胡蝶家の縁壱とお労しい姉上   作:科学大好き人間

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しのぶ視点です。筆者はこの回を待ちに待ってました。なぜなら善逸が出るからです。コイツが出ると喋らせるのメッチャ楽しいんですよね。これは書き手目線の話なんですけどね。さて、前回で恋心を自覚したしのぶですが、今後の彼女の運命や如何に。個人的には糖度増やしていきたいなと思っております。


第三章:鼓屋敷編
26話 鼓屋敷


「頼むよ!! 頼む頼む頼む!! 結婚してくれぇ~~~!! いつ死ぬかわからないんだ俺は!! だから結婚してほしいという訳で!! 頼むよォーーー!!」

 

「あ、黄色い汚物がいる」

 

「こら、しのぶ。あれは善逸だよ。ちゃんと人間の形をしてるじゃないか」

 

「ちゃんと見えてるわよ。善逸=汚物って言ったのよ。あいつなんでまた女の人に絡んでるの? あれまさか口説いてるつもり? やっぱり一度灸を据えた方が・・・」

 

「まあ待てしのぶ。その注射器は最後の手段にしてくれ。一旦俺が仲裁に入るから」

 

 

珠世さんの診療所を発ち、最寄りの藤の花の家紋の家でお昼まで休憩を取り、そして鎹鴉の案内する南南東の方角へ全力で駆ける私達は、道端の女性に縋り付いて泣き喚く善逸を発見した。

 

私が自作で調合した死ぬほど眩暈がする薬を善逸に打ち込もうとした矢先、炭治郎が止めに入る。やっぱり炭治郎は優しい。あんな塵屑にすら慈悲の心と情けを掛けようとするんだから。そういう所も私は好き。

 

 

「善逸。恥を晒すのはやめろ。お前の面倒を見てる雀が可哀そうだとは思わないのか?」

 

「雀に普段餌与えてるの寧ろ俺の方なんだけど!? てかいつの間にか炭治郎居るじゃん!! なんで邪魔するんだよ!!」

 

「いや、だって、お前を止めないと、またしのぶが注射器刺しそうな雰囲気出してるからさ・・・」

 

「うぇえええ!!?? まさかの俺の心配して純粋に助けてくれた感じ!!?? 求婚の邪魔とかじゃなくて!!?? 炭治郎~~~!! やっぱりお前良い奴だよ~~~!! 次の任務折角だから守ってよ~~~!!」

 

「ええ。良いわよ。私が一度この薬で物言わぬ廃人にしてから担いで守ってあげる。それでも良いならだけど」

 

「いや良くないよ!!?? 普通にめっちゃ怖いこと言ってるんだけど!! しのぶちゃん暫く振りなのに俺に対する当たり酷すぎない!!??」

 

「そうかしら。死ぬまで意識を失う事すらできない激痛のする薬打たれるよりはよっぽどマシじゃないかしら?」

 

「何それこっわ!!?? そんな薬あんの!!?? ひょっとして拷問用!!?? なんでそんなおっかない薬自作で開発してんの!!?? 物騒過ぎでしょ!!!!」

 

「大丈夫。私はアンタみたいな屑人間しか始末しないから。その為の薬よ。まっとうに生きてる人には使わないわ」

 

「何それどういうこと!!?? ひょっとして俺まっとうに生きてない判定なの!!?? しのぶちゃんの逆鱗に触れるようなこと過去にしたっけ!!??」

 

「そう。心当たりがないのね。じゃあ仕方ないわ。ひとまず一本プスッとイッとくかしら?」

 

「やめてやめてやめて!!! お願い炭治郎!!! しのぶちゃんのこと何とかして!!!!」

 

「しのぶ。そんなに怖い顔してたら可愛い顔が台無しじゃないか。良くないぞ?」

 

「っ!!?? か、かわっ!?」

 

 

炭治郎がさらりと爆弾発言するので私は一瞬で真っ赤になり固まる。顔を覆い隠しその場でうずくまってしまった。

 

 

「あ、大人しくなった。やっぱりしのぶにはこれが一番効くな~」

 

「おいこらテメェゴミカス女誑しん治郎がっ!!!! 俺の見ぬ間にしのぶちゃんとめっちゃ進展してんじゃねぇぞおまっ、ふざけんなよ!!!! なんだよあれ滅茶苦茶可愛いじゃねぇか!!!! お前まさかこれまでずっとしのぶちゃんにあんなことばっかり言ってんの!!?? その度にあんな反応毎度させてんの!!?? おいっほんとおまっマジで・・・ふざっけんなよマジでおいっ!!!!」

 

「ん? まあしのぶは可愛いって言っておけば基本怒らなくなるからな。昨日くらいから漸くわかって困ったときはなるべく言う様にしてるんだ」

 

「はぁああ!!?? テメェ舐め腐ったこと言ってんじゃねぇぞこのクソボケ炭治郎がっ!!!! しのぶちゃん相手に何度もあんなこと言ってんのかよ!!!! 敵だわお前ェ!! 男女問わず全人類の敵だわテメェは!!!!

