「はあ…」
くれあは机に座って溜息を吐いた。
「…るるか。」
「ん?」
「なんかくれあの様子変じゃね?」
夏休みが終わり、学園生活が再スタートした中、くれあは元気がなさそうな様子をしていた。
「玲二。これはきっと…恋の病ってやつ…!」
「…くれあが…?まあ…泉さん居るしな…」
玲二はそう言って苦笑いするとるるかは少しムッとなる。
「どうやら違うみたい。」
「…?」
休み時間。
くれあは屋上にてとある手紙を手渡した。
玲二は封を容赦無く破る。中には文字がびっしり書かれた紙が入っていた。
「"拝啓 帆羽くれあ様 僕のプリンセス 君の瞳に宿るときめきが僕の好きにドストライクです。良ければ今日の昼に校舎裏に来てください 貴方の事を最も愛する者より"…なんだこれ?」
「どう見ても…ラブレターだろ?」
玲二が全文を読み、疑問に思っていると流介はラブレターだと感じ取った。
くれあは溜息を吐いており、るるかも足を組んで考えていた。
「くれあ。どうするの?」
「う〜ん…正直知らない人だったら断るつもり…私…もう…」
「幸次郎さんの事でしょ?」
「…!?るるる…るるか!いきなり何言ってるの!?」
「…今更よ。バレバレだから。」
そう言ってるるかはニヤッと笑った。
くれあは赤面して顔を逸らした。
「…これ、幸次郎さんに言ったら駄目だよな。」
「本人がどう思ってるかだよな。でも、多分いけると思うけどな。」
玲二はそう言って彼の内面を振り返る。
正義感が強くて若干抜けていて古風な言葉が特徴的で仮面ライダーブレイザーに変身するハイスペック男…
(しかも伝統的な刀鍛冶の後継だから交際相手も選び放題だろうしなぁ…)
玲二は彼のスペックを超えられる人物がこの学校に居ないと感じ取った。
(くれあは泉さんにとって…最高の相手だと思うけどな。)
玲二は内心微笑んで彼女の事を見ていた。
「あらあら、これは修羅場になりそうね。」
「マシュタン…その制服…」
「可愛いでしょ?EDSが手続きしてくれたんですって。」
マシュタンは人間態で学校に来て尚且つ制服に着替えていた。
「戸籍も手に入ったし、これでもう私人間みたいなものよねぇ〜!」
マシュタンは高笑いしていたのを見てるるかも苦笑いしながらも内心はちょっと嬉しそうだった。
「で?なんの話?」
……
そうしてくれあは校舎裏に来た。
すると、前にはラブレターの本人が現れた。
「…やあ僕のマイハニー。早速で悪いけど、返事を聞きたいね。」
バラを加えて金髪かつ整った制服を着ていた。
影から見ているるるか達。
「あの人って…」とマシュタン。
「"難児宮田"…特級クラスの人…確か別棟の学級の人だよね。」
るるかはそうして話を聞く。
「あの…話ってなんでしょうか…」
「言っただろマイハニー。僕と付き合ってくれ!」
(いきなり!?)
「一目惚れさ。その髪、その瞳、そしてその美貌!まさに僕に相応しい!」
いちいちキレのある動きでアプローチしているつもりなのか分からない宮田。
(いきなり褒め潰しなんて…やっぱり幸次郎さん以外にやられるの嫌だな…)
くれあは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて彼を睨む。
「さあ!どうだい、僕は高級セレブでもある。君も不満にはさせないよ?」
「…む、無理です…嫌です…もう関わらないでください。」
くれあはどストレートに答え、影にいた玲二達は見つからないようにガッツポーズしていた。
彼らも内心他人の告白を受け入れるのは嫌だったのだろう。
「おやおや、そこまで怖がらなくて良いよ。君を不安にはさせない。だから一度来てくれたまえ!」
彼はくれあの手を掴んで引っ張ろうとする。
「…は、離して…!」
その様子を見て玲二達は勢いで変身しようとするが…
ガシッ!と言う音と共に宮田の手を誰かが掴んでいた。
「…!幸次郎さん!」
「くれあ殿から離れよ。」
宮田の腕を無理矢理くれあから手放す幸次郎。
「な、なんだい君は?」
「…女子が拒否しているというのに、無理矢理連れて行こうとするなど言語道断。男児の恥と知れ…!」
幸次郎は内心かなり怒っている様子で、くれあもその殺気を感じ取った。
「チッ…生意気だね!僕はボクシングにも精通してるんだ!覚悟するんだね!」
宮田は幸次郎に殴りかかる。
彼は動じずに攻撃を受け続ける。
「るるか!警察呼べ!」
「分かった!」
そうしてしばらくして警察が到着した。
「警察だ!」
「は、離せ!僕は難児家の跡取りだぞ!離せー!」
