頑張って連載します。
Mystery.1:変身する鼓動
「………」
少年は目覚まし時計の音と共に目を覚ます。
カーテンの隙間から明るい光が差し込み、目を細める。
「…今日もだりぃ…」
彼は起き上がってカレンダーを見る。
「…今日から七月かよ。早いな…」
少年の名は
…時は1999年7月1日。
暑い夏の日差しが差し込み始めるような時期だった。
「おはよー。」
「おはよう玲二。ご飯作ったからさっさと食べなさい。」
玲二は机に置かれたパンを取って制服に着替える。
「今日は転校生が来るんでしょ?しっかりしなさいな。」
「転校生…?」
「あら、流介君から聞いたわよ?転校生が来るって噂だって。」
流介は玲二が高校に入ってからの親友であり、早乙女家とも仲が良い存在。そんな彼の噂話では転校生が来るとの事だ。
「転校生か…こんな時期に?」
玲二はそのまま朝食を食べながら母と話す。
「まあ色々あるのよ。"まことみらい市"は日本で一番大きな都市だもの。」
「そう…まあいいや、飯ありがと。行ってくる!」
玲二は鞄を持ち、そのまま玄関に急ぐ。
そのままドアを開けて外に飛び出した。
暑い日差しが始めに出迎えに来た。
玲二はそのまま道行く生徒に紛れて登校する。
「あっちぃ…」
歩く玲二の口から言葉が漏れる。
すると、後ろから駆け足と共に玲二の肩を組んでくる少年が居た。
「おはよっ、玲二!」
「玲二君、おはよ〜。」
「流介!それに透。」
メガネをかけた茶髪の少年
玲二は流介の肩を退かして隣を歩く。
「聞いたか?転校生だってよ転校生!しかも女子って噂だぜ!?」
「マジか!」
「あのさぁ〜、流介君。別に会っても付き合えるわけじゃないよ〜?」
透はヘラヘラとそう答えた。
「いいんだよ。女の子は居るだけで目の保養になるからな!」
「…あ〜、そう…」
…そうして雑談している間にも学校に到着した。
「じゃあ、また昼休みに。」
そう言って透はそのまま二人と違う方に歩いて行った。
「…楽しみじゃね?転校生!」
「そうだな。きっと可愛いぜ。」
玲二と流介は教室に入り、すぐに席に座った。
そうする間にも教師が入ってきた。
「席に座れ!」
「今日はお前らに転校生を紹介する。入ってこい!」
教師が言うとドアが開いた。
学生服を着た一人の少女が入ってきた。
ベージュ色のセミロングの髪をした可愛らしい少女だった。
「あー…自己紹介しろ。」
「……」
少女は少し黙った後に黒板に名前を書き始める。
「…今日から転校してきた…
その瞬間、周りの男子は盛り上がっていた。
女子は彼女の可愛い顔立ちにザワザワとしていた。
そんな中、玲二は彼女の顔を見て頬を赤らめた。
(可愛い…)
玲二は生まれて初めての一目惚れをした。
彼女が玲二の隣の席に座る。
「…」
玲二はそれでも黙ったままボーッとしていた。
その間にも時間は進み、昼休み。
周りの学生たちは皆るるかに夢中になって話を聞いていた。
「………」
しかし、大体の質問をるるかは適当にあしらうかのように答え、そのまま教室を出て行った。
それを見て他のクラスメイト達は少し呆れた顔をしてすぐに解散した。
玲二はというと…一人外を見ながらボーッとしていた。
そんな様子を見た流介が玲二に話しかける。
「おい、どうした?」
「…………」
「おい!」
「……!あれ、もう授業終わったのか???」
「結構前から終わったっての。お前もしかして転校生に惚れちゃったか〜?」
「…そ、そうかも…」
「じゃ、さっさと後を追いかけたらどうだ?多分あの行き先は外だろうよ。」
流介が指差した先にはるるかが外を歩いているのが見えた。
「…じゃあ、ちょっと追いかけてみる。」
玲二は起き上がって急いで駆けて行った。
……………
玲二は外に出てるるかの後を追う。
そうしてしばらくるるかが歩いた後、何処からか飛んできた謎のぬいぐるみらしき影が見えた。
「!?」
玲二はびっくりしつつも近くの草の中に隠れる。
「るるか。今日の目標物はこの学校よね?」
「多分、向こうにある。」
ぬいぐるみらしき生命体に驚く事なく話するるかを見て、玲二は不思議そうに見つめていた。
(な、なんだよ…オカルト系の奴だったりするのか?)