 テメェみたいなのが居るせいで俺のような女の子に振り向いてもらえない残念野郎が増えんだぞコラァ!!! 詫びろっ!!! 全人類の代表である俺に詫びろやドブカスがぁあ!!!!」

 

「ん? 善逸。何をそんなに怒ってるんだ? 平気か? 腹減ってるのか? おにぎりあるぞ? とりあえずこれでも食べて落ち着け」

 

「実際に今腹減ってるから言い返せなくて余計ムカつくわお前ホンマ!!! ありがとう!! 頂きます!!!」

 

「良し。これにて一件落着」

 

 

ふざけないで。何も落着してないわよ炭治郎。まさかとは思うけど、昨日やたら藤の花の家紋の家で私のこと可愛いだの綺麗だの軽々しく言ってたのってつまりはそういう狙いがあったってことよね?

 

私があれで何度悶絶したかわかってんの? 全部真に受けてたわよ。手玉に取られてるみたいで本当にムカついて来た。そしてそれが頭で理解できても抗えないだろう自分に余計腹が立つ。これが惚れた弱みというものなのか。ある意味血鬼術より厄介だわ。

 

 

「カァア!! 駆ケ足!! 駆ケ足ィ!! 炭治郎!! シノブ!! 善逸!! 走レ!! 共ニ向カエ次ノ目的地マデ!!」

 

「ギャーーーーー!? 鴉が喋ってる!!」

 

「はあ・・・あのね・・・鎹鴉は普通喋るでしょ・・・じゃなきゃ情報伝達なんてできないじゃないの」

 

 

私は漸く復帰しよろよろと立ち上がる。そして悔し気に炭治郎を睨む。炭治郎は私の視線に気づくが、意図が一切理解できないのか首を傾げている。鈍感すぎんでしょ!? 何なのよ!! ほんとにこの子はもうっ!!

 

最終的に私達は鎹鴉に背をつつかれ、次の目的地へと走って移動することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか。鬼が居るのは」

 

「そうね。なんだか怪しい屋敷だわ。慎重に進みましょう」

 

「ぜェ・・・ぜェ・・・ねえ・・・なんで二人ともそんなに足速いの? 俺雷の呼吸が最速ってじいちゃんから聞いてたんだけど・・・」

 

 

 

私たちは、如何にもな怪しい雰囲気を纏う屋敷の前に到着していた。善逸が後ろでなんか質問してるけどこの際無視するものとする。

 

 

「血の匂いがするな」

 

「やっぱり炭治郎の鼻ならわかるのね。私にはさっぱり」

 

「匂い? それよりなんか音しないか? なんか変な感じの音なんだけど」

 

「音? あっ!」

 

 

炭治郎が周囲を見渡し一早く気が付く。小さな男の子と女の子が茂みに隠れていた。

 

 

「事情を聞きましょう」

 

 

そして私は一早くその子たちの前に駆け寄り、膝を着いて穏やかに微笑みかける。

 

 

「こんにちわ。今日はよく晴れてますね?」

 

「・・・・・・」

 

 

駄目だ。怯え切っている。恐らくここの鬼屋敷に家族を引きずり込まれた遺児だろう。私の声音と微笑でも彼らを安心させられないとするとどうしたら・・・

 

 

「じゃじゃーん! 手乗り雀だー!」

 

「チュン! チュン!」

 

「可愛いだろう?」

 

 

炭治郎が善逸の雀を借りてきて、そう明るく雀を差し出す。それを見てその子たちも遂に安心したのかへたへたとその場に座り込んだ。炭治郎凄い。

 

そこから漸く事情を聞きとることができた。なんでもお兄さんが夜道で連れ去られた後、あそこの屋敷に引きずり込まれたらしい。二人は兄の血を辿って追いかけたのだと言う。

 

 

「大丈夫だ。俺たちが悪い奴を倒して兄ちゃんを助ける」

 

 

そう言い炭治郎が私たちに振り向く。

 

 

「しのぶか善逸。どちらかはこの子達の為に残ってくれないか?」

 

