「炭治郎。お前。良いご身分だな・・・!!!」
「えっ?」
「お前、しのぶちゃんだけじゃ飽き足らず、こんな可愛い女の子まで連れ回して、うきうきうきうき旅してたんだな?」
「いや、禰豆子は・・・」
「俺の流した血返せよっ!!!!!」
私は炭治郎、善逸、伊之助が休む大部屋の隣の個室で文をしたためていた。あー、五月蠅い。また善逸が騒ぎ始めた。アイツ黙ってるってことができないのかしら? 今日中に悲鳴嶼さんと姉さんに手紙送りたいのに・・・
「俺は!! 俺はな!! お前が毎日しのぶちゃんと禰豆子ちゃんに両側から挟まれて!! 両手に華でアハハのウフフでイチャつくために頑張った訳じゃない!! そんなことの為に俺は変な猪に殴られ蹴られたのか!?」
「善逸落ち着け。どうしたんだ急に・・・」
「鬼殺隊はなぁ!! お遊び気分で入る所じゃねぇ!! お前のような奴は粛清だよ粛清!! 鬼殺隊を!!! 舐めるんじゃねぇええ!!!!!」
「わぁああああ!!! 善逸!!?? 危ない!!! 日輪刀は流石に危ない!!!!」
「なんだ力比べか!? 勝負勝負ゥ!!!」
駄目だ。全然集中できない。任務の報告書も私に書かせておいて、休みもせずに夜通し騒ぐとか頭可笑しいんじゃないの? どういう神経してるのよ・・・!!
私は我慢ならず部屋のふすまを勢いよく開けて目の前の三人に物申す。
「五月蠅い!! そんなに体力有り余ってるなら常中の鍛錬でもしてなさい!!!」
「わっ! しのぶまだ起きてたのか? 手紙は書けたか?」
「アンタ達が五月蠅過ぎておちおち書いてられないわよ!! いいから全員正座!!!」
私の剣幕に震え上がり、三人共黙って私の言う事を聞く。私は彼らの前で仁王立ちする。
「まず善逸」
「ヒィ!! お、俺っ!?」
「そりゃアンタが騒ぎ始めたんだからアンタからに決まってるでしょ」
私は善逸に対し有無を言わせず言い聞かせる。
「そもそも私と炭治郎は姉弟弟子の関係よ。アンタが想像するようないかがわしい関係じゃありません」
「え・・・でもしのぶちゃん炭治郎の前では・・」
「何か言った?」
「いいえ。言ってません」
私は満面の作り笑いを浮かべて善逸に釘を刺す。それだけで彼は大人しくなる。
「それと禰豆子ちゃんは炭治郎の実の妹よ。炭治郎は禰豆子ちゃんを鬼から人間に戻す為に鬼殺隊に入ったの。兄妹なんだからアンタの言うようなことする訳ないでしょ?」
「えぇええ!!?? 禰豆子ちゃんって炭治郎の妹なの!!?? 俺、初耳なんだけど!!!!」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「言ってねぇわクソボケ炭治郎が!! なんだよ!! だったら初めからそう言えよ!!!」
「いや、言おうとしてただろ? でも善逸が遮るから・・・」
「俺のせいかよ!! ふざけんなよ!! 炭治郎が初めからそう言ってたら俺もこんな騒いでねぇわ!!」
「善逸五月蠅い。注射器刺すわよ?」
「はい。すみません」
私は善逸を黙らせ溜息をつく。
「まあそうね。私から先に言ってあげれば良かったわ。清君達を送り届けた時点でもう夕暮れで、すぐ藤の花の家紋の家に向かって言う暇なかったし不可抗力ではあったけど。とは言えこれで善逸の疑問はもう払拭できた訳だしもう騒がないこと。良いわね?」
「はい。もう騒ぎません」
「良し。じゃあ次、伊之助」
「ゴメン・・・モウアバレマセン」
「なら良いわ。そんなに勝負したいなら朝一で私が打ち込み稽古してあげるわよ。アンタが動けなくなるまで付き合ってあげる」
「ホントか!! よっしゃぁああ!!! 勝負勝負ゥ!!!」
「伊之助君? 静かに出来る?」
「ハイ・・・デキマス」
「良し。じゃあ最後、炭治郎」
「え? 俺もか?」
「当たり前でしょ。アンタのせいで揉めたんだから」
「えぇ・・・」
炭治郎が心外そうにしている。私はそんな炭治郎に対し、ここ数日彼に振り回された言動に対し釘を刺すことにした。ただ目を見て伝えるのは照れくさいのでそのまま私は顔を逸らす。
