胡蝶家の縁壱とお労しい姉上   作:科学大好き人間

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しのぶ視点です。刀鍛冶の里編開幕です。男女で温泉旅館と言ったらしっぽりですよね(おい)。


第九章:刀鍛冶の里編
66話 しっぽり


「あらあらまあまあ! しのぶったら炭治郎君に求婚されたのね! なんてめでたいのかしらっ!」

 

「ありがとう姉さん。私とっても嬉しいわ」

 

 

私は風柱邸に引っ越し、妊娠経過の通院で蝶屋敷に度々訪れる姉さんに、炭治郎から告げられた婚約の話を打ち明ける。姉さんはこれ以上ないくらい喜んでくれた。

 

 

「うふふ! 炭治郎君ならきっとしのぶを誰よりも幸せにしてくれるわね? 因みに祝言を挙げる日取りとかは決めてるの?」

 

「あ、いや、流石にそこまでは・・・」

 

 

私は姉さんの診察を済ませ帰りの身支度を手伝いながらそう返す。

 

 

「もうっ、しのぶったらちゃんとその辺りの話も決めておくのよ? 私なんて実弥君との祝言ずっと先延ばしになっちゃったんだから。言っておくけど他人事じゃないわよ?」

 

「う、うん・・・そうね・・・今度ちゃんと聞いてみるわ」

 

「うふふ。じゃあまた来るわね? 次はもっとめでたいお話聞かせて。楽しみにしてるから~!」

 

「もっとめでたい話って・・・それって実質日取り決めろってことじゃ・・・」

 

「そうとも言うかしら? それじゃあまたね~、しのぶ~!」

 

「うん。姉さんも元気で」

 

 

そう言って、姉さんは蝶屋敷を後にした。私は自身の診療室に戻る。

 

 

「しのぶ姉さん。炭治郎と婚約したって話本当?」

 

「何? 聞いてたの? 耳が早いわね、カナヲ」

 

 

すると不意にカナヲが部屋に入って来てそう尋ねてくる。私はやや照れ臭くなり笑って答える。

 

 

「おめでとう。しのぶ姉さん。折角だから炭治郎と婚前旅行にでも行ってきたら?」

 

「えっ」

 

 

唐突なカナヲの提案に私は面食らう。カナヲは首を傾げて寧ろ怪訝そうに再度尋ねて来る。

 

 

「しのぶ姉さんは炭治郎とどこか二人で出掛けたいって思わないの? 悲鳴嶼さんが夫婦(めおと)になる人達はそう言った行事を挟むって以前言ってたから・・・」

 

「悲鳴嶼さんって何気にその手の内容博識よね・・・」

 

 

私はやや苦笑いし、少しの間逡巡する。

 

 

「確かに・・・機会があれば行ってみたいわね」

 

「でしょ? 今カナエ姉さんが抜けて少し忙しいけど、入院してるのも炭治郎一人だし、引継ぎした仕事に慣れて来たらしのぶ姉さん一人がお暇(いとま)取る位なら何とかなると思うよ? だから遠慮しなくて良いからね?」

 

「う、うん・・・わかったわ・・・じゃあお言葉に甘えさせて貰うわね」

 

 

そうして私はある妙案が思いついたので、それをカナヲに打ち明ける。

 

 

「そう言えば丁度私の日輪刀の修繕が終わる頃だわ。炭治郎も既に機能回復訓練の終盤だし、彼の日輪刀も猗窩座戦で酷く刃毀れしたから刀鍛冶の里に行ってみるのも良いのかも。確かあそこって温泉旅館もあるし、炭治郎の湯治で滞在してみるのも良いだろうし、二人きりの旅行先として考えるにはお誂え向きな場所なのかも・・・」

 

「だったら是非行って来てよしのぶ姉さん! それまでの間蝶屋敷のことは私達に任せて! 遠慮しなくて良いからね?」

 

「あ、ありがと・・・」

 

 

私以上に乗り気なカナヲに私は少々たじろいだ。とは言え、刀の修繕はどの道やらなきゃいけないことだから、ここは一つ素直にカナヲの好意に甘えることにしよう。

 

 

「じゃあ来週辺りでまとまった休暇を貰うわね。炭治郎にも伝えておくから」

 

 

そうして私は道場に向かい、機能回復訓練中の炭治郎にカナヲと話し合ったことを提案しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わあ! 凄いなしのぶ! 大きな建物が一杯だ! それにそこら中から温泉の匂いがするぞ!」

 

「そうね。炭治郎。丁度貴方の湯治にもなるし折角だからゆっくりしましょうね?」

 

 

一週間後、私たち二人は刀鍛冶の里へと赴いていた。予想以上に炭治郎が喜んでくれていて私も嬉しい。二人で手をつないだまま、まず最初に里長の鉄珍様の御屋敷へと足を運ぶ。

 

 

「ほ~う。しのぶちゃん婚約したんやな。で、こっちの男の子が旦那さんになる予定の子?」

 

「はい。この度ご報告いたします。ほら、炭治郎。御挨拶なさい」

 

「はい! 竈門炭治郎です! よろしくお願いします!」

 

「まあ、畳におでこつく位に頭下げたって。本当にええ子やな。ほな可愛いしのぶちゃんの旦那さんにピッタリやわ。ワシこの里の長、鉄地河原鉄珍って言うんや。よろぴく」

 

 

良し。炭治郎の第一印象は相当に良さそうだ。鉄珍様はこう見えて無類の女好きだから「お前のような甲斐性なしにしのぶちゃんはやれんから一昨日来たってや」とか言っても可笑しくない。私は内心冷や冷やしていた。

 

でもこれで大手を振って刀鍛冶の里で炭治郎と気兼ねなく自由に過ごせる。これで一つ懸案事項は払拭できた。

 

