夏休み……それは学生のみに許された夢のような日々の総称。
そんな暑い夏の日、くれあはぐっすり眠っていた……
「くれあ殿。特訓しよう。」
「んえ…?」
が、その時間は終わった。
しれっと入ってきた幸次郎に何も言わずに何をするのか聞くくれあ。
「特訓って…何するんですか…?」
「るるか殿がリビングで待っているらしいので聞いてみると良い。」
幸次郎は平然と言って部屋を出た。
くれあはそのまま新しく買った私服に着替えてリビングに向かう。
そこにはサングラスを掛け、ソファに足を組んで座っているるるかの姿があった。
「る、るるか!?」
「おはようくれあ。早速で悪いけど特訓よ。」
「だからなんで特訓?」
くれあがそのことを聞いてみようとすると、るるかは立ち上がってサングラスを外す。
「くれあ、キュアエクレールの事は知ってるわよね。」
「ええ……私が変身するプリキュアで、物凄く早い…」
「そう。その物凄く早いの部分。それは長所でもあり短所でもある。」るるかは続ける。
「あの高速移動は敵の隙を作るにはピッタリではあるけど、その分、くれあへの負担も激しい。」
「あのスピードに身体が着いていけてないの。私と戦った時に血涙出てたのもあれが理由。早すぎるスピードと体に鞭打って負担はかなりある。」
「最近だって、眠くなったり長時間寝る事もあるでしょ?」
「まあそのお陰で健康なんだけどね。」
くれあは胸張って言った。確かに早寝早起きが続いてくれあは非常に健康体ではあるが、るるかは「それとこれとは別問題…!」と言って説得した。
「……あなたが戦ってくれるのは心強いけど、無理はして欲しくないって事。幸次郎さんも着いてきてくれるから、一緒に頑張ろ。」
「……みんな私の為に…?うん…私頑張ってみるわ!」
くれあのやる気が沸き上がり、内心ガッツポーズするるるか。
そうしてエクレール強化期間が始まったのだった……。
そうしてくれあ達はジャージに着替え、近くのスタジアムに足を運ぶ。ジェット先輩が色々言い繕って貸し出してもらったそうだ。
「いい?高速移動に耐えられる以前に、体力が無いとダメ。体力も無しに走ればみくるみたいになる。」
くれあが指差した方向にはみくるがまるでスライムが暑すぎて蒸発するぐらいにはぐったりと大の字で倒れていた。
その隣ではポチタンが口に直接水を入れている。
「そうね……試しに走ってみて。」
「わ、分かった……」
そうしてくれあは走る体勢をとる。
「えーい!」
そのまま一気に走り出した。……………………るるかがタイマーを押す。100m走を23秒57だった。
「……遅すぎ。」
「私パティシエだよ!?」
くれあがそう息を荒くしながら言うと、玲二も100mを走り、流介がタイマーを止める。
「……おお、すげぇ!9秒47!俺は14秒23だったからすげー…」
「マジー?」
冗談を言いながら笑い合う玲二達。
幸次郎はというと、独自でタイマーを押して9秒31だった。
「……うむ……もう少し早くするには構えの調整か……」
ブツブツ言いながら考える幸次郎。くれあは彼らをじーっと見るが、るるかは「あれは参考にしなくていい…」とだけ言った。
くれあはみんなの様子を見ながらシュシュタンが持ってきた水を飲む。
「……でも、体力付ける意味が分かったかも!よーし、燃えてきたわ!」
くれあは目を燃やしながら決意した。るるかは呆れつつも、乗ってくれたので無問題という顔だった。
そうして特訓時。
山道を丸太を抱えて10往復するくれあ達。
るるかも付き合わされ、息を荒らげてひいひい言いながら走る。
「なんで私まで…!」
そのまま担いだまま走り続けるくれあ達。
暑い夏の一日はそうやって過ぎていく…
しかし、数時間もすると全員バテてきた。
猛暑+特訓のせいもあり、疲労が溜まっていたのだった。
「もう無理…」
「継続は力だから…」
るるかとくれあは水を飲みながら話す。
玲二と幸次郎と流介の三人は疲れつつも少し休憩すればすぐに動けそうな状態だった。
「幸次郎さん達……凄いよね…」
「玲二以外運動部だから…」
「玲二さんって……運動部じゃないんですか…!?」
あんなが驚いてるるかの方を見る。
みくるは内心
(あれっ、玲二さんって自分の部活言ってないのになんで知ってるんだろう…?)