玲二は隠れたままるるか達を見つめる。
しかし、るるかが後ろを振り返る気配を察知して玲二は急いで別の場所に隠れた。
「どうしたの?」
「……いや、気のせいだった。」
そう言ってるるかは再び前を向いて歩いて行った。
気配が消えてから玲二は物陰から出た。
「…なんか…凄い転校生かも…」
そうして玲二は教室に戻って昼休みが終わるまで待機していた。
…しかし、その後もるるかの事が気になって全く授業が身に入らなかった。
「…はあ…」
暫くして…放課後。
教師の終礼が終わったと同時に生徒達はすぐに帰る準備をしていくがるるかも例外無くすぐに帰りの準備を整えて帰って行った。
玲二も帰る準備をしてすぐに帰路に着く。
暫く歩いて公園の近く。
「…腹減った…」
玲二は腹を抑えて呟く。
暫く歩いてからアイスのキャンピングカーを見て玲二はすぐに駆け寄る。
…すると、そこにはるるかがアイスを注文している姿が見えた。
「あ!」
「……?」
玲二が思わず声を上げるとるるかが玲二の方を向いた。
玲二は頬を赤くして目が右往左往する。
「…えーーーっと…」
「……貴方も。アイス食べるの?」
「えっ!?あ、ああ…食べるよ。」
玲二は声が裏返って返事してしまい、内心恥ずかしがる。
玲二はそのままアイスを注文する。
「…チョコとバニラとストロベリーで…」
「チョコミントとストロベリーとバニラ…」
玲二とるるかはそれぞれ違うフレーバーを頼んだ。
そのまま来たアイスを食べる二人。
お互い喋り出さない為、ただアイスを食べているだけなのに非常に気まずい空気が玲二達の間に流れていた。
「あ、あのさ!」
玲二が緊張しつつも先には話し始める。
「…何?」
「えっと…何処から来たの…?遠くから?」
「…ロンドン。」
「ロンドン!?す、凄いね…外国だろ?英語話せるの?」
「うん。」
玲二は感心したように頷く。
すると、るるかは荷物を持って立ち上がった。
「そろそろ行く場所があるから、今日はありがと。」
そう言ってるるかは何処かに駆け足で進んで行った。
「……転校生…可愛かったな…」
玲二は溜息を吐いた後、バッグを背負って帰路についた。
……帰る道中。
玲二は溜息を吐いた。
「はあ…いきなり来た場所聞くの…流石にキモかったかな…ちょっと嫌な感じされちまったかも…」
玲二はブツブツ言いながら歩く。すると、草むらの中に何か黒い物体を見つけた。
「ん?」
草むらを掻き分けてその物体を出してみる。
それは、黒に銀の装飾がされた重厚なトランクだった。
「なんだこれ?トランク?」
玲二はそのトランクを持って近くのベンチに座る。そのまま重厚なトランクを開けると、中にはおもちゃみたいな銃と数枚のチップ…そして説明書が入っていた。
「…え?」
玲二は思わずトランクを閉じた。
暫く考え込んだ後にもう一度トランクを開けた。
先程と同じ物しか入っておらず、玲二は目を疑った。
「…なんだこりゃ…」
中に入っていた銃を手に取る玲二。
玲二からしてみたら、本当に店頭で販売しているおもちゃの銃にしか見えなかった。
「…これって銃刀法違反になるのかな…」
おもちゃにしか見えないとはいえ、もしかしたら本物かもしれない。
そんな思いが玲二の頭に渦巻いていた。
「とにかく、広いところで試してみるか…」
玲二は急いでトランクに銃を閉まって駆け出して行った。
その頃、るるかは浮かんでいる人形と共に歩いていた。
「楽勝だったわね♪」
人形はるるかに対して嬉しそうな声で話した。
るるかの手には小さな宝石らしき物が握られている。
「さてるるか、次の目的は"例の予言"だったわよね?」
「"7の月の始まり、銃を選びし仮面の騎士が怪盗団の新たな怪盗となる"だっけ。」
