「健康診断〜?」
玲二が検尿した容器を持って提出する。
隣のるるかも容器を提出した。
「別にいいんじゃない?無料だって。」
「……まあ同盟を組むって言ったし断る訳にもいかないか…」
そうして調査隊全員検査を受け終えた。
数時間後に純平が結果表を持ってきた。
「……全員しっかり健康ッスね。問題も無いっす。」
「おいおい、健康なのは知ってるからもっとなんか無いのか?」
流介が言うと純平は苦い顔をする。
「いや…健康診断ってこれぐらいしか無いッスよ……」
「いやいやなんかあるだろ!そうだな……スリーサイズ行け!」
「なら、私が見るわ!」
人間態になったマシュタンが純平から紙を貰って眺める。
「ふむふむ……あら?みくるの項目だけなんか変ね…」
マシュタンは確認中にみくるの欄だけ妙に変だと感じた。
「わー!」
みくるは顔を赤くしてマシュタンから表を無理矢理奪い取る!
「と、とりあえず!みんな元気ですね!じゃあこれ要らないですね!シュレッダーしてきます!!」
彼女は急いで走っていった。
「流介。」
マシュタンは流介にボソボソと話す。
「マジか…もしかしたらアイツ…」
「そんなんだからモテないんだよ。」
隣に居た玲二は冷徹にツッコんだ。流介は「うっせーバーカ!」と怒ってしまった。
その頃、雄一はライオットのデータを見ていた。
「このパワードスーツ…人間製なんですか。」
「純度100%、外宇宙の技術を使用せずに我々が自力で開発したパワードスーツだ。間違いない。」
「私が参考にしたのは色んなゲームやアニメのスーパーロボットだからな。」
司令官はそう言って胸を張る。
「そ、そうですか……」
「なんだね、君は警官だろう。勇者シリーズやスーパーロボットは青春だったろう?」
「一応そうですけど…」
雄一はそのまま溜息を吐いた。
「あれ誰が装着するんだろう……一応人が装備するやつみたいだけど……」
「君だ。」
「はい?」
「このパワードスーツ・ライオットは君が装着するんだ。」
「ええええええ!?」
雄一の驚く声が部屋全体に響いた。
同時刻、流介は中庭でロドス製で届けられたドライバー…通称ヴァイクドライバーを持ちながら考えていた。
あれほど仮面ライダーに変身したいと思っていた流介だが、貰ってからは妙によそよそしい様子を見せていた。
そんな様子にいち早く気付いたのは玲二とみくるだけだった。
木の後ろからそんなみくるが覗いている。
心配そうに、何処か考えているような顔で彼の後ろ姿を見つめていた。
「流介さん…」
静かに呟いて少し悩んだ顔をするみくる。
そんな後ろから覗いている玲二とあんなと純平。
「アイツ何してんだ?」と玲二。
「はなまる分かんない…」とあんな。
「いや、普通に流介先輩見てるだけっスよね…」と純平が言う。
「こうなったら行ってみるしかないな。」
玲二は飛び出てみくるに声をかけた。
「みくる。」
「玲二さん!?」
「ちょっと行くから来い。」
半ば無理矢理に呼んで彼の後ろに立つ。
「流介。」
「ん、玲二、それにみくる達もどうした?」
彼は振り返って表面ではいつもの調子で話す。
「いや、なんか悩んでたから相談に乗ってやろうと思ってな。」
玲二はそう言ってみくるを彼の隣に座らせた。
「流介さん、変身できるようになったけど、何か思う所があるんですか?」
それを聞かれて流介は黙った。みくるは続ける。
「もし良かったら、助けになりたいんです!」
「そこまで言われたら話すしかないな…わかったよ。」
彼はドライバーを握ったまま話し始めた。
「……なんか…怖いんだよな。」
「怖い…」
「戦えるようになって嬉しい気持ちももちろんあるんだ。でも、それよりも前に怖いって思ってんだよな。」
彼の本音は戦うことへの恐怖だった。
玲二達も内心では理解できた。以前までなら応援したりサポートしたりの立ち位置だった彼が急に戦闘要員になって、戦う恐怖が芽生えたのだと。
「なんでかなぁ…受け取る前はそんな気持ち全然無かったのに…受け取ってから急にそんな事考えちまってさ…ひよってんのかな…俺。」
それを聞いた玲二は少し鼻で笑った後、肩を叩く。