と思ったが気にしたら負けということで気にしない事にした。
「じゃああれは天性の才能なのね…」
くれあは汗を拭きながら言うと、立ち上がって準備する。
「私も負けてられないわ。キュアエクレールの名前の通りにもっと早くならなくちゃ!」
そう決心するくれあだった……
……その頃、各所にて様々な組織が動き出していた。
…ファントム アジト。
「デッチ・アゲイン。これからどうするつもりだ?」
「レガルーキューブを集めに行くのさ。あれを集めて、こっちも目的の為に頑張ろうって話。」
「ふんっ。その目的が我々の利益になるといいがな。」
「きっとなるさ……ウソっち。」
怪盗団ファントムの面々…
…とある廃棄された宇宙船。
「……ほう…どうやらこれが新しい我らの姿か…」
「へへっ、人間共はかなり良い趣味してやがるなぁ。」
「はるか昔のあの時代の技術が優れているのみ、奴らもすぐに追いつくだろう。」
「遂に我々の時代か来るというわけだ……」
機械と動物のハイブリッドのような四体の戦士は静かに施設の復旧を行った。
…日本行きのタンカー内のアジト。
「というわけで今日から俺がボスだ。」
「みんなもみんなの為にしっかりバリバリに働いて頂戴」
「世界の改革の日は近いんでな。きっとやってくれるって信じとる」
「という訳で、みんなでめっためた頑張るさかいな!」
フードを深く被った悪魔みたいな博士は玉座に座りながらそう話した。
…まことみらい市近くの住宅。
「バレットとブレイザーのデータはどうだ?」
「恐らくかなり取れているかと。」
「ならばもう少し観察してみようじゃないか。」
「彼らには真実と嘘を行き来する道化になってもらおう……」
謎のドライバーを持ち、紋章にZの文字が刻まれた白衣を着た男はそう言って楽しそうにしていた。
……それから数時間もして、空が暗雲立ち込めてきた。
「まずいな。これ雷降るかもな。」
「今日天気予報に雷は無かったのに…」
くれあが言うとるるかは考える。
「ひとまず、今日は帰ろう。」
そう言ってるるか達はキュアット探偵事務所に戻る。
しかし、その道中でレガルーが現れた。
避雷針のようか突起が生えているヒライシンレガルーだ。
彼が現れ、そのまま雷がレガルーに落ちた。そのエネルギーを吸ったかのように力を増しているように見えている。
「あのレガルー…以前戦った奴より強そう…気を付けて。」
るるかがワイルドアルカナロッドを構えると、くれあは隣に立ってトップオブリリーフレグランスを構える。
それを見たるるかはくれあを見た後、微笑んで同時にマコトジュエルをセットし、そのままキュアアルカナとキュアエクレールに変身してヒライシンレガルーに走る。
「はあ…!」
くれあはエクレールデュアルセイバーを召喚し、そのまま流れるように攻撃を仕掛ける。
しかし、ヒライシンレガルーは彼女に触って彼女は電撃で痺れた。
「あばばばばばばばば」
「くれあ!」
るるかは光弾を放って二人を離す。
くれあの身体には少々電気が迸り、収まる気配が無さそうだった。
「…くっ…」
「この状態で高速移動は危険。今回は援護して!」
「分かった!」
くれあはデュアルセイバーを二刀流にして走る。
るるかは光弾を展開して周囲に置く。
そのままヒライシンレガルーがくれあに攻撃する際に光弾を飛ばして援護した。
「こうしちゃいられない…私達も…!」
あんなとみくるはジュエルキュアウォッチを取り出す…………が、無い。
「あっ!!今日戦わないと思って持ってきてなかった!!!」
「うそー!?」
あんなとみくるの様子を見て流介は玲二達に言う。
「……という訳だから、玲二と幸次郎さん頼むぜ!」
「はいよ!」「承知した。」
玲二と幸次郎はそう答え、お互いバレットストライカーとブレイザースラッシャーを構えて変身する。
「変身!!」の掛け声と共にバレットとブレイザーに変身する二人。
ヒライシンレガルーに攻撃するものの、感電してダメージを受けてしまった。
