第一部は。
「はあ…散々だねこれは」
怪盗団ファントムの拠点…に来たニジーの最初の一言はこれだった。
以前に来たバレットとブレイザーによって見るも無惨に破壊されていた。
ライトは割れ、壁には穴だらけ、装飾品も剥がれ、なんなら水漏れもしれいる。
「ようやく入れたと思ったら、こんなザマか。」
「…ウソノワール様、これどうすんの?」
ギャル風の姿をしたアゲセーヌはウソノワールを抱いて歩く。その後ろには大柄の男ゴウエモンが二人を守りながら歩いていた。
「これを直すのは無理だろうな…」
ゴウエモンはそれを見ながら呟く。
「しかし、仮面ライダーか…」
ニジーがそれを呟くと瓦礫を片付ける。
「ウソノワール様ぁ、これからどうすんの?新人抜けちゃった上に拠点がこんなんじゃさぁ。」
「外に出た時、テレビは廃棄施設送りと張り紙があったな。よし、外に出た時、すぐに持ち去るぞ!」
「ライライサー!」
ウソノワールはそう指示するとニジー達は独自の敬礼をした。
すると、後ろから拍手の音がする。
「やあウソっち。随分と苦労してるね。」
「その声…」
アゲセーヌが振り返るとそこには青年が立っていた。
「…デッチ・アゲインか…」
そうして彼は姿を表してウソノワールの方を見て頬っぺを触る。
「鎧壊したんだってね?しかも、キュアエクレールに。」
「あんまり触るなうっとおしい。」
低い声で言うものの、見た目のせいかあまり怖さを感じられなかった。
彼は瓦礫が少ない椅子に座って話す。
「ロンドンからはるばるこっちに来たけど、なかなか興味深い相手が増えてるみたいだねぇ。こっちは俺に任せなって。」
「…ふん。奴を侮らない方がいい」
「へぇ?君がそんな事を言うなんて…なら、期待して待っておくよ。」
そう言ってデッチはそのまま外に出た。
ニジーは地面の水溜まりを見る。
「仮面ライダー…あの力…何処から…」
ニジーはその言葉を静かに呟いていた。
そして静かに思う。
(あの力があれば…僕はウソノワール様のように強くなれるかもしれない…)
彼は内心闘志を燃やしつつ、帽子を脱いでそう思った。
…
その頃、るるか達は廃遊園地の駐車場にシートを敷き、武器について話していた。
「このワイルドアルカナロッド…以前使ってたシャインアルカナロッドやティアアルカナロッドとは性質が違うみたい。」
るるかがそう言うとマシュタンが二つの写真を持ってきた。
「ふむ…こちらがティアアルカナロッドで…こちらがシャインアルカナロッドか…そして、るるか殿が持つそのワイルドアルカナロッドか…」
幸次郎は杖を見ながら言う。玲二はその二つの写真を見比べた後にるるかが持っているワイルドアルカナロッドを見て思う。
「なんかオメガモンみたいだな。」
「でもよ、その杖になってなんか変わった事無いのか?」
玲二が呟いた後に流介がるるかに聞いてみる。
「多分…この武器はキュアアルカナにもキュアアルカナ・シャドウにも変身出来る事…」
「つまり…名探偵と怪盗としての姿を使い分けられるって事?」
「ええ。まあ、もう怪盗として変身するつもりは無いから、戦術を切り替える形での変身にしようと思う。」
「別の姿への変身かぁ…バレットにも欲しいな。」
「…玲二殿は元々の力で何とかなるのではないのか?」
「ほら、スーパー合体とかカッコイイじゃん?それだよそれ。」
玲二は力説したが幸次郎はあまり分かっていなさそうな様子だった。
くれあが聞くとるるかは頷くが一部を訂正した。
そうしてみんなが話し合っている中、電話がかかってくる。
「お、みくるからじゃん。」
流介が電話に出ると、みくるの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「流介さん居る?他のみんなも」
「居るよ。どうかしたか?」
『…紹介したい人が居るんだ。キュアット探偵事務所に来てくれない?』
「な、なにー!?まさか…家族の紹介…!?」
『いや違うから』
速攻否定されて溜息を吐く流介。
「わーったよ。すぐ行く。」
そう言って電話を切った。玲二達はすぐに彼を揶揄う。
「いやいきなりあの発言は…」
「ちょっと不用心かも」
「流介さん…少し考えての発言を…」
「おい!冗談だって言ってただろ!?そんなに信用無いか!?」
「「「うん」」」
「率直ッ!」
そうして彼らはすぐにキュアット探偵事務所に向かう。
すると、金髪の髪をした少年とその頭の上に乗るピンク色の妖精が居たドアを開けて歓迎した。