宮田の前に警察が現れ、そのまま連行していった。
「…大丈夫か?くれあ殿。」
「幸次郎さん…怪我は…」
「心配無い。くれあ殿の気持ちに比べれば…この程度ノーダメージだ。」
慣れない英語を使って安心させる幸次郎。それを見てちょっとクスッとしたくれあ。
「しっかし、これはまた来そうだな。」
「うん。十分に警戒した方が良さそう。」
玲二とるるかはそう話し合って頷きあった。
そうして玲二が幸次郎に近づく。
「泉さん、なんで反撃しなかったんだ?泉さんなら、余裕で倒せただろ。」
「…某は怪人や危険な者にのみしか反撃せぬ。其処元のように、"やり返さない限りはこちらは悪くない"という考え程、悪辣では無い。」
「…言うねぇ。」
玲二は図星を突かれて振り返って口笛を吹いていた。幸次郎は鼻で笑った。
数時間後、宮田はイライラしつつも家に帰った。
「ええい…この僕の断りを言うなんてビックリだよ…こうなったら…」
宮田はパソコンをとあるメモリを差す。
するとモニターには"ダークネットワーク"と書かれたサイトにアクセスした。
そのままブレスレットとレガルーキューブをカートに入れて購入に進む。
「こうなったら僕の本気を見せてやろうじゃないか…」
…翌日。幸次郎はいつも通り剣道で全員を負かしていた。
「…ふう…」
「やっぱ強いよな幸次郎さん…」「うん…かっこいいし強いし優しいしで…やっぱりモテるのかな…」「あの喋り方もギャップがあって可愛いよね〜!」
他の剣道部の部員が幸次郎を見てキャーキャー言っていた。そんな時、くれあが尋ねてきた。
「幸次郎さん。お疲れ様です。」
「くれあ殿。」
「お昼休みなのに剣道なんて、精が出ますね。」
「後輩達の今年の大会が控えているのだ。後輩の特訓という事で、某が駆り出されている。」
「頑張ってますね。弁当作ったので一緒に食べませんか?」
「…うむ。いただく。」
そうして二人が外に出たのを見て部員達は近寄って話しかける。
「もしかして恋人ですか!?」
「こ!?」くれあが恋人という単語に反応する。
「幸次郎さん遂に恋人を作ったんですね!!つまりは…ゴールインですか!?」
「…?」部員の言葉に若干?を浮かべている幸次郎。
「幸次郎さん、くれあさんの事どう思ってます!?」
部員の言葉で幸次郎は黙る。
「…くれあ殿をどう思っているか…」
そう考えていると、後ろから「見つけたぞ!」と宮田が叫んで立っていた。
「…昨日の男児か。くれあ殿に近付くな。」
くれあの前に手を出して止める幸次郎。後ろで部員がキャーキャー言っていた。
「イライラさせるね…潰してあげよう!」
ブレスレットを取り付けてレガルーキューブをセットする。
「擬…装!」
そうして宮田はバードマッドレガルーに擬装した。
それを見た周りの生徒達は悲鳴をあげて逃げ出してしまった。
「こんな敷地内で変身だと…!?」
幸次郎は宮田の攻撃を避けながらロッカーに急ぐ。
「さあ帆羽くれあ。僕に着いてきてくれたまえ。」
「貴方のような男に…着いていくつもりは無いわ!」
くれあはトップオブリリーフレグランスにマコトジュエルをセットしてキュアエクレールに変身する。
そのままエクレールデュアルセイバーを取り出し、そのまま切り掛かって攻撃する。
「ちっ…出来るだけ傷つけたくなかったが…致し方無いね!」
「はっ…!」
くれあへの攻撃は届かず、幸次郎がブレイザーに変身してブレイザースラッシャーで受け止めた。
そのまま勢い良く殴り飛ばして宮田は屋上に着地した。
「なるほど…君達はグルかい?そんな力を最初から持っているとは…予想外だね!」
そのまま飛行しながら爪を鋭くして攻撃する。
回避して攻撃しようにも遠距離武器が無い二人にとってバードマッドレガルーは強敵に近かった。
「ならば…!某が誘導する!」
幸次郎は飛び上がって屋上に立つ。
「幸次郎さん!」
しかし、バードマッドレガルーは背後に近づき、そのまま幸次郎を掴んで飛び上がった。
「しまった…!」
「このまま空の旅を味わってもらおうか!」
そのまま更に高く飛び上がって地上が徐々に遠ざかる。
(下手に動けばまずい…)
幸次郎は抵抗せずにバードマッドレガルーの足を掴んで落ちないようにする。
「幸次郎さーん!」
地上ではくれあの叫び声が響く。
「さて、そろそろお別れだ。」
そうして宮田はそのまま幸次郎を蹴り飛ばして地上に落ちた。
このまま落ちれば人が死ぬ高さで、幸次郎は受け身を取る。
(…間に合わぬ…!)
仮面の内、幸次郎は死を覚悟した。
しかし、くれあは死ぬ気で飛び上がる。
(絶対助ける…!)