「その考え、別に普通の事だぞ。」
「玲二…」
「俺だって思ったさ。怖いってな。今でもちょっと思う。」
「俺だけじゃない、るるかや泉さんに、くれあだって同じ事を思ってる筈だ。」
玲二は続ける。
「……けど、怖いから逃げんのはただの逃げだ。ちっともカッコよくない。」
「戦わなければ生き残れない。お前はどうする?」
玲二は流介を問い詰める。
彼はドライバーを握る手が強くなった。
途端、警報が鳴り、司令からの連絡が来た。
『諸君、この本部に襲撃だ。速やかに対処を願う。』
普段はどのようなサイレンなのか分からないが音からしてかなり深刻そうな様子だった。
「答えは自分で決めろ。純平、行くぞ!」
「ウッス!」
そうして玲二と純平は司令室に駆け出した。
「流介さん……」
みくるが心配そうに寄ると、彼は立ち上がってドライバーを握り直した。
「……なんだ。アイツも同じ事考えてたんだな…。」
「怖いから戦いたくないっていうのは…ただの逃げか…」
玲二の言葉を思い出し、彼は眼鏡を整える。
「…みくる、俺行くよ。怖いけど…俺なりにやってやる!」
彼は前を向いて静かに決意していた。その様子を見て、みくるも元気になった。
「それでこそ流介さんです。よし!じゃあ行きましょう!」「おう!」
そうしてみくると流介も駆け出して行った。
それを見たあんなは微笑んでいた。
「良かったね。みくる。」
相棒の笑顔を見て、彼女も少し嬉しそうだった。
同時期、警報によって雄一も戸惑っていた。
「一体どうすれば…」
ふと、彼の視線にモニターが映る。
そこにはA棟、B棟、C棟、玄関それぞれから敵が迫っているかなり不利な状況だった。
それぞれ武器を構えて敵と戦う兵士達の姿や攻撃を受けて瀕死になる人達を見て、雄一は黙る。
「司令さん、これを着れば戦えるんですか?」
「うむ。」
「それって、僕以外にも出来るんですか?」
「そうだ。」
「……お願いです、僕にライオットを装着させてください!このまま人々が傷付く姿を……見たくありません!」
彼は彼なりの返答を返して司令官に抗議した。
司令官は微笑み、デバイスと手帳のようなアイテムを手渡された。
「それは自動装着の為のデバイスと、EDS所属を表す手帳型デバイスだ。」
「君なりの正義の為に戦え。私からはそれからだ。」
「……!ありがとうございます!」
彼はそう言って上着や帽子を脱ぐ。
ライオットのアーマーの一部がパージされ、彼は台座に乗る。
各所にアーマーが装着されていき、その姿はまるでロボットになるかのようだった。
最後にヘッドを被り、ディスプレイが浮かび上がった。
『あーあー、聞こえますか?』
「……?はい。」
『私、これからライオットの専属オペレーターをさせていただきます
「は、はい!」
『早速実戦ですが、安心してください!私も初めてなので!』
「そ、それは安心出来るんですか!?」
彼はツッコミを入れると少し深呼吸する。
「けど、ちょっとホッとしました。ありがとうございます。」
モニターに映る彼女はグッドサインをしてくれ、雄一は少し落ち着いた。
そうして台座から降り、ライオットを装着した雄一。
「Cブロックに敵が近付いている。この反応は…レガルーと呼ばれる敵が来ているようだな。」
「すぐ行きます!ライオット、真壁雄一が行きます!」
そう言って雄一は出撃テレポーターの上に乗ってそのまま現地に向かった。
その頃、Bブロック。
「修繕は完了。ターゲットである仮面ライダーバレットとキュアアルカナの排除を開始する。」
仮面ライダーグロック及び吾妻玲一が武器を構えてEDSのBブロックを攻撃する。辺りの物資や兵器を破壊して歩く様はまるでアニメの敵のようなイメージを連想させた。
「待て!」
流介の声と共に、隣にはみくるとあんなが立っていた。
「邪魔だ。どけ。」
グロックは剣を構えてそう答えた。
「……悪ぃけど、退くつもりは無い。お前が俺の大親友を殺そうとしてんだからな!」
「そうか……なら死ね。」
グロックはそう言って構えを取る。
(怖い…けど…俺は決めただろ!)
