キュアット探偵事務所。
いつもの華やかな雰囲気では無く、重苦しい雰囲気が立ち上っていた。
それもその筈だった。
数時間前、玲二達は突如として現れたクエスターズに手も足も出せずに大敗したからだった。
「何も出来なかった…」とくれあは呟く。
シュシュタンが心配そうに彼女の頭に包帯を巻いたり、絆創膏を貼ったりして手当てをしていた。
「あんなに強い敵…初めてです…」
「これから…あんなのと…戦うんですか…?」
いつもは元気なあんなとみくるはその力に思わず雰囲気を崩されてしまっていた。
流介と純平は軽傷ながらも、座ってジュースを飲んでいた。
「アイツら何者なんだ?人類の淘汰とか言ってたよな?」と流介。
「幽奇獣の特殊個体とかですかね?」
純平はそう返すが、幸次郎は考えていた。
「おそらく…某達が戦ってきた敵とは根本的に違うと思われる…」
「じゃあ、あれは…新しい勢力…」くれあがそう答えると、また空気が重くなった。
「ごめんなさい…」「気にすんなよ。何したって、今は同じだ。」
落ち込むくれあに流介はフォローを入れた。
「…なあ、玲二の方は?」
「るるかさんが見てますよ。怪我は殆ど無かったらしいですけど…」
「疲れて……今は眠ってます。」
流介が玲二の事を聞くと、みくるが答えてくれた。
ここに玲二達を運んできたジェットの傷薬の影響で、傷や疲労はある程度回復したものの、それ以前の問題で流介達を悩ませていた。
「俺たち、あんなのに勝てるんすかね…」純平は辛そうな顔でそう答えた。
「また戦うの…怖いよ…」隣に居たあんなもソファに座りながら顔を蹲って隠していた。声色は若干震えていた。
「こんな調子じゃ…戦うなんて無理でシュ…」「時間が解決…してくれたら良いのだけれど…」
シュシュタンとマシュタンも彼らを心配そうに見つめていた。
…一番の問題は自信だった。
自身達以上の実力を持った相手に何も出来ずに完封されて落ち込んでいるのだった。
また戦っても負けるのでは無いか…そんな思いをみんなは抱えてしまっていた。
るるかはベッドで寝ている玲二の看病をしていた。
「玲二…」
彼女も怪我の手当を終えて彼の看病を続ける。
他の仲間より絆は少ない玲二だったが、その分疲労は誰よりも貯まっており、今だに眠ったままだった。
「玲二…私は知ってるから…」
彼の手に触れてるるかは涙を流しながら呟く。
「玲二は起きたら絶対…「リベンジしてやる!」って言うって信じてるから…そうやって…また私を…私達を元気にしてよ…」
また一つ、また一つと涙はこぼれ落ちる。
「だから玲二…早く元気になって…」
啜り泣くるるかの声が静寂な部屋に響き渡った。窓から差し込む月の光は彼らを温めてはくれなかった。
…翌朝。
キュアット探偵事務所に郵便が届いた。
「…?」
くれあ達は不思議そうにしていたのを見て、マシュタンが人間態になって受け取った。
「何かしら…?誰か何か頼んだ?」
「この状況で頼まねぇよ!」
流介のツッコミで少し和む一同。そしてダンボールを開けると、そこにはオルゴールが入っていそうな箱が梱包されているだけだった。
「…この品質…」
マシュタンが持って考えようとすると、みくるは「あっ!」と声を出した。
「どうしたみくる。」「流介さん!これキュアット探偵事務所でよく使ってるマホガニーですよ!」
みくるがそう答えると、流介は思わず驚く。
「…ん?何か手紙が入ってる。」
純平がその上にある手紙を手に取り、あんなに手渡した。
「…折角だし、るるかさんも呼んでこよ。」
あんなはるるかを呼んで一緒に手紙を読む。
「この字…まふる所長の…!」
「まふる所長…誰?」
「まふる所長は、イギリス屈指の難事件である「王冠紛失事件」を見事に解決したことから『暁の証明』とも呼ばれている世界的に有名な探偵の事…」
「そしてキュアット探偵事務所のロンドン支部で所長をしてる…私達の大先輩。」
るるかが冷静に説明し、只事ではないことを感じ取った。
『拝啓、日本支部。このような形ですまない。そちらの状況は聞いているが、私達もロンドンから動く事が難しい。そこで、アンタ達にはこれを送る。』