「ようこそ、キュアット探偵事務所へ。僕はジェットだ。よろしく。」
「よろしくポチ!」
「…?子供と…妖精じゃないか。」
玲二達は顔を見合って言う。すると、奥からマシュタン飛んできて玲二の頭に座った。
「子供じゃないわよ。私たちと同じ妖精。人間になってるだけの222歳よ。」
「俺より206歳年上…!?」
玲二がジェットの姿を見て驚きを隠せない様子だった。
そんな彼を気にせずマシュタンは妖精の事も紹介する。
「この子はポチタン。あんなとみくるのおとも妖精よ。仲良くしてあげてね。」
しかし驚いたままフリーズしていた玲二。呆れて彼を連れて行くるるか。
そのままキュアット探偵事務所に入ると何やら良い匂いがしたが、るるかに案内されるように進んでいった。
「…良い匂いだな。」
「トップオブリリーの香水の匂い。くれあの奴に入ってるでしょ?」
「トップオブリリーフレグランスの匂いのやつか。確かに良い匂いかも。」
百合とミントのような香りが事務所内に漂っていた。
そんなこんなで玲二達は広い部屋に案内された。
「あ!玲二さん!」
「流介さんも!」
みくるはそそくさと流介に近寄り、あんなは玲二達に近寄った。
「で?なんか話があるんだって?」
「…!そうでした!これ見てください!」
するとそこには予告状があった。怪盗団ファントムの。
「これって怪盗団ファントムの予告状じゃねぇか!」
るるかにカードを見せる玲二。るるかは少し考えた顔をする。
(おかしい…確かに壊滅させても予告状は送れはするけど…あの状態で予告状を出しても盗みは不可能…)
探偵らしい顔向きで考えるるるか。
そしてすぐに時計を見る。
予告状には"14時34分"と書かれており、現在は14時08分だった。
「…しかもここから近い芝山公園…よし、みんな行こう。」
るるかがそう言うと、玲二達も頷いて答える。そのまま窓から外に飛び出した玲二と幸次郎。
「おい靴ー!」
流介が叫んで言うと玲二達は持ってこいのジェスチャーをした。流介は溜息を吐いた後にそのまま走っていった。
るるか達も急ぎで、玲二達の後を追った。
それから約10分後に到着したが、誰も居なかった。
「少し早かった?」
「奇襲されるやもしれぬ。某達は隠れて待機しよう。」
玲二と幸次郎は公園近くの噴水の近くに隠れた。
するとるるか達も遅れて到着する。
辺りを見回すが誰かが居る様子は無い。
「幸次郎さん達まだ来てないのかしら…」
くれあがそんな事を呟いた瞬間……るるかが感じ取ったのは殺気…急いで全員に伏せるよう叫ぶと、前方からプロペラ機のような怪人が飛んできて、公園の遊具の上に止まった。そしてその隣には使役者らしき青年が立っていた。
「やあ、名探偵プリキュアの諸君。」
るるかは青年の姿を見てすぐに武器を構える。
「あなたが予告状を出した人!?」
「そうとも、それにしても、久しぶりだっていうのに挨拶も無しかい?るるか。」
「…デッチ・アゲイン…」
るるかがその名前を呟くと全員が彼女の方を見る。
「るるかさん、知ってるんですか?」とあんなが聞くと、彼女は頷く。
「ロンドンに居た時に色々世話になった人…それから、私にシャドウの力を授けた男でもある。」
「心外だなぁ。別に君も望んでただろ?その隣の子の為に……だったよね?」
くれあの方を指指すデッチ。るるかは顰め面をした後、すぐに立ち直る。
「あの時はそうだった…くれあのマコトジュエルさえ破壊すれば良いと思ってた…」
「けど違った。みんなは言ってくれた、一緒に考えようって。」
「……だから私は戦う。この名探偵としての力と…闇の力を使って。」
るるかはそう言ってワイルドアルカナロッドを構える。デッチは少し溜息を吐いて頭をポリポリと搔く。
「なるほど……あくまでシャドウの力も自分の物にした…って解釈でいいんだね?」
「でも、そんな事でっち上げた事を言ったって、闇は君を逃さないよ?」
「例えそうでも、私は戦うって決めた…!」
るるかの顔は以前よりも決意に固まった顔でデッチは深く溜息を吐いた。
そのまま隣に居たプロペラレガルーに指示を出す。
「んじゃ、さっさと終わらせようか。」
そう言って指示を出す…が、背後から近付くバレットとブレイザーに気付かなかった。
お互い武器とトリガーを何度も押して必殺技を放ち、プロペラレガルーとデッチを地に叩き付けた。
プロペラレガルーはその場に転がり伏せ、デッチは何とか着地する。
「なるほど……噂の仮面ライダーって奴か。」