「俺は…逃げないッ!俺は…仮面ライダーだ!」
彼はヴァイクドライバーを腰……否、肩に掛けタスキ掛けのようにドライバーを装着した。
胸に巻かれたベルトに彼はメダルを嵌め込み、固定装置を押し込んでバックルを上部に装着する。
腕を突き出し、そのまま右腕をベルトの位置に移動させて拳を握り……
「変身ッ!」
そして上部のバックルを叩いて変身した。
全身にオーラが纏い、そのまま結晶が剥がれ落ちるようにその姿を表した。
「よく聞け!俺の名前は仮面ライダーヴァイク!よく、覚えとけよ!」
「チッ…仕事以外の対象を相手するのは非効率だが…邪魔をするなら仕方あるまい。」
グロックは剣を構えて走り出す。
流介もバックルを叩いてセイバーを逆手持ちして召喚する。
構えて走り出す流介はグロックが振り下ろした剣を受ける。
そのままポンメルを向けて銃撃を放ってグロックを怯ませた後に蹴り飛ばして地に伏せた。
「隠し銃か!?」
「あんな、私流介さんの援護するから!純平君の手伝いに!」
「分かった。」
そうしてあんなは振り返って純平の元に走り出した。
レイピアを構えてグロックに突き刺して蹴り飛ばして流介の隣に立つみくる。
「みくる…ありがとな。」「…えっ…」
「お前のお陰で、俺色々と吹っ切れた気がするんだ。」
「自分のどっかにあったモヤモヤが晴れてる気分なんだ。多分、玲二やお前が応援してくれたからだと…俺は思う。」
「流介さん…」
みくるは少し嬉しそうな顔で彼の名を呟く。そしてグロックに視線を向ける二人。
「だからさ、アイツ倒して気持ちよく勝とうぜ…!二人でさ!」
「…はい!」
みくるがそう返事を返す。次の瞬間に、二人の間に小さな光が突如現れ、そのまま顕現するようにマコトジュエルが現れた。
「…これ…」
「あー…俺たちの友情が真実になったとかじゃないか?」
流介がそう言うと、みくるはちょっと照れくさそうにしながら
「もしかしたらぁ…"愛情"じゃないですか?」
「……ええ!?」
流介はそれを聞いてみくるの方を見た後、ちょっと間を置いて照れくさくなって頬…というか仮面をかいた。
その間にもグロックは自身のアーマーの調整を終えて走り出した。
「…行くぞみくる!」「はい!」
みくるは新しいマコトジュエルをセットして新しい姿に変身する。
音符のような無数のエフェクトが彼女に包み込んで装甲を形成してギター型の斧を顕現させて完了した。
「はーい!これがキュアミスティック:ビートスタイルです!」
元気に挨拶してそのままビートアックスにあるボタンを押し、炎を斧に纏わせて構えてグロックに走る。
「はあ!」
エンチャントされた斧とガンセイバーによる連撃はグロックを怯ませ、その後に怒涛のパンチラッシュを繰り出す。
「邪魔だ!」
「うわぁっ!」
みくるが吹っ飛ばされたのを見て流介は彼女の手を掴んでそのままグロックに振り下ろしてみくるはすぐさま頭上に蹴りを入れてグロックを地に伏せた。
「チッ…!」
「トドメと行くぜ!」
「はい!」
流介はドライバーのバックルを連続で3回叩いて足にエネルギーを充填させる。
みくるもビートアックスに炎・雷・氷のエンチャントを済ませて腰を深くする。
そのまま集中して特殊能力"サンデヴィスタン"を起動し、そのまま高速攻撃のような攻撃でグロックを切り裂いた。
「うらぁぁぁぁ!!」
その間にも充填されたエネルギーを纏ったヴァイクは飛び上がって全力の唸り声と共にライダーキックでグロックを貫通した。
「ば、馬鹿な…!?」
グロックはそう言い残し、火花と共に爆発した。
…同時刻
あんなと純平はAブロックにて対処していた。
「コイツら、南米同盟って奴か!?」
「多分。以前にイロウスって人が言ってたエンブレムがあるもん!」