るるかがそう呟くと、人形はるるかの前に移動する。
「私の占いでは多分こっちに居るわ!」
そう言って人形はそのまま先程玲二が通っていた道を辿って行った。
るるかもその後を追った。
……………
「さぁて…どうやって使うんだ?」
玲二は近くの廃工場に来て、ドラム缶の上に座る。
トランクに入っていた銃を出して目を凝らして読む。
「…"上部のスロットを展開して…チップを装填"…なんだよこれ…マジでおもちゃなんじゃねぇの?」
玲二は説明書を読むがイマイチ玩具感が拭えず、頭を掻く。
「交番に届けたほうが良いかな…でもおもちゃって可能性も…」
玲二は遠くに空き缶を置いて銃を構えて狙いを定める。
(スパイ映画で見たような構え方が良いのかな…)
しっかりした銃の構え方でトリガーを引いた。同時に反動でよろめく玲二。
すると、銃口から青色の針が飛んで空き缶を軽々と貫いた。
「ほ、本物だったのかよ!?」
玲二はびっくりしつつ銃を掴んでよく確かめる。
「…やっべぇもん拾っちまったか…?俺…なんか悪い奴に捕まったりすんのかな…?」
内心不安になる玲二。すると、後ろから足音がして振り返ると、るるかと人形が歩いてきた。
「る、るるか…さん!?」
るるかは少し驚いた顔をしつつも、すぐに無表情になって歩みを止めない。
「るるかで良い…。それよりなんでここに?」
「えっと…」
玲二は思わず銃を隠す。しかし、人形が現れたのを見た玲二は驚いて思わず銃を落としてしまう。
「……それは…」
「さっき拾ったんだ…おもちゃじゃないみたいだ…」
玲二は拾って銃を見せる。
るるかは玲二に視線を合わせて銃に触れる。
「ふぅん…もしかして…」
「?」
二人が話している間に、更に後ろから物音がして振り返ると、フードの男が立っていた。
「遂に会われたか…"選んだ者"」
「…選んだ者?選ばれたじゃなくて?」
玲二は思わず突っ込むと、フードの男は謎の四角い物体を取り出して投げ飛ばす。
物体は形を形成して一つの怪人の姿へと変化した。
「…!?」
玲二達は思わず驚いてしまう。
その姿はまるでアニメに出てくるような怪人で、右腕にベーゴマらしき物が取り付けられている怪人だった。
「この怪人はレガルーだ。選んだ者よ。君はこの怪人を倒す事ができるか?」
そう言ってフードの男は消えてしまった。
すると、ベーゴマレガルーは唸り声を上げて攻撃してきた。
「うわっ!」
玲二は回避して攻撃を回避した。
「るるか…!」
「分かってる。」
るるかはペンダントを掴むと、エネルギーになってから長い杖のように変化した。
そのまま長杖でベーゴマレガルーに立ち向かうるるか。
蹴りを入れたり杖で殴りかかるもレガルーに効果は薄そうだった。
「こうなったら…」
るるかは懐から宝石を取り出すが、玲二が前に立った。
「…!」
「るるか。ここは下がってろ!」
「…どうするの?貴方は戦えない。このまま戦っては死んでしまうわ。」
「無理でもやらないと、だって…」
玲二は銃を握って上部のスロットを展開する。ポケットに突っ込んだチップを出して前に立つレガルーを見る。
「このまま逃げて死ぬよりは…戦って死んで後悔する方がマシだ!」
スロットにチップを装填し、そのままスロットを銃に戻し、玲二はトリガーを引いた。
「変身!」
その掛け声と共に、玲二の身体にアーマーが下半身から順に装着されていった。
そして頭にもアーマーが徐々に覆っていき、全身が包まれたと同時に目が青く染まった。
「………?」
玲二は変身した自身の身体をよく見つめる。
「えええええ!?なんじゃこりゃ!?」
「…変身…した…」
るるかも思わず声を出した。
「…すげぇ…これならいけるかも!」