箱を開けると、そこにはハートマークのブローチらしき物が入っていた。
「スターキラリングブローチ…!」
「まさかこれを送ってくれるなんて…」
るるかとくれあが驚いた顔をしていたので、あんな達は尋ねた。
今度はくれあが説明を担当する。
「…スターキラリングブローチ…"ブローチからリングを抜く事が出来た者は、名探偵は真の名探偵として認められる"という伝説があるの。」
「…でも…今までで誰も抜いた事が無い…私とくれあも…まふる所長だって抜けなかったそう。」
「…そんな抜けもしない物を送ってくる程、向こうは余裕があんのか?」
少々イラついた口調になる流介をみくるは宥める。
「待ってください!訳が無いとそんなことする筈無いですって!」
「分かってるけどよぉ…」
流介は吃る。
「あーくそ!こんな時、玲二が居てくれたらな…」
流介がそう言うと、るるかは黙った。幸次郎は聞く。
「玲二殿…まだ起きぬのか。」
「…立香さん達にも頼んで、色々試してるけど効果無くて…」
「相当疲労しておるのだな。」
「玲二さんが居ない分、俺たちで頑張るっす!」と純平。
「頑張るっす!」あんなも真似するように答えた。
少しでも空気を和ませようとし、ほんの少しだが気分が和らいでいた。
「…気にしても仕方あるまい…某達は某達なりの、戦いをしなければならないのだ。」
「幸次郎さんの言う通りですね…」
くれあも頭の包帯を取ってそう頷いた。
るるかも少し黙った後、我慢した笑顔で頷いた。
連絡が入ってきて流介が応答する。
「はいもしもし?」
『流介君かい?こちら雄一。今クエスターズの分析が済んだんだ。』
「おお!いつの間に。」
『同時に悪いニュースもある。そのクエスターズが裏山に現れたらしい。』
「!」
流介はそれを聞いて驚く。
『向かうなら注意してくれ。』
そうして電話は切れた。
みんなは黙ってお互いを見合う。
「玲二…まだ起きてねぇよな。」と流介は呟く。
「玲二さん無しで戦うって事ですね…」みくるはそう返した。
幸次郎は立ち上がってブレイザースラッシャーを抜いた。
「…某達は確かに玲二殿を無意識に頼っていたかもしれぬ…」
「だが、某達は戦士だ。某達なりの戦い方がきっとあるはずだ。」
幸次郎はそう答えると、全員決まったような顔をして頷く。
「よし、早速強襲するぞ!」「おー!」
流介の合図でそのまま探偵事務所を飛び出す一行。
るるかも飛び出そうとする時、机に置かれた玲二のバレットストライカーを手に取り、祈るように頬に当てる。
(玲二、使わせてもらうね…)
そうして決意したのかそのまま彼女もみんなの後を追った。
……裏山。
リンがハウンドの試運転をしており、ウルフヘッドを岩に噛み砕かせた。
「ふむ。」
「どうしたリン?」ライが不思議そうに聞く。
「この前の奴らが気になってな……」
「へっ、どうせまたボコボコにしてやるとか考えてんじゃねぇの?」ライはやれやれといった感じで話すがリンはどうも気になっている様子だった。
「まさか……人間に見込みのある奴が居たのか?」
ロウは聞くがリンは考えていた。
そんな中、崖の上からるるか達が姿を表した。
「待ちな!」
「誰だお前は!?」
リン達が流介の言葉で振り返る。
そこにはあんな達や幸次郎達も立っていた。
「……」
るるかは黙ったままバレットストライカーを見つめる。
(玲二……私に力を貸して。)
ワイルドアルカナロッドにマコトジュエルをセットするるるか。
「させるか!」
ライがグレイスナイパーで撃つと同時に全員が崖から飛び出した。
「変身!」
その声とともに戦いが幕を開けた。
走る一行、クエスターズは受け身の構えを示す。
「某達が相手になろう!」
ロウに切りかかろうとする幸次郎。
しかしグレイマグナムを剣モードにして鍔迫り合う。
「…くれあ殿!」
「ッ!」
キュアエクレール:プラズマスタイルになっていたくれあは横からプラズマブラスターでロウを攻撃に成功した。
「ぐっ」
「やった…!」
そのまま翻して再び追撃するくれあ。
一方でライを純平、あんな、みくるで相手していた。
「相変わらずそそっかしいな。邪魔すんなって!」
