怪盗団ファントムのアジト…デッチ・アゲイン達は映写機で今までの仮面ライダーやプリキュア達の戦闘の様子を眺めていた。
「やっぱ勝てないし…これホントに世界を嘘で覆えるの?」
「やってみなくてはわからん。アゲセーヌ、お菓子をよこせ。」
ウソノワールを抱き抱えるアゲセーヌは彼の口にポテチを運ぶ。
「しっかし、後輩達がここまで成長するとは…俺は感無量だぜ…」
ゴウエモンは出た涙を拭きながら画面を眺めていた。
ニジーも黙ったままその画面を見続けるが、デッチは苛立った様子でアルカナとバレットの共闘するシーンを見つめていた。
それも念入りに、じっくりと。
まるで動物を見つめるかのように繰り返しシーンを眺め続け、その様子は何処か不気味に感じさせるようだった。
「森亜るるか…キュアアルカナ…僕の描いた脚本に従ってくれないなんて残念だよ…。」
彼は残念そうに声を出し、立ち上がって外に出ようとする所をニジーが声をかけて止めた。
「ヘイベイビー、何処に行く気だい?」
「何処へ?そうだね。キュアアルカナ・シャドウを堕落させてしまった最大の”癌”を始末しようと思ってさ。」
それを聞いたニジーはしかめっ面をして睨む。
「……君は…一体何をするつもりなんだ?」
それを聞いたデッチは静かに答えた。
「何を?そんなの、世界を嘘に覆うことに決まってるだろ?君だって、同じだ。」
至近距離で笑いながらそう答えるデッチ。
ニジーからは目は見えなかったが、笑っていなかった。
「なら、僕も行くとしよう。折角だからね。」
「分かった。なら行こうか。ちょうど新しいのも試したいしね…」
デッチはレガルーキューブと謎のブレスレットをチラつかせ、そのまま外へと出て行った。
………
その頃、玲二はパソコンを弄っていた。
ジェットによってジャンクパーツから構成されたパソコンで、キュアット探偵事務所にあるアジトの片隅にある机の上にポツンと置かれてあった。
「何してるの?」
「プログラムを作ってる。」
るるかが彼に聞く。滅多にパソコンを弄ったりしない彼が気になっていたからだ。
玲二は「このサイバースペースに想像した物をプログラムしたら、向こうで実体化させてくれるらしい」とだけ答えた。
不可思議な話でアホ毛が?の形のようになるるか。
「それってホント?嘘っぽいけど…」
「大丈夫だって、俺が嘘をつくとでも?」
「あんなじゃないんだから…」
そんな事を話しつつ、彼はプログラムを完成させた。
「できた…名付けてゴッドオーガ!」
彼はカタカタとプログラムを打ち込み、隣の機械にデータを移した。
「これで終わったらチップが出るらしい。」
「信用ならない……」
「俺だって信用はしてない。けど、ジェットが作ったんなら多分行けるでしょ。」
確信もしていないし、むしろ疑問もありつつ、ジェット製だからという理由で信用はしている彼を見て、るるかも苦笑いしつつ、信用する事にした。
「終わるまで後1時間……この間に敵でも来たら終わりだな。」
「フラグ立った。」
すると、窓から予告状が二つ届いた。
「怪盗団!」
二人は急いでカードを取る。
確かにファントムの予告状で、二人は見合った後に頷く。
「今日の昼過ぎ、初の出会いをした地にて月の少女が最も大切な存在を奪う…」るるかの予告状にはそう書かれていた。
しかし…
「今日の昼過ぎ、霧が包み込む森にて猛き要塞を頂戴する」玲二の予告状にはそう書かれていた。
「書かれてる事が違う…」
「まあ気にするなって。俺は森を探してくる。」
「気を付けてね。」
「そっちこそ。」
二人はそうお互いにらしい返しをして、そのまま外に飛び出した。
そうしてるるかは他のメンバーにも連絡した後、学校に向かった。
(月の少女…恐らくは私の事だと思う。この前マシュタンが占った時、私は月のタロットが選ばれていたから。)
彼女はバイクを降りて辺りを見回す。
「居ない…ここじゃない?」
そうして再び頭を回転させ、考える。ハッとなり、頭にはひとつの記憶が浮かんだ。
初めて玲二の学校に来てからしばらくした後に一緒にアイスを食べていたあの記憶だった。
「もしかしたら…」
彼女は向かおうとする前、携帯に手を取って幸次郎に連絡を取った。
その頃、玲二は霧が濃いと噂の森に来た。