玲二は拳を握って突撃してレガルーに殴りかかった。
そのまま連続殴りで追い詰めてそのまま蹴りを入れて瓦礫に吹き飛ばした。
「おお…」
玲二は感心したような感じで頷き、そのまま敵に向かって走る。
レガルーが起き上がると右腕に付いた紐を引っ張ってベーゴマを打ち出した。
「ベーゴマ出してきた!」
玲二はなんとかベーゴマを回避しながら銃を掴んで攻撃してみるも、回転したベーゴマが反射して
弾丸が玲二に当たる。
「いってぇ!…くそっ、この攻撃じゃ駄目なのか…」
玲二は思い出したかのように説明書を読む。
「……えっと…別のチップすれば……ってうわぁ!?」
その間にベーゴマが当たって玲二は吹き飛ばされた。
「もー!何やってるの!敵が攻撃してるのにマニュアル読むなんて馬鹿?」
人形は怒ったように玲二に叫ぶ。
るるかは溜息を吐いていた。
「る、るるか!そのトランクにあるチップを取ってくれ!」
るるかは散らばったチップを見つめる。そこに近付いて一つチップを手に取る。
「これ…!」
そのまま投げられたチップを玲二は受け取る。
「…運試しだ!」
スロットを展開してチップを抜いて受け取ったチップを装填し、トリガーを引いた。
口元にマスクが追加され、姿を変化させた。
「…くらえ!」
銃を発射すると、ベーゴマに命中したと同時に弾丸が拡散された。その攻撃で動きが緩やかになり、玲二は地面に弾丸を連射した。
砂煙と共にベーゴマは勢いを失って玲二の横で止まった。
「これで武器はねぇよな。」
ベーゴマを蹴り飛ばしてそのままレガルーに接近する玲二。
銃で殴りかかると共に腹に銃口を当てて弾丸を連続で発射した。
その攻撃でぶくぶくの膨張するレガルーの身体と共に玲二は銃を抜いてそのまま蹴り飛ばした。
風船のように右往左往した後に地面に潰れた衝撃で、レガルーは爆音と共に爆散した。
「…や、やった!」
玲二は喜んで腕を上げた。
その様子を見ていたるるかと人形。
「見つけた。」
るるかは一言呟いて玲二に近づく。
「るるか、やったぜ!」
「まあまあって所ね。でも及第点だと思うわよ?」
「んだとこの人形が!」
「人形じゃないわよ!私にはマシュタンって言う立派な名前があるもの!」
お互い怒ったように話していると、遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
「…!サツだ!さっきの爆発で来たんだよ。逃げよう!」
玲二はるるかの手を引いてそのまま廃工場から逃げて行った。
…………
「…ここまで逃げれば…追ってこないだろ。」
玲二は銃からチップを抜いて変身を解除した。
「……えっと…ごめんよ?なんか巻き込んじゃって。」
「問題無い。例の相手は見つけたから。」
「…?」
玲二はるるかの方を見る。後ろの月が彼女の美しさを更に引き立たせているように見えた。
「玲二…だっけ。」
「…あ、ああ…」
「私はある組織の命令で、貴方を探していた。……まあ、その銃を使える存在だけどね。」
るるかは歩いて玲二に近づく。マシュタンはとある本を持ってきて玲二に見せた。
"7の月の始まり、銃を選びし仮面の騎士が怪盗団の新たな怪盗となる"
と書かれていた。
「これ…俺の事?」
「…そう。貴方は選ばなければならない。」
「ここで私と会った事を忘れるか、このまま私に着いて行くか。」
るるかはそのまま微笑んで玲二を見つめた。
玲二は少し考えた後にるるかの方を見る。
「…よし…着いて行かせてもらう!」
るるかはそのまま差し伸べるような手をした。
玲二はその差し伸べられた手を握った。
「ようこそ。怪盗団ファントムへ。」
るるか!るるか!貴方もるるかを推しなさい。