「貴方は・・・その・・・もう少し言葉を選んでから発言するようにしなさい」
「え? ん? それってどういう意味だ?」
「兎に角! 人の気持ちを弄んだり振り回すような発言は控えること! 良いわね!?」
「え!? 俺そんなことしてたか!? 正直自覚がないんだけど・・・」
「うわぁ。マジかよコイツ・・・やっぱりとんでもねぇ炭治郎だ」
「善逸まで!? え・・・ん!? あ! そうか! 俺は無意識に善逸の気持ちを弄ぶような酷いことを言っていたのか! ごめん善逸!! 俺、ここ数日お前に嫌な思いばかりさせてたかもしれない! 本当にごめん!!」
「いや、しのぶちゃんが言ってるのは多分そういうことじゃなくて寧ろ・・・」
「善逸は黙ってて」
「うぇええ!? なんで!? ここではっきりさせておいた方が今後の為でしょ!? またしのぶちゃん振り回されるよ!? それでも良い訳!!??」
「くっ・・・! で、でも・・・炭治郎にそれをはっきり言うのは今の私にはとても・・・!!」
「えぇっ!? 俺はしのぶにも嫌な思いをさせていたのか!? 俺はなんてことを・・・ごめん二人とも!! 今後は俺が酷いことを言ってたら気兼ねなく指摘してくれ!! 長男として絶対に悪い所は直して見せる!!!」
「あ、えっと・・・炭治郎違うの。そういう事じゃなくて・・・」
「俺、夜通し考えるよ。ここ数日何がいけなかったかを。夜風に当たりながら屋敷の外を歩いて自問自答してくる。皆は先に眠っててくれ。それじゃあ・・・」
「え・・・あ・・・」
そうして炭治郎はふすまを開けて部屋の外に出ていってしまった。私は炭治郎に手を伸ばしたままその場で立ち尽くしてしまう。
すると善逸がポツリと呟く。
「なあ、しのぶちゃん。炭治郎にもう少し素直になったらどうなんだ? あいつはっきり言ってやんないと多分わかんないと思うぜ? もしかしたら変に思い詰めちまうかも・・・」
「うっ・・・うっ・・・」
「えぇええ!!?? 嘘っ!? 泣いてるっ!!?? あのしのぶちゃんが!!?? 待って待って!!! そこまで気にする!!??」
「ううぅ・・・炭治郎に嫌な思いさせちゃった・・・私が素直じゃないから・・・」
「ちょっ!? マジで!!?? しのぶちゃん気にし過ぎでしょ!? 大丈夫だって!! 炭治郎はあれくらいでしのぶちゃんのこと嫌いになったりしないって!!」
「ほんと? でも・・・もしかしたらもう口利いてくれないかも・・・そしたら私・・・うっ・・・うっ・・・」
「いや待って!? しのぶちゃんの気持ちってそんなに激重だったの!? いや、ちょっと・・・どうすればいいのこれ!!??」
「どうしたしのぶ!! もしかして晩飯が当たったのか!? 日ごろ胃袋鍛えてねぇから腹壊すんだろうが!!」
「伊之助は何で頓珍漢なこと言い出してんの!!?? どう考えても理由はっきりしてんでしょうが!!! ああ~~~!!! 待って待ってしのぶちゃん!! 手拭い手拭い!!!」
「うっ、うっ、うわぁああああん!!」
どうして? どうして私素直になれないの? そのせいで炭治郎に距離取られちゃった。私、今までずっと炭治郎が傍に居てくれたから、彼に離れられるだけで胸が苦しい。どうしよう。今後について嫌な想像ばかりしてしまう。
私は結局、そのまま感情の制御ができなくなり、善逸と伊之助の前で脇目も振らず子供のように泣き出してしまった。
続く
恋愛が絡むとポンコツになる優等生ヒロイン、推せる(え)。
原作のしのぶさんはお姉さん殺されて覚悟ガンギマリだからポンコツ化なんてしないイメージあります。まあ金魚にフグとか命名してるんで描写がないだけで裏ではそういう一面沢山あるとは思うんだけど・・・
読みたい路線はどっち?
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一部の層(継国兄弟ファン)にぶっ刺さる話
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万人受けしそう(マイルド)な話