「其方は何者だ?」
ブレイザーに質問されるも玲二は平然と答える。
「俺は仮面ライダーバレット。見ての通りの…仮面ライダーだ。」
全身を見ながら腕を広げ、気だるげに下ろす玲二。
向こうは少し様子見をしながら剣を構えている。
玲二も銃を構えようとするも、周囲の住宅街への被害を避けたい為に銃を下ろす。
「待て。ここじゃ駄目だ。広いところでやろう。」
「……承知した。」
ブレイザーは何事無く承認してくれた。
「…るる…アルカナ・シャドウ。良い場所案内してくれ。」
ブレイザーの前だからなのか、玲二は思わずるるかの本名を言い掛けたので急いで訂正する。
「……私は便利屋じゃない…」
と言いつつも良い場所へと案内するるるか。
到着したのはコンテナが多く点在する廃港。ここなら邪魔は入らない。
二人は武器を構え、そのまま走り出す。
「ふっ!」
軽い殴りから始めるバレット。しかしブレイザーは剣で受け止め、その後の連撃も剣で受け流していく。
(なんだこりゃ…なんの流派なんだ…?)
玲二は考えつつも、バレットストライカーを撃ちながら走り出す。
それを剣で弾丸を弾きながら静かに構えるブレイザー。
すぐさまチップを装填し、ストリームブレードを装着して斬り掛かる。
火花が散る中、るるかはその様子を上から眺めていた。
「…よくやるわねぇ」
マシュタンがるるかの隣に浮きながら言う。
「…気持ちは分かる。」
「いざという時には…」
意味深そうに呟きながら彼らの戦いを見守るるるか。
そんな彼女と裏腹に苦戦する玲二。
「くそっ…!早い…!」
玲二はストリームブレードとグレイブソードの二刀流で何度も攻撃を仕掛けているが、ブレイザーには全て見切られているようだった。
「焦りは時に…判断を鈍らせる…」
「へっ、結構確信言うんだな…!」
玲二は武器を捨ててそのまま殴りかかろうとするが、腹を剣で殴られた後に斬り上げてコンテナの上に吹き飛ばされた。
そのままよじ登り、バレットストーリーを構えてコンテナの中に隠れた。
「…?」
ブレイザーは不思議そうにしていたが、頬に弾丸を掠めてその場から回避する。
「やっぱり見ないと無理か…」
入る直後にスナイパーチップでフォームチェンジしていた玲二は静かにそう溢す。
ブレイザーは狭いコンテナ通りに来る。左右を確認しながら進んでいると、バレットが上から現れ、ブレイザーを蹴り飛ばす。
しかし、お互い当たりどころが悪く、武器を手放してしまった。
「…くっ…」
お互い武器が相手の位置にまで飛ばされてしまった。
玲二はすかさずブレイザースラッシャーを拾い上げ、そのまま構えを取って走り出す。
「…!?」
ブレイザーも驚きつつバレットストライカーを拾い上げて応戦する。
しかし、事前に切り替えたスナイパーチップの影響で回避されてしまう。
「あんた、結構良い武器!持ってるんじゃん!」
ブレイザースラッシャーのことを褒めつつ、そのまま斬り裂くバレット。
「それは…誠に光栄なり…!」
ブレイザーも彼の言う事に感謝しつつも膝蹴りで蹴り飛ばしてそのままコンテナに壁キックしてブレイザースラッシャーを拾い上げた。
バレットのすかさず頭突きしてバレットストライカーを回収する。
そのまま後方に下がる二人。
(お互いスペックは互角…でも相手の方が戦い慣れしてやがる。)
(でも、ここで負けたくはねぇ…)
玲二は静かに対抗心を燃やしつつそのまま構えを継続する。
一方ブレイザーも彼の腕を見て素直に嬉しそうだった。
(誠に強き戦士…昂ってしまうな。悪い癖が治らん。)
(しかし、こちらも敗戦はしたくはない…ならば…!)
お互いハートをメラメラと燃やしつつ武器を構える。
すると…
「ちょっと待ってー!」
「「!?」」
割って入ってきたのはくれあだった。息を切らしていて、かなり疲れている様子。
るるかは少し黙って彼らの事を見守る。
「くれあ殿…!?」
「くれあ!?」
「「何故くれあ(殿)の事を!?」」
「…玲二さんに…幸次郎さん…こんな所で喧嘩は駄目ですよ…!」
「なぬっ」
「え」
玲二とブレイザー…並びに幸次郎は正体が平然とバレた事に思わず声が出た。
そうして成り行きのままに変身解除して姿を現す。
「…泉 幸次郎…」
玲二はそれを呟いた後、くれあに問いかける。
「なんでここに…てか、平然と正体知ってたけどなんでだよ?」
玲二は別に隠しているつもりは無かったが、変身してバレていないのだと思っていた。
「…だって、あの状況で玲二くんがあの仮面ライダー?じゃなかったら誰なのって話だから…」
「ならば…某は…?」
幸次郎も近づき、気になって聞いてみる事にした。
「…まず…声が似ていたでしょう?それに、さっきも見てたんだけど…動きが似通ってたから…」
「むっ…そこまで見られていたとは…修行が足りぬな…」
幸次郎は素直にそう呟いていて玲二は苦笑いしていた。
「にしても普通にバレてたなんて…」
「これも私のきらめきに従った結果…かな?」
くれあは笑いながらそう言った。
その様子を見ていたるるか。
「きらめき…」
その言葉を低い声で呟いていた。彼女はそのまま横髪を触った。
「それより、泉さん。あれはなんなんだ?」
「…仮面ライダーブレイザー…仮面ライダーと言う名は…申し訳無いが盗み聞きして名付けた。申し訳ない…」
(あの時の話聞いてたのか…)