「話は聞いた。お前がるるかと関わりがある事もな。」
「へえ……物分かりが良いね。」
玲二は少し怒っているのが仮面越しでも分かる様子だった。
歩きながらバレットストライカーをホルダーから抜いてデッチに近寄る。
「怒ってるのかい?」
「かもな。主な理由は……お前がるるかの気持ちを弄んだって事だと思うぜ!」
「おいおい、弄んでなんか無いさ。彼女が求めて、俺はあげただけだ。何一つ弄んでないだろ?」
「そういう言動が物言ってんだよ!」
玲二は拳を握ってデッチに攻撃する。彼は気さくに回避しながら彼を煽る。
「単細胞だね。何をそんなに怒ってるんだい?」
「へっ、いちいち気に障ること言うな。お前、友達居ないだろ。」
「冗談は顔だけにしなよ。俺にはウソっちっていう大親友が居るんだから。」
そんな事を話しつつ、玲二達は連撃で攻めていた。
その頃の幸次郎はプロペラレガルーの回転する羽の攻撃を受けて怯む。
「玲二殿と違い…某の武器には遠距離武器は無い…」
そんな事を話しつつ、懐に隠してあるナイフを取り出して投擲する。
その攻撃でダメージを受けて地に伏せた。
デッチはその様子を回避しながら見る。
「……流石にピンチだな。しょうがない。勿体ないけど使っちゃうか。」
デッチは二つのレガルーキューブを取り出して投げる。
二つのキューブは怪人の形に形成され、バイセコレガルーとカギレガルーを召喚した。
「…!」
くれあ達はそれを見て変身する。
デッチは玲二をあしらいつつ、そのまま彼を横目にその様子をじっと見ていた。
「ほうほうほう……やはり不思議だよキュアアンサーとミスティック。興味深い…」
ニヤニヤとした様子を見せながら建物の上に座るデッチ・アゲイン。
るるかも急いで変身する。ワイルドアルカナロッドでの初変身で、彼女はキュアアルカナ・シャドウに変身した。
「くれあ。私達は自転車の方をやろう。みくるとあんなは鍵の方をお願い。」
「はなまる了解!」とあんなが言うと、アンサーはなまるソードを召喚して立ち向かう。
みくるもミスティックレイピアを召喚して立ち向かいに行った。
しかしカギレガルーが何やらオーラを放つと、あんな達の身体にまとわりつき、身体を拘束した。
「な、何!?」「動けないー!」
それに気付いた玲二は急いで二人の元に向かい、鎖に銃口を向けて放つ。
……しかし壊れる様子は無かった。
「駄目か!……あのレガルーを倒さないと駄目らしいな。」
カギレガルーの方を見ながら、チップをレーザーに交換する。
そのまま走ってレーザーを照射した。
カギレガルーに攻撃が当たり、向こうはエネルギーを放つが、玲二は地面にレーザーを放って溶解させた。
カギレガルーは戸惑いつつ、近付こうとする。
しかし、そこにはチップをバズーカに変えていたバレットがカギレガルーの真下から攻撃した。
連続で放たれた爆発によって吹き飛ばされるカギレガルー。
「威力ならどのチップよりも強いんだぜ。」玲二は自信げに言った。
同時、幸次郎はプロペラレガルーが飛び回る中、一旦動きを止める。
そのまま周りの音を聞きつつ、目を開き、振り返って剣撃を一撃放ってプロペラレガルーを墜落させた。
「どんなに俊敏だろうと……隙はある。」
そしてるるかとくれあさバイセコレガルーに攻撃を仕掛ける。互いに息ぴったりの連携を見て驚くあんな達。
「凄い!初めての連携なのに……」「息ぴったり!」
「これぐらいに着いて来れなきゃ、るるかの助手は務まらないもの!」
くれあは飛び上がって顔を蹴り、その下にスライディングで杖から光弾を放って怯ませた後に蹴りを二回目お見舞いした。
「決める。」
るるかはワイルドアルカナロッドの先端のカードを左に回した後、左に武器を回転させてエネルギーを形成する。
「……アルカナクイックブレード…!」
エネルギーの日本刀が形成され、そのままゆっくり近づく。
バイセコレガルーが唸り声を上げながら突撃する。
その刹那…
るるかはレガルーを通り過ぎ、そのまま納刀するモーションを取ってワイルドアルカナロッドに戻った。
デッチはその様子を見て少し考える。
「やるなぁ……なら、こっちも面白いのを見せようか。」
デッチは三つのレガルーキューブを集め、そのまま合体させる。
すると三体のレガルーが集まり、それぞれの特徴を併せ持ったレガルーを誕生させた。
右腕にはバイセコレガルー、左腕にはプロペラレガルー、そして身体はカギレガルーの見た目をしたレガルーだった。
「どうだい!?全く新しいレガルー…合体レガルー…じゃダサいな…」