「猛き要塞ってなんだろ…この森の中にそんなすげぇものが?」
玲二はそう思いつつ、バレットストライカーを手に持ち、構えながら周囲を警戒しつつ歩く。
……静けさが逆に不気味さを促進させ、まるで一人取り残されるような感覚になる玲二。
「……」
すると、向こうから誰かが歩いてきた。
彼が音の方を見ると、ニジーが歩いてきた。
「なんだニジー…か、随分と豊かじゃなさそうだな。」
「ふん。わざわざ予告状を二つ用意した時点で気づかなかい?」
「そこまで馬鹿じゃないっての。分断だろ?」
「残念ながら不正解さ。」
「まあいいや。で?その猛き要塞ってなんなんだ?」
玲二がそう言うと、ニジーはチップを見せつけた。
「……まさか、あのパソコンから出てきたチップか?」
(完成してたんだ……)
玲二はそんな事を思いつつ、銃を構えた。
「じゃ、とりあえず返してもらうぜ。」
彼がそう言うと、ニジーも剣を取り出した。
……その頃、るるかは公園に着いた。
予想通り、デッチもそこに居た。
るるかはすぐにワイルドアルカナロッドを構えて彼に向ける。
「デッチ・アゲイン……やっぱり貴方ね。」
「やあ来たね、森亜るるか。おやおや、お仲間達はまだかい?」
「ええそうよ。問題は無い!」
そう言ってすぐさま彼女はキュアアルカナに変身して杖で殴り掛かる。
しかし、デッチはブレスレットを腕に取り付け、レガルーキューブをブレスレットに装着した。
「……擬装…」
そう呟いた瞬間、邪悪に光る閃光でるるかはバックステップで避ける。
デッチの身体に纏うように旋風が包み込み、それが払われた瞬間、デッチの姿は大きく変貌した。
「!?……レガルーになった…」
「どうだい?アルカナ。これが最先端の力、その名もマッドレガルー!」
「使役ではなく装着する事で、レガルーの力でもハイレガルーに匹敵する力を得られるということさ!」
「ふん、こけおどしね。玲二なら、貴方ぐらいは余裕で倒せる。」
「……また彼の名を出すのか。」
「悪くないでしょ。別に!」
そう言ってるるかは走り出し、デッチが変身したバッファローマッドレガルーと対峙する。
「はあ!」
「ふん」
殴り掛かるるるかにデッチは弾き飛ばす。
弾かれた勢いでビームを撃って攻撃する。
「効かないよ。」
「チッ……」
そうして戦ってる最中、くれあが到着し、急いで変身する。
イナズマスタイルになったくれあはデッチを蹴り飛ばして隣に立つ。
「るるか!援護して。」
「分かった!」
高速で駆け回るくれあとそれを援護するるるか。
猛攻にも焦らずに対処するデッチは、二人の蹴りを受け止めて吹き飛ばしてしまった。
「くっ…」
「随分つまらなくなったねアルカナ。少し前の君なら今の僕なんて簡単に倒せた筈なのに。」
「……いきなり何。」
「今の君には失望してるんだ。君は以前とはまるで別人のようだ。」
「俺に従わなくなった脚本のキャラには、俺なりの絶望でお返ししようと思ってね。」
「……?」
「もうそろそろかな。君を堕落させた最大の癌は始末されたかもね?」
「癌?」
「そう、彼だよ。」
それを聞いた瞬間、るるかの顔はすっと無表情になる。
「まさか」
「そうさ!もうすぐニジーから報告が来るかもね?君が絶望してしまうから黙ってあげようと思ったけどもう飽きた。」
るるかの杖を握る力が強くなり、血管が浮き彫りになる。
歯を食いしばりながら怒る彼女。それを見て笑うデッチ。
「これから君は居ない彼を思って戦えばいいさ!フハハハハハ「誰が居ないって!?」…はぁ?」
高笑いをしていた彼の後ろから、聞くことのできない筈の声が聞こえ、彼は振り返った。
そこには声の本人である玲二と座っている幸次郎が居た。
「玲二君!」
くれあの声が響き、彼の姿を見たるるかも先程の様子が嘘のように安心した顔をしてホッとしていた。
「ば、バカな!?確かに俺はニジーに処理を頼んだのに…」
「バーカ。お前信頼されてねぇんだよ。」
…時は遡ること数分前。
「玲二殿!」
「泉さん!?」
玲二は突然の幸次郎の乱入に驚く。
「なんでここに…」玲二は聞く。
「るるか殿に頼まれた。其処許に何かあった時の為にと…」
「アイツ…」
彼は照れるように頭を搔いた後、ニジーに視線を向ける。
「さて、そのチップ返してもらおうか。」