あんな達の前には成人男性並みの大きさをしたロボット兵がライフルを持って発砲してきていた。
純平達は物陰に隠れてやり過ごす。
「…へっ、コイツらなんかに手加減なんて意味ねぇ!すぐぶっ飛ばしてやる!」
「…私も!はなまるぶっ飛ばす!」
二人は一気に飛び出し、純平はすぐにブライソードを構えて周囲に斬り掛かる。
あんなは純平の背後に立ってアンサーはなまるソードで斬り続けて殲滅する。
縦横無尽に飛ぶ斬撃の雨でロボット兵はなすすべなく倒された。
「片付いた!やった!」「だよな。」
あんなが嬉しそうにそう言うと、純平は近くの残骸にソードを投擲した。
ギリギリ生き残っていたロボット兵の頭に容赦の無い剣が突き刺さってセンサーの光が徐々に消えたと共に動かなくなった。
「詰めが甘いな。」「……いじわる!」
あんなは純平の足を蹴った。
純平も半笑いした後に「悪い悪い」と本気なのか分からない謝罪で返した。
…Cブロック。
初陣の雄一は動きに慣れなれないながらも、敵を殴って攻撃していた。
目の前にはペットボトルレガルーが立っており、水を噴射して攻撃してきた。
水がライオットのアーマーに掛かると、モニターには無数の警告音が。
「ど、どうなってるんです!?」
『そのアーマーはまだ調整も全くされてないから当然です!次食らったら感電して死んじゃいます!』
「んなアホな…!」
雄一は立香からの連絡を聞いて呆れつつも殴られて怯む。
火花は散るし、装甲ももう凹んでおり、しかも既に警告音が耳障りに感じた。
しかし、気合いを振り絞って胸部の機関砲で攻撃…しかし空薬莢を撃つだけでダメージなど無かった。
「くそぉ!」
肩部にあるセイバーラックからセイバーを抜き、そのまま振り下ろしてペットボトルレガルーに攻撃する。体内の水が感電してダメージを与えられた。
「い、今だ!」
雄一はもう片方からセイバーを抜き、そのまま両腕を振り下ろしてレガルーの身体を切り裂いた。
苦しむレガルーはそのままクロスの字で切り裂かれてそのまま爆散した。
「ふぅ…」
彼は安心した一息の後にヘッドを外して汗を拭った。
…玄関では…
既に戦いは終わっていた。
死体に足を乗せる玲二と考え込むるるか。
「コイツも幽奇獣なのか?」
「おそらくそう。そして、今回はパンダみたいな見た目をしてる。」
「言われてみれば…」
「仮説が思い付いた。憶測だけど。」
るるかは考えた後に、Bブロックに敵性反応がある事を知る。
「行こう。」
るるかはそう言ってBブロックに駆けつけた。
その後ろでは遺体がウネウネと動いているのを見れなかった。
そうして辿り着いた玲二達。
あんな達も駆け付けて、爆風の中からグロックもとい玲一が現れた。
「くっ…ターゲットは必ず…!」
そうしてドライバーを装着しようとした瞬間…
緑の影がグロックドライバーを盗み出した。
「!?」
「この速さ…ニジー。」
るるかがそう言うとトラックの上にニジーがグロックドライバーを見ながらニヤリと笑っていた。
「正解さ。」
「貴様…それを渡せ…!」
「それは出来ない相談だね。僕は最初からコレ狙いさ。」
「何…!」
玲一は睨みつける。ニジーは経緯を話した。
「僕は欲しかった…あの絶対的な力である仮面ライダーの力を…」
「だが、僕では君達には絶対勝てない。何があってもね。」
「しかぁし、こうやって漁夫の利を狙えば、グロックドライバーぐらいなら取れると思ってね。」
彼はそのままマントと帽子を脱ぎ捨て、グロックドライバーを腰に装着した。
「さようならベイビー。次は、きっと楽しい事になるだろう…」
そうしてニジーは消え、玲一はその場で力尽きてしまった…。
これからの戦い、何が起こるのか全く分からない事がひしひしと伝わっているようだった。
ニジー、ライダーになる…?