「イィイヤァアアア!!! 出たぁあああ!!! カナヲちゃんなんで蝶屋敷に居るのぉ~~~!!?? ヤバイ!! 怖い!! 怖い!! 怖いィ!!!!」
「三太郎っ!! 今すぐ逃げんぞっ!! ここは親分である俺が守ってやるっ!!」
「善逸と伊之助だっけ? 大丈夫。もうお館様の命令で炭治郎には手出ししないことになったから。しのぶ姉さんや炭治郎から聞いてないの?」
蝶屋敷の病室から、まず第一声として善逸の大声が鳴り響く。私は大急ぎで部屋まで向かい、その途中で伊之助の慌てる声が聞こえた。部屋の様子を見てみると、善逸と伊之助が炭治郎を部屋の端まで下がらせ庇うような所作をしていた。そして彼らの目の前にはカナヲが立っていた。
「カナヲ。もう帰ってたのね。柱合会議は終わったの?」
「うん。ひとまず上弦の壱については報告したから。あとは皆で話し合うから帰っていいって言われてそれで・・・」
「そう。貴方は話し合いには参加しないの?」
「うん。あとで議事録読むから平気。それより禰豆子って鬼はどこ?」
「ヒィイ~~!! 怖いけど!! 怖いけどっ!! 禰豆子ちゃんには指一本も俺が触れさせないからなぁっ!!!!」
「禰豆子は俺の子分だぞ!! 少しでも手ぇ出してみろっ!! 刺し違えてでもぶっ殺すからなっ!!」
「善逸っ!! 伊之助っ!! 大丈夫だ!! もうカナヲは俺と禰豆子に襲い掛かったりしない!! お館様って人がカナヲと他の柱の人達含めて全員説得してくれてんだ!! だからもう平気だ!!」
「え・・・そうなの・・・?」
「ヨカッタ・・・モウオソワレナクテ」
するとカナヲは一歩炭治郎に近づく。その動作に彼ら三人は全員反射的に肩をびくつかせる。
「な・・・なんだいカナヲ・・・?」
炭治郎もまだ今朝の恐怖が抜けきっていないのか、無意識に身体を強張らせている。するとカナヲはそのままお辞儀をした。
「ごめんなさい。炭治郎。今朝は殺そうとして。私、しのぶ姉さんが貴方に誑かされてるのだとばかり思って・・・」
「た、誑っ!? ちょっ!! カナヲ何言ってるの!!??」
「貴方と一緒にしのぶ姉さんが責任を取らされて処罰されるんじゃないかって思ったら、もう貴方のことが許せなくなっちゃって。本当にごめんなさい。償えることがあるなら私何でもするから」
「カナヲ・・・」
そうか。カナヲが柱合会議をさっさと切り上げてわざわざ蝶屋敷にとんぼ返りしたのは、炭治郎に謝る為だったのね。やっぱりカナヲは純粋な子だわ。なまじ腕が立ち過ぎる分、恐ろしく思う時もあるけど。
「き、気にしてないよ、カナヲ。ただ、もし次禰豆子に会う時は多分俺達以上に怖がると思うから、その時はなるべく慎重に会いに来てくれ。俺からも禰豆子には伝えておくから・・・」
「わかった。ありがとう」
「ねぇねぇカナヲちゃん! 今何でもするって言った!? 言ったよね!?」
「? うん・・・言ったけど・・・」
「じゃあさ、じゃあさ、今度俺と二人で・・・」
「善逸? 注射器刺すわよ? 三本位イッとくかしら?」
「ぎゃぁあああ!! ごめんなさい!! ちょっとした出来心なんですぅ!!! もう言いません!! 許してくださいっ!!」
「はあ・・・カナヲも何でもするなんて言わないの。女の子がそんなことを言うんじゃありません」
「? どうして?」
「どうしてって・・・兎に角駄目なの。私の言葉だけで納得できないなら姉さんにも聞いてきなさい」
「ううん。大丈夫。しのぶ姉さんが言うならその通りにする」
「はあ・・・」
この子の主体性のなさは恐らく私や姉さんが幼少期過保護に育て過ぎたせいだ。そして止めに悲鳴嶼さんが鬼殺隊に従順になるよう偏った教育を仕込んだせいだ。本当に申し訳なく思う。これからは自分で考え自分で選ぶように促してあげないと。
「なあ、カナヲ。もし俺に対して申し訳なく思うなら、俺のお願いを一つだけ聞いてはくれないか?」
「うん。いいよ」
「炭治郎・・・貴方カナヲに何頼む気? もし善逸みたいに下心満載だったらその時は覚悟できてるんでしょうね・・・!!」
「ちょっ!? 違う違う!! いや、違わないかもだけど・・・」
「っ!! ・・・そう・・・なんだ・・・私にはそういうお願いしてくれない癖に・・・カナヲには頼むんだ・・・そうなんだ・・・」
「? 何を言ってるんだしのぶは。俺はただカナヲに稽古をつけてもらいたいだけだぞ? カナヲ、いいかな?」
「稽古?」
私は一瞬へそを曲げたが、炭治郎がカナヲに詫び代わりとして稽古のお願いしてるのを聞いて、一転して申し訳なく思った。
