41話 あら~? あらあらあら~?
「あらあら~、この子がいつも話題に挙がる炭治郎君なのね~。初めまして。私、胡蝶カナエって言うの。しのぶとカナヲのお姉さんなのよ? 炭治郎君。私のことは遠慮なくカナエ姉さんって呼んで良いからね~!」
「はい! でも俺は貴方の弟ではないので今後はカナエさんって呼びます! いつもしのぶにはお世話になってます! お会いできて嬉しいです! カナエさん!」
「も~、遠慮することないじゃない? ゆくゆくは貴方も私の弟になるかもしれないし~。だから今の内から炭治郎君にはカナエ姉さんって呼んで欲しいな~?」
「ちょっ!? 姉さんっ!! 炭治郎に何言い出すのっ!!??」
「?」
お館様の屋敷から隠に連れられて蝶屋敷に移動した私は、念願の姉さんと炭治郎の初顔合わせを叶えるに至った。
私も将来的には炭治郎の外堀を固めてゆくゆくは・・・なんて思っていたけれど、姉さんはそんな私の思惑を遥かに超える勢いで炭治郎との距離を詰めていた。
「うふふ~? 私、炭治郎君みたいな可愛くて良い子そうな弟欲しいな~。ね~? しのぶ~?」
「ちょっと待って!! 姉さんいくらなんでもそういうの早過ぎない!? 炭治郎だって困惑してるし!!」
「しのぶのお姉さんってなんだか不思議な人だな。しのぶとだいぶ雰囲気も違うし」
「あら~? 炭治郎君、折角しのぶが居るのに私に目移りしちゃ駄目よ~。貴方にはこれから先ずっとしのぶのことだけを見てて欲しいな~?」
「ちょっ!? 姉さん姉さんっ!! もういい!! もういいから!!」
「わかりました! これからはずっと、しのぶだけを見るようにします!」
「た、炭治郎っ!!??」
「あらあら~、とっても素直な良い子ね~、姉さん嬉しくなっちゃうわ~!」
そうやって暫くの間お茶の間で談笑していた。やがて気が済んだのか、姉さんは話題を一転させる。
「炭治郎君。禰豆子ちゃんのことは大変だったわね。辛い思いばかりしてきたでしょう」
「え? ああ・・・それは・・・」
炭治郎は目線を下げる。姉さんは真剣な声音で話を続ける。
「私もしのぶやカナヲのことをこの世の何よりも大切に想っているの。貴方の気持ちは痛い程わかるわ・・・」
「カナエさん・・・」
「しのぶも・・・本当はもっと早く教えてほかった・・・禰豆子ちゃんを匿っているって」
「ごめんなさい姉さん。カナヲにもそう怒られたわ。なんで自分だけじゃなく、姉さんにすら秘密にしてたんだって」
「ほんとによっ! もうっ! 私たちがどれだけ心配したかわかってるの!? しのぶはっ!」
「その・・・いざって時の為にどうしても巻き込みたくなかったの・・・だから本当にごめんさい・・・姉さん」
「もう・・・でも今は怒ってないわよ? しのぶが無事に帰って来てくれたから。それだけで姉さん嬉しいもの」
すると姉さんは私のことをそっと抱きしめてくれる。左手は不自由で思う様に動かせないみたいだけど、それでも私は姉さんに包み込まれて幸せだった。
「むー! むー!」
「あ、禰豆子おはよう。もう眠らなくて平気なのか? 傷はもう治ったのか?」
「むー! むぅむぅ!」
「あ、そうか。わかったよ禰豆子。しのぶみたいに一杯ナデナデしてほしいんだな? いいぞ。兄ちゃんが思う存分ナデナデしてやるからな?」
「むー♪ むー♪」
そう言って炭治郎は禰豆子ちゃんを優しく愛おしそうに抱きしめて撫で始める。それを見た私は突如気恥ずかしくなり姉さんから離れようとした。
「姉さん・・・もういいから・・・」
「え~、何々~? もしかして炭治郎君の前だから恥ずかしいの~? 気にしなくていいのに~」
「き、気にしてないから!」
「いっそしのぶも炭治郎君にナデナデしてもらったらどうかしら? とっても幸せな気持ちになれると思うわよ?」
「え・・・はぁああ!!?? 馬鹿言わないでよ姉さんっ!! そんな恥ずかしいこと炭治郎に頼める訳ないでしょ!?」
「なんだしのぶ。しのぶもナデナデして欲しいのか? いいぞ。俺は長男だから、妹のしのぶならいくらでもナデナデしてやれるぞ?」