 

本当は私が付いて行って、炭治郎が危なくならないようにしたいけれど、この子達を善逸一人に任せるのは正直不安ではある。仕方ない。

 

 

「私が残るわ。善逸は炭治郎と一緒に屋敷の中に入って」

 

「えぇええ!!?? 俺中に入んの!? 絶対に鬼に喰い殺されちゃうって!!」

 

「じゃあ残る? 貴方にこの子達の面倒が見れるならそれでも構わないけれど」

 

「あの・・・できれば僕たちお姉さんの方に残って欲しいです・・・そっちの黄色い人はあまり・・・」

 

「なんか俺嫌われてんだけど!!?? なんで!? 俺変なこと君らの前でしたっけ!?」

 

「いやその・・・やっぱり震えてる人に傍についてもらっても頼りないって言うか・・・」

 

「俺頼りないって思われてる!! でも君ら正解!! 俺滅茶苦茶弱いから!!!!」

 

「善逸。お前は強いだろ? 十二鬼月以外なら多分後れを取ることもないはずだ」

 

「十二鬼月って鬼の最強集団じゃん!!!! あれは別格でしょ!? そもそも俺雑魚鬼ですら怖くて立ち向かえないってのに!!! いやほんとマジで!!!」

 

「そうか・・・なら俺一人で行こう・・・」

 

「待って! 炭治郎それは駄目。もし中に十二鬼月が居たら炭治郎一人だと万が一があるかも。そうなるくらいなら私も行く!」

 

「うーん・・・じゃあ禰豆子に残って貰うか」

 

「え? 禰豆子って誰? 炭治郎他にも助っ人いんの?」

 

 

すると炭治郎は背負っている木箱を木陰の場所に降ろし、手を乗せて優しく声を掛ける。

 

 

「ごめんな禰豆子。俺の代わりにこの子達を頼めるか?」

 

「むー! むー!」

 

「いや待って!? 箱の中に女の子いんの!? どういうこと!! これどういうこと!?」

 

「善逸は禰豆子と一緒に残ってくれ。言っておくけど箱はいざという時まで開けないでくれ。俺たちの命が懸かっているんだ。約束してくれるか?」

 

「えっ!?」

 

 

炭治郎が真剣な眼差しで善逸を射貫くように見つめる。善逸は一瞬驚いていたが、やがて泣きべそをかきながら渋々頷いた。

 

 

「わかったよ~、残るよ~、炭治郎には俺のこと今後も守って欲しいし・・・」

 

「ありがとう善逸。お前が居てくれて本当に良かった」

 

 

善逸は泣き顔だったが炭治郎の礼を聞いて泣くのを辞める。一方炭治郎は私に視線を移す。

 

 

「じゃあ行こうかしのぶ。なるべく早く片付けて戻ろう」

 

「ええ」

 

 

そうして私は炭治郎の背を追いかけて屋敷に入ろうとする。ただ直前に善逸に振り返り、脅すように低い声音で念を押す。

 

 

「善逸。もしアンタが炭治郎との約束破ったら、私がアンタを殺すから。いいわね?」

 

「ヒッ!?」

 

 

恐らく私は殺気を漏らしていたのだろう。善逸は悲鳴を上げかけ必死に首を縦に振っている。私はそれを確認して屋敷に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禰豆子ちゃんが鬼であることを他の人に悟られてはいけない。もし他の隊士に報告されれば、お館様の制止を待たずに殺そうとする輩が出て来るはずだ。

 

禰豆子ちゃんが死ねば、きっと炭治郎は生きていけない。炭治郎にとって唯一の残された肉親だから。最悪の場合、鱗滝一門全員の処刑も訴えられることが考えられる。

 

そうなるくらいなら、私が手を下す。炭治郎は私が守る。もし仮にそれで、鬼殺隊と敵対することになったとしても・・・その時は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




???「愛情があるからこそ憎しみが生まれ、痛みを知ることが出来る」

愛ゆえにダークサイドに堕ちる展開もお労し過ぎて唆るぜこれは案件なんですが、多分書きません。やっぱりラブ&ピースが一番です。途中どんなお労しい目に遭っても最後はハッピーエンドが良いに決まってます。逆に言えば、終わり良ければ途中どれだけお労しくても全て良しな訳ですね(え)。まあ暫くは炭治郎に振り回されるって意味でのお労しや姉上でお届けする所存です。

読みたい路線はどっち?

  • 一部の層(継国兄弟ファン)にぶっ刺さる話
  • 万人受けしそう(マイルド)な話
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