そっか。そうよね。炭治郎がそんな善逸みたいな、如何わしいお願い事する訳ないわよね。うん。知ってたわ。知ってたはずなのになんで私こんなに動揺してるんだろう・・・
「俺はもっと強くなりたい。お館様は近い将来俺を柱にしたいって言ってたけど、俺は下弦の伍を倒すだけでボロボロになる程度の実力しかないんだ。どうか頼む! 俺を・・・カナヲみたいに上弦とも戦える位強くしてくれ!! どんな厳しい鍛錬にも俺耐えるからっ!!!」
「ほんと?」
「ああっ! 本当だっ!! 俺は禰豆子を人間に戻すためならどんなにキツイ鍛錬だろうと耐え・・・」
「悲鳴嶼さんみたいな鍛錬でも耐えられるの?」
「え・・・」
カナヲの問いに炭治郎は固まる。やがてみるみる内に顔色が悪くなり、震える声で聞き返す。
「悲鳴嶼さんって・・・以前しのぶが言っていた鬼殺隊最強の柱の人だよな・・・確か修行で火あぶりもするとか・・・」
「まあ火あぶりは悲鳴嶼さんしかやらないけど、炭治郎がやる気なら止めはしないよ。やる?」
「いや! 火あぶり以外で頼むカナヲッ!! できれば死なない奴でお願いしたい!!」
「どんな鍛錬でも耐えるって言ってなかったけ?」
「うっ! そ・・・そうだけど・・・でもそれは強くなるための鍛錬ならって意味で・・・!!」
「わかった。じゃあ明日からね。まずは炭治郎の実力を確認して、炭治郎が死なない程度の鍛錬法を考えてみる。それでいい?」
「えっ、あ、ああ! それで頼む!」
「じゃあ私、今日はずっと蝶屋敷の仕事するから。明日の空き時間からそのつもりで。それじゃあしのぶ姉さん。とりあえず那田蜘蛛山で怪我した人達の診察すれば良い?」
「えっ、あっ、そうね。丁度私診てたところだから一緒に来てくれると助かるわ。お願いできる? カナヲ」
「うん。任せて」
そしてカナヲは一足先に部屋を出て行った。私も続くが炭治郎に振り返る。
「炭治郎。あんまり無理しないでね?」
「え?」
私はそれだけ言い残してその場を立ち去った。呆ける彼に背を向けて。
私は心配だった。本当に大丈夫だろうか。カナヲに鍛えてもらうなんて。炭治郎の身体が壊れない様、様子を見に行ってあげないと。
その日、私とカナヲは蝶屋敷で隊士達の治療や怪我の手当てに明け暮れ、炭治郎は翌日の鍛錬の為にと善逸や伊之助の横の寝台の上でしっかりと休息を摂った。
そして翌朝・・・
「ぐあっ!!??」
「炭治郎っ! 大丈夫っ!?」
「炭治郎。貴方本当に水の呼吸でこれからも戦うつもり?」
「がはっ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・げほっ・・・え?」
機能回復訓練を行う鍛錬場を早朝貸切って、翌日炭治郎はカナヲと手合わせをしていた。瞬く間に炭治郎は叩き伏せられ、反吐をぶちまけ床に臥すことになった。私は心配だったので念のためにと同席したが、案の定カナヲの打ち込み稽古は炭治郎が耐えられる程度のものではなかった。私は思わず駆け寄り炭治郎を介抱する。するとその様子を眺めながら、カナヲは炭治郎へと不意にそう質問した。
「はあ・・・はあ・・・カナヲは・・・どうしてそんなことを聞くんだ?」
炭治郎は起き上がり木刀を構え直す。一方カナヲは自然体で立ってるだけだ。木刀は握っているものの、構えてすらいない。やがてカナヲは答える。
「貴方の身体に水の呼吸は合ってないと思う。それでよく下弦の鬼倒せたね。まあ常中はそこそこ積んでるみたいだけど、それでもしのぶ姉さんの足元にも及んでないし。本当に妙だと思う」
するとカナヲは木刀の切っ先を炭治郎に向ける。
「貴方にはもっと得意な呼吸があるはず。因みに日輪刀の色は何色なの?」
「え? く、黒だけど・・・」
「黒・・・」
「そう言えば・・・カナヲの日輪刀も黒だったわよね? 上弦の壱と戦った時初めて見たけど・・・」
するとカナヲは一歩私たちに近づく。
「炭治郎。貴方は日の呼吸に適性があるんじゃない? もしかして型とか知ってたりする?」
「え・・・日の呼吸?」
するとカナヲは、もちうる限りの日の呼吸に関する話を、この時私たちにしてくれた。
続く
ここから一気に原作チャートぶっ壊れます。なぜなら炭治郎が縁壱スペックカナヲにみっちり鍛えてもらうからです。多分最終決戦手前ぐらいまで一気に強くなるかも。主人公が強いとやっぱり良いよね。
読みたい路線はどっち?
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一部の層(継国兄弟ファン)にぶっ刺さる話
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万人受けしそう(マイルド)な話