「幸次郎さん!」
そのまま幸次郎の手を掴んで抱き着く。
「くれあ殿…!」「離しませんからッ!」
そのまま地上に落ちそうになった時、スレスレで何かに乗って地面に落ちなかった。
「…?」
下を見ると、幸次郎とくれあはゴッドオーガの上に乗っかっていた。
そのまま辺りを見回すとバレットに変身していた玲二とキュアアルカナに変身していたるるか、そしてヴァイクに変身していた流介の三人がグッドサインして微笑んでいるのが分かった。
「幸次郎さん…!」
くれあは幸次郎に抱き着いて涙を溢した。
少し啜り泣くような声でくれあは泣いており、幸次郎は彼女を抱き返して背中に手を回して抱き返した。
「くれあ殿…」
地上に降りるゴッドオーガから降りた二人は、くれあは涙を拭いて宮田を見る。
「こんな事を平気でするなんて…貴方は絶対許せない!」
くれあは静かに怒りを見せ、右掌から溢れ出た光を見る。
白いマコトジュエルが其処にはあった。くれあはプラズマスタイルにフォームチェンジしてバードマッドレガルーに殴りかかった。
「ぐっ…!」
壁に叩きつけた後、後方に下がって幸次郎の隣に立つ。
「行きましょう!」「問答無用…!」
くれあはマコトジュエルをセットして両腕と両足に火炎が燃え上がる。
「はああああっ…!」
唸り声に近い声でプラズマスタイルにブースターが装備され、プラズマブースタースタイルに更なるフォームチェンジした。
幸次郎もアサルトチップをセットし、アサルトイェーガーを召喚してそのまま装備してアサルトブレイザーにフォームチェンジする。
「もう容赦無く倒す…!」
二人はエネルギーをチャージし、そのまま歩いて近付く。
「き、君たちはなんなんだ…!その力は!?」
そのまま二人は走ってライダーキックを放った。
「…え?」
一瞬、宮田の目の前から二人が消え、思わず疑問の声が上がった。次の瞬間、通り過ぎた二人の影と共に激痛が走り、そのまま爆発して撃破された。
…では、先程の様子をもう一度見てみよう。
エネルギーをチャージした二人は足にエネルギーを纏い、そのままライダーキックを放った。
プラズマブースターによる音を超えた一撃と、アサルトブレイザーのハイパーブースターモードによる一撃は常人では捉える事はできないスピードであった。
バードマッドレガルーにそれが命中し、耐えられる事なく撃破された。
爆風と共に壊れたブレスレットとキューブを回収する謎めいた黒コートの男。
「…?待て!」
流介がそれに気付いて後を追いかけ、玲二は宮田の首根っこを掴んで持ち上げる。
「おい。あの力はどうやって手に入れた。言えよ。」
「…ぼ、僕は闇サイトで買っただけだ…!誰から買ったかは知らない…!」
「なんであんなサイト知ってんだ。」
「お、教えてもらったんだ…黒コートの男に…!」
それを聞いた玲二は宮田を手放して考え込む。
「…黒コート…?」
その間にも流介が近付いてきた。
「わりぃ、逃がしちまった。」
「気にすんな。でも、有力な情報だ。」
そうして幸次郎とくれあを見た玲二は、変身を解除する。
「さ、俺たちは邪魔そうだからさっさと退散するぞ。」
「あ、おい!」
流介の言葉も無視してそのまま玲二はその場から立ち去った。
…夕日が照らす帰り道。
レガルーの件で宮田は逮捕され、そのまま帰宅する事になった。
幸次郎はくれあと帰る最中、足を止めた。
「…幸次郎さん?」
「…くれあ殿。某は…分かった気がする。」
「…あっ…」
くれあは答えを聞きたいように黙って聞く。
暖かい風が髪を揺らし、いい雰囲気になる。
「某は…くれあ殿と居るといつも嬉しくなっている…いつも美味なケーキを作る懸命な姿や…他人を思う慈愛の心に…自然と…」
「これは…恋というものだ。自覚した…」
幸次郎は滅多に見せない照れた顔で呟く。
「わ、私だって…いつもケーキを美味しそうに食べる姿を見て…いつの間にか惹かれた…」
「それにこうやって助けたり助けられる内に…この思いを隠すのは駄目だって気付いたんです。」
くれあも自身の思いを吐露して頬を赤くする。
それを見たシュシュタンはしれっとくれあの腕から離れた。
(この状況、シュシュタンは邪魔でシュね…)
シュシュタンはクールに去った…別にそんなこと無いが。
「幸次郎さん…私と…その…」
「く、くれあ…某から言いたいのだ。」
お互いテレテレしながら言葉に吃る。
「…幸次郎さん。私、みんなと居るのとっても嬉しいです。でも…」
くれあは自分の胸に手を当てる。
「幸次郎さんと居ると…もっと嬉しいんです…貴方と居る日々はいつもきらめいてるんです…」
「……某も…くれあ殿と居ると…最高にきらめいている…」
二人はお互いの想いを吐露した。
それからすぐにお互い笑いが溢れ出た。
その様子を自販機の裏から確認する玲二達。
特に何も言わなかったが、みんな笑顔で見守っているのだった。
この日はいつもより夕日が綺麗な日になった。
特に、幸次郎とくれあにとっては夕日は煌めいて見えていた。
初カップル成立は幸次郎×くれあでした。
なんとなくこの二人の恋愛回って無かったので作りました。
ワンダフル!