ライはそう言ってあんなと純平を吹き飛ばすが、同時に背後に隠れたみくるがミスティックストライクを直撃させてライを地面に伏せた。
「おいおい…」
「はあ!」
「チッ!」
るるかはバレットストライカーを撃ちながらワイルドアルカナロッドで殴る。リンも対応しつつもちょくちょく攻撃を受けてしまっていた。
(なんだ…?以前とは何か違う…)
リンは昨日の相手が強くなっている事が不思議で仕方なかった。
スペックは変化していない筈なのに、何故か以前と違って全く倒せていなかった。
流介もマク相手に何とか猛攻を続けて食らいついていた。
それから遅れて雄一がライオットを装着して到着してきた。
「援護します!」
アーバレストを構えてリンの方に走る雄一。
リンは舌打ちしてるるかを弾き飛ばし、そのまま地面に向けてグレイランチャーを撃ってるるか達を吹き飛ばした。
「みんな!」
「よそ見してる場合か?!」
ライが雄一に近付き猛攻を仕掛けた。雄一もセイバーを抜いて対処するが、技量負けしてライオットが大破する。
「ぐっ…」
「人間の技術はすげぇな。でも、すげぇだけだ。」
そのまま胸ぐらを掴んでるるか達の方に投げた。
「や、やっぱり強い…!」
「でも、ここまで来てんだ…ゼッテェ勝つぞ…!」
流介達が立ち上がる。
その背後にはまるで鬼のような覇気を纏っていた。
「分からん…何故そこまで立ち上がる……何がお前たちを動かしているんだ…!?」「まだ分かってないようだな!」
「!?」
るるか達が後ろから声がして振り返る。
そこには玲二が歩いてきていた。
「玲二!」「もう大丈夫なんだな?」
「ああ。」
するとるるかが少し泣きそうになって近づく。
「玲二…良かった…!」
「心配させて悪かったな。」
玲二は伸びをしてゆっくりるるかからバレットストライカーを受け取った。
「やっぱり、これを上手く使えるのは玲二だから…」
「……ありがと。」
玲二は受け取り、チップをセットして口元に近づける。
「変身!」
そしてバレットに変身した玲二。
「行くぜみんな!俺たち全員の力が合わされば、今度は絶対に負けない!」
玲二はそう鼓舞し、るるか達も臨戦態勢に入った……
次の瞬間。
眩い光がるるかのポケットから溢れ出ている。
「まさか…」
るるかは漁ってみると、スターキラリングブローチが光り輝いているのだった。
くれあ、あんな、みくるの三人がるるかに近付く。
「光ってる!」
「これって……真の名探偵が現れたってこと!?」
あんなやみくるがびっくりしているとくれあはるるかの方を見る。
「きっと、真の名探偵はずっと居たんだわ。」とくれあは言う。
「ええ!?」
「誰の心にも持っている…気持ちって言ったらいいのかな…それが最高に共鳴した時、真の名探偵に選ばれるんじゃないかしら。」
光を見ながらくれあは自論を述べた。
るるかもその光が収束してスターキラリングブローチが柔い光を漂わせている。
「みんな…行こう。私達のアンサーで…!」
「「はい!」」「ええ!」
るるかはスターキラリングブローチの指輪を抜いた。
「玲二!私達に力を貸して!」
そう言われて玲二達は見合った後、武器を掲げてるるか達にオーラを発射した。
「何してるかわかんねぇが…!」
ライが勢い余って攻撃しようとするがライオットが銃で止めてきた。
「……貴様…この力を源を知っているかのような目をしているな。」
リンが雄一にそう呟くと彼は答えた。
「あの力…愛ですよ。愛。」
「愛…?」
リンはそれを聞いて深く考えてしまった。
と、るるか達を覆っていた光が晴れ、そこから新しい姿のプリキュア達が姿を表した。
「この力…玲二を感じる…!」
キュアアルカナの姿はまるでバレットと合体したかのように服装が変化していた。
他のプリキュア達の姿も、ライダーに似通った姿に変化していた。
「幸次郎さん…」「くれあ殿、共に戦うぞ!」
「流介さん!やりましょう!」「よっしゃー!」
「純平君。準備は?」「OK!」
「玲二。一緒にやろう!」「俺達が一緒なら不可能なんかない!」
全員で走り出し、そのまま8人はそれぞれのクエスターズを相手取る。
「幾ら姿を変えてもなぁ!」
