「玲二…」

「るるか。」

るるかは立ち上がって頬に触る。

包帯が巻かれていたり、絆創膏が貼ってあったりで処理されたのが分かった。

「玲二…私……」

「うん。」

「言っちゃった。ホントの事…」

「聞いたよ。」

玲二は静かに呟く。

するとくれあ達も近付いてきた。

「話せば楽になるかもしれないぜ?」

玲二がそう言うと、るるかは話し始めた。

 

「エクレールのマコトジュエルを取られて、戦う力を失ったくれあの記憶を…私は消した。怖かったから…」

「怖かった…?」

「あんな無茶な事をして…死んじゃうんじゃないかと思うと…怖くなったの。」

「それで私がるるかに記憶を消すかどうかを話して、るるかは了承したの…」

マシュタンもそう言うと、明らかに悲しい顔をしていた。

「彼女の記憶を消して私は安心した…でも心のどこかで不安だったの。またマコトジュエルを手に入れて…再びキュアエクレールになる事が…」

「だからマコトジュエルを壊そうとしたんだな?」

「うん…けど…結局は変身させてしまった…私は勝負を挑んだの。私が勝てば…マコトジュエルを壊すって。」

るるかは夕日を見て続ける。

「それで私は満足する…そう思ってたのに…心の底じゃ何故か嫌だった…一緒にいた時の記憶が消えるのが…」

「だからわざと敵になって…嫌われようとしたの…そうすればあなたは私の事考えなくて済むし…でもそれも何処か嫌で…」

るるかの目には涙が浮かび上がった。

「どうしたらいいのか分からなくて…自分でも何考えてるか分かんなくて…私…私…」

るるかがそう言うと、そのまま地面に足を付けた。そんなるるかを見た玲二は優しく彼女の肩を叩いた。

「…ようやく本音を言ってくれたな。」

「…確かにやり方は悪かったと思う。でもそんなやり方虚しいだけだ。」

「玲二…」

「けど…お前には俺達が居るだろ?くれあに俺、マシュタンやシュシュタンだって居たじゃねぇか!」

「そんなに一人で悩む必要は無い。お前には俺達が付いてる。」

「もっと頼ってくれよ。もっと迷惑…掛けさせてくれよ。」

玲二は立ち上がって彼女に手を差し伸べた。

るるかは顔を上げて玲二達を見つめる。

「あ…ああ…」

るるかは震える手で玲二の手を掴んだまま、そのまま泣き出した。

「ああああああっ……!」

玲二はその手を優しく受け止めた。華奢な手はいつもより小さく感じる。

それを見たマシュタンは涙を拭きながら呟いた。

「るるか……良かったわね」

彼女の思いが報われたようが気がしてマシュタンも嬉しそうだった。

 

しばらくしてるるかは立ち上がってくれあの方を見る。

「くれあ…その…」

「何も言わなくていいわ。おかえり…るるか…」

「くれあ…うん…ただいま…」

彼女は泣きながらも笑顔で笑った。

 

玲二達はその様子を見て涙を浮かべてきた。

「いやぁ…感動的だぜ。」

「うむ…これはハッピーエンドというやつでは無いか?」

「かもな。」

流介、幸次郎、玲二の三人はそう言いながら二人の方を見つめていた。

 

すると、るるかのティアアルカナロッドが光を放ち出した。同時にマシュタンが持っていたペンダントが長杖に形成される。

「…シャインアルカナロッド…」

それはかつてるるかが名探偵としてのキュアアルカナとして変身していた杖だった。

マシュタンはそれを見て驚く。

(預かっていたのだけれど一体何事ー!?)

 

すると、ティアアルカナロッドとシャインアルカナロッドがまるでお互いを求め合うかのように、惹かれ合い、そのまま混ざり合うように融合されていった。

「…これは…」

 

るるかの思いに呼応するように、二つの相反する長杖は新たな力が湧き上がる…

ティアアルカナロッドとシャインアルカナロッドは『ワイルドアルカナロッド』へと進化した…。

 

るるかはその杖を掴む。

羅針盤のような黒と白の装飾がなされたその杖は神秘的で荘厳な雰囲気を漂わせていた。

「るるか…それは…」

「多分、今の私にとって必要な物だと思う。」

るるかは立ち上がって玲二のところに歩く。

「玲二。今更言っても遅いと思うけど…」

彼女の距離が近くなるにつれて玲二の顔も少しづつ赤くなる。

「私…みんなを守りたいんだ。もう後悔しないように…だから…」

「これからも…一緒に戦ってくれる…?」

少し不安そうに話すその顔を見た玲二は戸惑う事無く言う。

「当然だろ?俺らは仲間なんだ。そんなに堅苦しいのは無しで行こうぜ。」

「れ、玲二…」

それを聞いて安心したるるかは少し涙を浮かべる。すぐさまそれに反応した流介。

「お、玲二女の子を泣かせるとはなぁ〜」

「え〜?玲二さんひっど〜い」

みくるも乗るようにそう話した。

玲二はそれを聞いて焦った。

「ちょ…そういう訳じゃ…なあるるか…」

「乙女の純情を弄ぶのはサイテー。」

「る、るるかぁ…!」

その瞬間に玲二達は次第に笑っていった。

久しぶりに全員が心の底から笑った気がした。

 

 

 

 

…そんな中、遠くから彼らを見つめる謎の青年が居た。

「へえ…バレットとブレイザーねぇ…ロンドンに居た時には見た事もない奴らだなぁ」

飄々としつつも何処か影を感じさせる青年が足を組みながらオレンジ色の百日草を持っていた。

「それにウソっちを倒したあのキュアエクレールも厄介だし、ジュエルキュアウォッチがこの世に二つもあるなんてイレギュラーだ…」

彼はくれあの方を見た後に、あんなとみくるの方を見つめる。

そして玲二の隣に居たるるかの方を見つめた。

「まあいいさ…ウソっちがやられた以上、俺も動かなくちゃね…」

青年は立ち上がり持っていた花を捨てて踏み付けた。

そして振り返って影の中に消えた。

 

そんな彼を玲二達は見ることは無かった。




アルカナとアルカナ・シャドウどっちにもされるオリジナルアイテムとして登場したワイルドアルカナロッド。簡単に言えばデュアルメアカプセムとかゴチポッド。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。