「玲二殿……銃なので撃てば良いだろう…」
「癖だよ癖。」
玲二はそう言って後方に下がり、そのまま射撃を始める。
「某は……ナイフか!」
幸次郎もスティレットナイフを投げて援護するがヒライシンレガルーは怯まずに周囲に電撃を浴びせてくる。
そんな時、シュシュタンが白色のマコトジュエルを持ってきてくれあに近寄る。
「くれあ!ジェットが持ってきてくれた新しいマコトジュエルでシュ!」
「え、いきなり?」
「これは属性によって姿を変えるマコトジュエルなんでシュ!それを使って電気を吸収するでシュ!」
「これをジェットさんが…?」
「ジェットの経験から出てきた、新しいマコトジュエルでシュ!」
シュシュタンからマコトジュエルを受け取るくれあ。
そのままヒライシンレガルーを見てマコトジュエルを構えながら走る。
……しかし、ヒライシンレガルーは唸った後、身体から生やしていた避雷針をくれあの周囲に突き刺し、そのまま動けなくした。
「!?」
しかも、そのまま避雷針はくれあを狙うかのように落雷の予感を感じさせた。
「まずい…!」
るるかが避雷針を何とかしようとするが、攻撃しても折れる気配は無い。
「くれあ!」
「…!」
そして落雷が降り注ぐ。
玲二達もそれをすかさず避けるがくれあに落雷が当たるのは避けられない……
(一か八か…!)
くれあは受け取ったマコトジュエルを投げて急いでしゃがんだ。
落雷は激しい轟音と衝撃を周囲に響かせ、その光で周囲の雲が晴れ始めていた。
「…………なんともない…」
くれあが目を開けると、怪我をしている様子はなく、その前には電気の模様をしたマコトジュエルが浮かんでいた。
「凄いでシュ……」 シュシュタンがそう言うと、避雷針から出たくれあはそのまま新しいマコトジュエルを構える。
「試してみるわ…私のきらめきで!」
トップオブリリーフレグランスにマコトジュエルをセットする。
そのまま手を口に寄せ、指を鳴らした。
その直後、彼女は高速で走り出す。
雷撃を纏い、その水色の衣装と装飾から黒と黄色のイナズマ模様に変えながら。
その高速の一撃にヒライシンレガルーは避けられずに吹き飛ばされ、その飛ばされた先には既にくれあが立っていた。
雷撃が周囲に拡散され、そしてキュアエクレールの新たな姿として顕現した。
「これがキュアエクレールとしての新しい力…」
くれあが驚いていると、シュシュタンが嬉しそうに話す。
「まるでプラズマのような稲妻の如きスピードでシュ……あの姿は…キュアエクレール:プラズマスタイルでシュ!」
「プラズマスタイル……そうね…」
くれあは指を刺して自信げに、そして強気に答えた。
「私はキュアエクレール…プラズマスタイル!」
くれあはそのまま新たな弓の形をした武器を召喚する。
「プラズマブラスター!」
即興でくれあが名付けたプラズマブラスターでヒライシンレガルーに突撃して猛攻を仕掛ける。
攻撃が来た際には受け止め、そのまま雷撃の矢を放って攻撃する。
その様子を見たるるかは嬉しそうな顔をした。
「……凄い…雷の力で高速移動を制御してるなんて…」
そう言うるるかの目には雷撃が踊るように舞う姿だった。
「音を超える…!」
くれあはそう言って音すらも置き去りにするスピードを一瞬だけ披露した。
一瞬でヒライシンレガルーを吹き飛ばし、宙に舞ったレガルーを逃さずにプラズマブラスターの刀身にチャージしてそのまま薙ぎ払って爆散させた。
「キュアット解決!」
そう言って彼女は変身を解除すると、空から日差しが差し込んだ。
「勝ったー!」
あんな達は嬉しそうにくれあ達に近寄った。
るるかも変身を解除して彼女に近付く。
「全く…無茶するなって言ったばっかなのに…」
「あっ、ごめんなさい…」
「……でも、新しい力を使いこなせるなら、許す。」
るるかはツンとした微笑を浮かべていた。
そうしてくれあの特訓は大成功…?という形で終わったのだった…。
プラズマイナズマ