ライは長剣で斬りかかるが、流介とみくるは回避して共に回転蹴りを披露した。
「凄い!ヴァイクの動きができてます!」
みくるは嬉しそうに二段蹴り後にしゃがんで足払いし、そのまま追撃のサマーソルトでライを攻撃する。
その隙を逃さないように流介はコモドドラゴンヒートに火炎を収束させてそのまま殴ってぶつけた。
「くっ…以前より遥かにパワーを増しているのか…!?」
「今幸次郎さんの力は私と共にある!」
「非ィ科学的な!」
ロウはマグナムで何度も連射するが幸次郎とくれあは共にブレイザースラッシャーを構えながら突撃し、撃たれる弾丸を斬り払いしてそのまま斬撃でクロスに切り裂く。
マクはデータ解析をしながらあんなと純平の攻撃を回避する。
「はあ!」
「ふんっ!」マクは槍で純平のブライソードを弾いて地面に突き刺さった。
それに走るあんなは剣を蹴り飛ばすとブーメランのようにマクの後ろにぶつかり、すぐ近付いて同時に攻撃してマクを怯ませた。
玲二とるるかは同時に殴りを入れ、ウルフヘッドの攻撃が迫るとしゃがんで二人でバレットストライカーを撃った。
吹き飛ぶリンは未だに困惑していた。
「分からん…一体何処からそんな力を…」
「俺達、友情・努力・勝利で通ってるんだ。」「殆ど努力そんなに無いでしょ。」
玲二がそう言うと、るるかはどついて訂正させた。
「愛に友情・努力・勝利だと…!?」
リンはそう言った隙に玲二とるるかはバレットストライカーを撃ってすぐ、玲二はるるかにバレットストライカーを構えて走り出す。
「援護する…!」
るるかも玲二を追いかけるようにバレットストライカーで撃つ。玲二はリンに近付くと同時にバレットギガブラスターを連結して至近距離からビームによる連射を直撃させた。
「おらっ!」
リンはその攻撃で吹き飛ばされ、アーマーは粉々に砕け散った。
四人のクエスターズはそのまま集合して体勢を立て直すものの、玲二とるるかは並んで静かに構えていた。
「玲二、一緒に行こう!」
るるかの合図とともに玲二はギガブラスターをトリガーを引いて砲身にエネルギーをチャージする。
るるかは天に手を掲げた。次の瞬間、一瞬何かが輝いたと同時に高速で大きな剣"アルカナスターフォース"が飛来した。
るるかは三つのチップを刀身のスロットにセットする。
紫、ピンク、水、白色の光が順に光り、刀身に虹のエネルギーを形成してチャージされる。
「発射ァ!」「縦一閃ッ!」
二人は目を光らせながら、攻撃を解き放った。
その二つの一撃は混ざり合い、巨大なエネルギーの攻撃となってクエスターズ達に直撃した。
「ぐわあああああ!!!」
その一撃で彼らはエネルギーと共に爆発に巻き込まれた。
「これにて一件…」「キュアット解決。」
爆風からクエスターズは脱出し、彼らを建物の上から眺めていた。
「早乙女玲二…どうやらまだ学ぶ事が増えたようだな…」
リンはそう言ってその場を後にした。
るるか達の方ではプリキュア達の前にマコトジュエルが生まれ出た。
るるかはそれを手に取る。
「これってさっきの…」
「凄いでシュ〜!まさに魂と魂の共鳴、『ソウルユニゾン』でシュ〜!」
シュシュタンのその単語にみんなは歓喜の声を漏らす。
「ソウル…ユニゾン。」とるるかは嬉しそうに話す。
「ソウルユニゾンか…はなまる素敵!」あんなは嬉しそうだった。
(この力は…スターキラリングブローチだけの力じゃない。私と玲二…それから他のみんなの思いが共鳴した結果。)
(だから玲二。ありがとう…口で言うのは恥ずかしいけど…。)
るるかは玲二を見ながら内心そう呟いた。
夕陽は彼らを照らして、いつもより照っているのだった。
ヒロインが主人公の武器持って戦う展開ってカッコイイよね。
次書いて欲しい短編
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コミカルなやつ
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ヒロインといちゃいちゃ
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シリアスなやつ