「いいよ。」
ニジーはそう言ってチップを投げ渡す。
「ああ…ええ?」
その返答に思わず玲二も困惑した様子でチップをキャッチした。
何か返そうと思い、喋ろうとしたがニジーは振り返って一言言った。
「僕に指図できるのはウソノワール様だけさ。今回は違うから背いた……それだけだよ。」
そう言って彼は霧の中に入って消えてしまった…。
「……良くわかんねぇけど助けてくれたんだな。」
「うむ、玲二殿。この作戦は…」
「あのモノクル野郎だな。悪趣味な事しやがる。流石に今回はキレるかもな。」
そう言ってチップを上に投げてキャッチする。
幸次郎も懐からチップを取り出した。
「……ならば玲二殿。共に其処許をボコボコ?にしようでは無いか。」
幸次郎からそれを聞いた彼は、不敵な笑みを浮かべて頷いた……そして時は戻り、現在。
彼らは降りて、チップを取り出す。
それぞれバレットストライカーとブレイザースラッシャーにチップを装填して、静かに「変身」と呟く。
バレットとブレイザーに変身した二人。
「来い、ゴッドオーガ!」
玲二はそう叫ぶと、サイバーゲートからメカが現れ、バレットの各部と合体する。
「起動せよ…アサルトイェーガー…」
幸次郎は静かに答え、アーマーが召喚されたと同時にブレイザーに装着された。
「完成だぜ、これが仮面ライダー…マックスバレット!」
重厚なアーマーに身を包み、各所には兵装が積まれたまさに要塞のバレットの強化形態。
「仮面ライダー…アサルトブレイザーなり。」
胸部や他の各所にアーマーが装着され、正当な見た目となったブレイザーの強化形態。
その二体が眼前に立ち並ぶ姿は圧巻と言わざるを得ない。
深呼吸をした後、玲二は冷たい声で答える。
「お前を撃ち…いや、砕き抜く…!」
そうして悠々と歩き出す二人。
デッチは焦りつつもすぐに平然として光弾を連射する。
ブレイザーはその攻撃が来たのを確認し…
「アサルトシステム起動!」
と叫んで周囲にシールドが展開され光弾を防ぐ。
バレットの方はダメージすら気にせず突き進む。
「重量級なんだ。その程度!」
玲二はそう言って重いパンチを食らわせ頭の角を叩き折った。
「まだまだ!」
殴った腕でデッチの頭を掴み、そのまま右腕で腹を殴った後、至近距離のバルカンで攻撃してダメージを与えた。
「ぐわぁぁぁ!」
追撃に両足のミサイル発射口を開いてそのまま追撃で吹き飛ばした。
大ダメージを受けて息も絶え絶えなデッチ。
「俺は認めない!こんな奴に俺が負けるなんて…」
「御託はいいのか?」
「ふざけんな!お前らを倒して!野望を修正するだけだ!」
「もういい。」
彼はそう言って両肩のキャノン砲を前面に展開し、エネルギーをチャージした。
幸次郎は背部のブースターを展開してブレイザースラッシャーを逆手持ちにして走る。
「御免ッ!」
そうして一瞬で通り過ぎたと同時に切り尽くされるデッチ。
そして隙を逃さない玲二のキャノン砲が放たれそのままデッチはビームの中に消えてしまった。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」
大爆発と共にボロボロの姿で出てくるデッチ。
玲二はそれを見てバレットギガブラスターを構える。
「ふんっ、まあいい…もう君達に構うことはしないようにするよ…」
「今度会った時は…確実に潰す。」
そう言って彼は姿を消し、玲二達は変身を解除した。
「ふう…」
一息つく玲二の背中にるるかが頭を当てる。
しばらくの間の後、彼女は呟く。
「玲二なら無事だって信じてた。でも一瞬心配した……」
「悪かった。でも大丈夫だったろ?」
「うん……」
るるかは笑った。玲二に顔は見せなかったが、きっと満面の笑みだろう。
「くれあ殿……そろそろ離れてくれぬか…変身を解除できぬ…」
「幸次郎さん、もしかして私に合わせてあんな姿に?そうだったら嬉しいです〜♪」
「あのチップは元からあった物で…」
「ハッ!つまりは私が幸次郎に合わせていた…!?」
「……」
くれあの強烈な言葉に彼は思わず黙ってしまった。
そうして玲二達はデッチの思惑を制し、そして新たな力で大勝利を収めたのだった。
その時、るるかは思った。
(玲二って怒らせると怖い……)
玲二怖いよ君