玲二は内心そう思いつつ、続きを聞いてみる事にした。
「とりあえず…ここで話もなんだから…場所を変えませんか…?」
くれあが周りを見て言う。
…弾痕と斬撃痕が至る所に残り、まるで事件現場そのもの…
ここに残れば捕まる事は確定だろう。
「同意する…」
幸次郎はそう言い、玲二に相槌を取る。
玲二もすぐ頷き、三人はそのままその場を後にした。
「マシュタン。帰るよ。」
るるかも立ち上がり、そのままコンテナから降りてそのまま帰ろうとするが、マシュタンに止められた。
「ねえ、るるか。やっぱり彼女の事…」
「マシュタン」
「いやでも…」
「マシュタン!」
るるかは思わず声を荒げて横のコンテナを殴る。
「…黙ってて。」
「……」
るるかの目を見てマシュタンは素直に従った。
そのまま彼女は歩いてその場から去っていった。
………殴って腕がヒリヒリしている様子だった。
…………………………
そうして幸次郎はしばらく歩き、とある家にやってきた。
「でけぇ…」
「幸次郎さん。ここは?」
「……某の家だ。客人を招くのは久々故…」
幸次郎はそのまま門を開けて中に入ろうとする。すると、るるかも歩いてやってきた。
「……その話、私も聞いてみたい。」
「るるか…」
「…其処元は汝の友人か?」
「ああ…るるかって言って…同じクラスメート。」
玲二はそう言うと、幸次郎は彼女の方を見る。
マシュタンを人形と思い、それを抱えているだけにしか見えなかった。
「…うむ。彼の友ならば、入っても構わない。」
「……ありがとう。」
そのまま彼女もくれあの後に着いて行くことにした。
そうして和室。
茶道をする幸次郎を見るついでに色々と話を聞く事にした。
「泉さん。剣は…」
「…あの剣はブレイザースラッシャーと言うらしい。某が以前譲り受けた物だ。」
「…誰から…?」
るるかが聞くと幸次郎は首を横に振る。
「不本意ながら名前は聞かなかった…相手のプライバシーとやらを侵害する恐れの他、聞いても答えてくれそうにも無い風貌をしていたが故…」
しかし、一つの単語か彼の頭によぎる。
「…しかし…"財団Z"とは言っていたな。」
「!」
玲二はその言葉に反応する。
財団Z…バレットストライカーの説明書にも同名の組織が記載されていた。
…と言う事はブレイザーとバレットは同型…つまりは兄弟機という関係に当たる。
「…なあ、泉さん。アンタはこの力でどうしたいんだ?」
「……某は…人助けをしたい。」
「………人助け…ですか?」
くれあが気になって聞いてみる。
「…前々から…悩みがあったのだ。某は剣の腕は確かだが…それ以外に取り柄が無い…」
「そんな悩んでいた某にある日に道場破りと称して謎の男が接近してきた。」
「彼を打ち負かした暁に。この剣を譲り受けた。」
そうして見せてきたのはブレイザースラッシャー…。自作の鞘に収めてあり、非常に丁寧に扱われている様子。
「某は…この力で人助けをしてみたい。使命では無く…自分の意思でだと思っている。」
幸次郎は静かにそう呟いた。
坐禅を組んで尚且つ崩れる様子すら無く、まさに平常心だった。
「そういえば…名前を聞いていなかったな。其処元の名前は…?」
「……玲二…早乙女玲二だ。」
「…早乙女玲二殿か…某は泉幸次郎。よろしく。」
幸次郎は握手を求め、玲二は素直を了承した。
そんな中、くれあとるるかは庭を歩いていた。
和風チックで夜になれば写真が映えそうな程だが、今は池で錦鯉が餌を求めて飛び跳ねていた。
くれあは池に餌を撒き、その様子を見て微笑んでいた。
「ふふっ♪」
くれあは楽しそうにしていたが、るるかは気まずそうだった。
「………大丈夫ですか?その…」
そんな彼女を見て声をかけようとするが、名前が分からず戸惑っていると、
「…森亜るるか。」
「…森亜るるかさんって言うんですね。私は帆羽くれあ。よろしくね!」
「……よろしく……」
間を置いて挨拶する二人。何処かぎこちなく、そして感じれない程の湿気が漂っている。
「…るるかさん…何か悩んでる事でもあるんですか?」
「……別に…」
「でも、そんな顔をしているって事は、やっぱり何か隠してないですか?」
るるかは黙った。
そして次に聞いてみる事にする。
「……それも、貴女のきらめきに従ったから…?」
「…?ええ。私のきらめきがそう言ってると思ったから。」
くれあがそう言うと、るるかは更に黙った。
………蝉の鳴き声がうるさく聞こえ、暑くて汗も垂れる。向こうを走る車の音が重なって聞こえてくる。
いつもより蒸れる感じで彼女の事を見ると、何処か心の中でイライラしているるるか。
「…何も覚えてない癖に…」
「…え?」
るるかは彼女には聞こえない程の声…更に蝉の声などにかき消されて彼女はおろか、部屋に居た二人にすら聞こえなかった。
「……今日は帰る。玲二には言っておいて。」
そう言って彼女は門を通って出ていってしまった。
「……なんなのかしら…あの子…」
くれあは心配そうに見つめていた。彼女は自分に何か隠していて、それを話すつもりも無さそうだった。
だが、何か一番重い出来事を抱えている事はくれあには分かった。
…だが、くれあは彼女の事を知らなかった。
「…一体何を隠してるのかしら…るるかさん…」
夏の喧騒の中、くれあは静かにそう呟いた。
今日はいつもより短めかも。