デッチは考えた後、指を鳴らして言った。
「……そうだ、ミクトレガルーにしよう!さあ、コイツの相手が務まるかな?」
ミクトレガルーという総称を与えられた合体レガルー。そうして彼はこの流れで三体が合体したレガルーをブリッツレガルーと呼んで玲二達に仕向けた。
ブリッツレガルーはプロペラで飛びながら鍵光線を放つ。
「くっ…」
るるかはすぐに飛び上がって、ブリッツレガルーの足を掴んで地に墜落させ、そこから猛攻を加える。
(るるかってあんなに喧嘩殺法だったかな……?まあいいか。)
玲二は何処と無く自身の戦い方とシャドウ状態のるるかの戦闘のやり方が似ていると思いつつも、気にせずに加勢に向かった。
るるかはそのまま玲二の近くに寄り、共にブリッツレガルーに向けて武器を向ける。
「玲二、行ける?」
「おうともさ!」
玲二はチップをマグナムに戻してトリガーを三回押して必殺の体勢に入る。
るるかもワイルドアルカナロッドのカードを回し、アルカナスターレインの体勢に入る。
そのまま同時に必殺技を放つとブリッツレガルーは回避の為に再び飛行するが、ホーミングするアルカナスターレインを回避出来ずに再び墜落した。
「……次は…こっちを試す。」
るるかはワイルドアルカナロッドの上部に拳を下ろし、そのまま羅針盤部分を回転させた。
すると、るるかの服が次第に変化する。
黒の服が次第に白く染まり、逆にスカート部分が黒く染まっていった。
そうして旋風を払うとそこには色が逆転したキュアアルカナの姿があった。
「これが…私の名探偵としての姿…キュアアルカナ…!」
るるかはそのまま接近して攻撃を仕掛ける。
先程とは違い、敵にゆっくり近付き、攻撃を避けながら適度に攻撃を与えた。
「おいおい、そんな攻撃じゃビクともしないよ?ブリッツレガルー!やれ!」
そう言って攻撃を促すデッチ。しかし、ブリッツレガルーの攻撃はるるかには命中しなかった。
そのまま再び適度な攻撃を与えていくるるか。
すると……バキッと言うの音とともに、ブリッツレガルーの胸部辺りにヒビが入り、そのまま崩れていく。
「やっぱり、急に合体したせいで、装甲部分の強度がおざなりになってる。」
「でも、壊したお陰で早くはなったよ!」
デッチが言うが、るるかは失笑する。
そしてすぐに杖を構え、そのまま幾つも球体のエネルギーを展開してブリッツレガルーの周囲に展開する。
「終わらせる…!」
そのまま球体は止まり、そこから間を置いた後、るるかは目を開けて狙いを定めた。
「アルカナマリオネットゾーン…!」
そうして球体はブリッツレガルーの体の隅々を貫いていき、そのまま全身を貫き、爆散させた。
「……キュアット解決……なんてね。」
そう言って杖を地面に突いて照れくさそうに呟いた。
そうしてデッチはブリッツレガルーが倒された事で立ち上がってやれやれという感じで立ち去ろうとする。
しかし、玲二はすかさず走ってデッチの頬をぶん殴った。
「!?」
デッチはなんとか受身を取って立ち上がると、変身解除した玲二が立っていた。
「……面白いやつだ……名前はなんだ?」
「……玲二…早乙女玲二だ!」
「……覚えておこう……早乙女玲二…」
そう言って彼は姿を消した。
……そうして夜。ファントムのアジトはゴウエモンが修理中だった。
「いやぁ、ウソっち。君の言う通りだ。油断しない方が良いね。」
「何があったかは知らんが……お前も修理を手伝え。」
そう言ってウソノワールはアゲセーヌにトンカチを出すよう促し、アゲセーヌはデッチにトンカチを手渡す。
「ほら、早く修理するし!」
「……はいはい。」
そうしてデッチは素直に受け取り作業を始めた。だが、内心は溢れ出る玲二への対抗心が現れていたのだった。
(面白い相手じゃないか早乙女玲二…次会った時が楽しみだ…)
そう呟きつつも、デッチはアジトの修理をするのだった。
その頃、帰り道、るるかと玲二は話している途中だった。
「るるか、アルカナ・シャドウの時の戦闘スタイル俺みたいだったな?」
「気付いた?使い分けする時に分かりやすいと思ったから…」
「武器の性質に合わせて戦闘スタイルを合わせるのは基本。これからは使い分けしないとな。」
「使い分けねぇ…ま、俺には関係無いけど。」
玲二はそう言いながら今日の夜ご飯の事を考えた。
るるかはその様子を見て溜息を吐きつつ、玲二に見えないように笑っているのだった……。
パワーとテクニックってカタストロムとオルデルムじゃん!