「私の方が一個年上なんだけど! 妹扱いしないでっ!!」
「あいたっ」
「むー」
「こら駄目よしのぶ。照れ隠しに暴力振るうのは良くないわ」
「照れてないっ!!」
「も~、素直じゃないんだから~」
「姉さんは黙ってて!!」
不味い。完全に姉さんの手中だ。このままだと気が付けば姉さんの勢いに飲まれる。私はちゃんと手順通りに炭治郎と距離を縮めたいのに。
「あ、あのね。炭治郎。実は私、炭治郎に伝えたいことがあるの・・・」
「ん? なんだしのぶ。そんなに改まって・・・」
私は意を決して炭治郎に自分の想いを打ち明けようとする。しかしそんな私がもじもじしていると、姉さんがドンドン期待の眼差しで私を見つめるようになる。
「あら~? あらあらあら~?」
「もうっ! 姉さん五月蠅いっ! ちょっと黙ってて!!」
「そんなこと言われても~、だってしのぶの一世一代の頑張ってる所が見れると思ったら姉さん嬉しくなっちゃって~」
「ああっ! もうっ! 炭治郎行くわよっ! 縁側までついてきてっ!」
「おお・・・」
私は炭治郎の手を引いてお茶の間を退散する。最後に姉さんが禰豆子ちゃんを抱っこしてナデナデしているのが見えた。
そして私はひたすら蝶屋敷の廊下をズンズンと進んでいく。すると今度は廊下の途中で蝶屋敷で働くアオイとすれ違う。
「あ、しのぶ。その子は・・・」
「初めまして! 俺、竈門炭治郎って言います! 君の名前は?」
「あ、貴方が!? ・・・じゃあしのぶ。ひょっとして今日打ち明けるの!?」
「アオイまでっ! 良いから貴方は姉さんにお茶届けに行って! 暫く縁側に来ちゃ駄目だからっ!!」
「わかったわ。縁側でね。頑張ってね、しのぶ」
「いいからそういうの! 早く姉さんのところに行ってきて!」
「わかったわ。炭治郎さん。しのぶのことを今後ともよろしくお願いします」
「? よろしくって何を・・・」
「炭治郎っ! そろそろ行くわよっ!」
「わあっ」
そうして私は炭治郎を思いっ切り引っ張って、縁側まで連れ出した。私たちは蝶が舞う庭を前に横並びで腰掛ける。
「それでしのぶ。話って言うのは何なんだ?」
「えっと・・・えっとね・・・」
私は中々踏ん切りがつかないでいた。その様子を炭治郎は首を傾げながらも見守る。
どうしよう。任務から無事に生きて帰ってこれたら、炭治郎に告白するって決めてたけど、いざその時になると声が出ない。顔ばかり熱くなってしまう。私は尻込みする。
「どうしたんだ、しのぶ。何だか顔赤いぞ? 熱でもあるんじゃないか?」
すると炭治郎が突如私に顔を近づけ、オデコをくっ付けてくる。私の心臓は一度止まりそうになる。び、びっくりした。一瞬接吻されるのかと思った・・・!!
「う~ん・・・熱ある気がするなぁ・・・下弦の伍と戦ってから俺も平熱かなり上がった気がするから今のしのぶは相当熱出てるんじゃないか? あれ・・・しのぶ?」
私は限界を迎えて気を失いかけた。目を開けたまま硬直し、倒れかける。それをすぐに炭治郎が支える。
「しのぶっ! どうしたんだ急に! しのぶっ!?」
本当にどうしちゃったの、私。炭治郎に想いを伝えるって決心してたはずなのに。とてもじゃないけど言い出せなかった。今思うと善逸って凄い。
続く
残念~! 告白ならず~! まあ筆者的には炭治郎から告れとどうしても思ってしまいますね。前時代的なのは重々承知してますがやはりそこは浪漫なので。因みに恋雪ちゃんの逆プロは滅茶好きです。映画でとても感動しました。うっ、思い出したら目から急に水が。うう、どうしてあんなことに。
読みたい路線はどっち?
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一部の層(継国兄弟ファン)にぶっ刺さる話
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万人受けしそう(マイルド)な話