 

「鉄珍様。私の破損した日輪刀の修繕はどのような進捗でしょうか? 少々早くお伺いしてしまったとは思うのですが・・・」

 

「ええで。しのぶちゃんの為やからな。超特急で直したったわ、・・・と言いたいところやけども堪忍な。丁度今蜜璃ちゃんの刀の調整もやっとるところやからもう少しばかり掛かりそうなんや。それまで温泉でも浸かってゆっくりしとってや?」

 

「お忙しいところ恐縮です。今回は炭治郎の退院後の湯治も兼ねていますので数日はゆっくり滞在する予定です。なので急かすつもりは一切無いことをこの場で申し開きしておきます」

 

「まあ、そうなんやな。温泉しかないところやけどくつろぐには良いところや。折角夫婦(めおと)になる前の男女なんやから温泉で一緒に浸かった後、旅館でしっぽり過ごしてもええんやからな。なあに、人払いも済ませておくし遠慮せんでええよ?」

 

「ちょっ!? 鉄珍様!?」

 

「ん? どうしたしのぶ。そんな慌てて。それにしっぽりって何だ?」

 

「ほほ、炭治郎君や。君はまだ幼なそうやから、しっかりしのぶちゃんに教わるんやな。こんな美人で可愛い子に手ほどきを受けるなんて本当に羨ましい限りやわ」

 

「鉄珍様!! お戯れはそこまでになさって下さい!! そろそろ炭治郎の刀の修繕の話に移りたく!!」

 

「ほう、そうやったな。ただ今蛍は行方不明になっててな。探し出すのに掛かりそうなんや。もういっそ柱の就任祝いでワシが鍛えてやってもええで?」

 

「蛍?」

 

「鋼鐵塚蛍や。君の刀鍛冶の名前。実はワシが名づけ親なんや」

 

「そうだったんですね! 可愛らしいお前です! でも鉄珍様は色々とお忙しいのでは?」

 

「まあそうやけど、柱に成る程の子の刀やからな。すぐ刃毀れするような鈍(なまくら)を作る蛍をいつまでも専属でつける訳にもいかんしな」

 

「いえいえそんな! 俺がまだ未熟なだけで鋼鐵塚さんが決して悪い訳では・・・」

 

「いいや。すぐ刃毀れする鈍(なまくら)しか作れんあの子が悪いのや」

 

 

その瞬間、空気がひり付いた。思わず炭治郎も言い返せなくなる。どんなに道化を演じていてもやはり里長。刀に人一倍妥協を許さぬ性格なのだろう。

 

 

「まあええ。柱就任までの繋ぎの刀やし別に誰が打って同じやな。もし蛍が見つからんかったらワシがさくっと用意したるわ。それまではしのぶちゃんと二人仲良くしっぽりと過ごしてや」

 

「鉄珍様っ!? その話まだ終わってなかったんですか!? いい加減炭治郎の前でそういう話するのやめて下さいっ!!」

 

「あらら、悪ふざけが過ぎてもうたわ。しのぶちゃん堪忍な。まあゆっくりと過ごしてや」

 

 

結果、鉄珍様への挨拶は事なきを得た。果たして事なきを得たのだろうか・・・

 

そうして私たちは屋敷を出て里案内の者の誘導に従い、温泉のある場所までついて行った。

 

 

「この坂の上が温泉です。もしお望みなら御混浴なさっても結構ですよ?」

 

「ちょっ!? 貴方まで一体何を!? ・・・まあ他に人が居ないのなら遠慮しませんが・・・」

 

「ん?」

 

 

私の最後の呟きが聞き取れなかったのか、炭治郎が怪訝な様子で私を見ている。私は気恥ずかしいのでそれを敢えて無視した。

 

 

「あーーー! しのぶちゃんだ! 炭治郎君も居る!! ねえねえ聞いてよーーー!!」

 

「っ!!?? 甘露寺さんっ!!??」

 

 

坂を上っている最中で、突如甘露寺さんが上の方から駆け降りてくる。私は胸元で凄まじく揺れる偉大な双丘を見て思わずドン引きしてしまう。

 

 

「あっ! 気を付けてください! 乳房が零れ落ちそうです!!」

 

 

すると炭治郎がそんな甘露寺さんに突貫しようとするので私は全力でそれを阻止した。

 

 

「えっ! しのぶっ!?」

 

「炭治郎の馬鹿っ!! いくら甘露寺さんが私より立派なものを持ってるからって!! もう信じらんないっ!!」

 

「? 俺はただ甘露寺さんの乳房が零れない様支えてあげないとと思っただけなんだけどそれの何が問題なんだ?」

 

「馬鹿っ!! 馬鹿ん治郎っ!!」

 

「あだっ!?」

 

 

私は炭治郎のおでこに全力で手刀を振り落とし、暫くの間彼を悶絶させる。

 

そしてその隙に甘露寺さんへと駆け寄り、私は甘露寺さんの襟を掴んで胸元を必死に塞ぎこんだ。

 

 

「聞いてよ聞いてよ~! しのぶちゃ~ん!!」

 

「甘露寺さんっ!! 何てはしたない姿をっ!! お願いだから私の炭治郎を惑わさないで下さいっ!!」

 

「何のことだかわかんないけど聞いてよ~! 私そこで無視されたの~!」

 

「いいからお胸しまって!! いくら甘露寺さんでも炭治郎のこと誘惑するなら私怒りますよ!?」

 

「何のことだかわかんないけど私挨拶したのに無視されたの~! 名前聞いたのに無視されたの~! 酷いと思わない? 私柱なのに~! お風呂上がりのいい気分がもう全部台無し!!」

 

「はあ・・・夕餉は松茸ご飯らしいですよ? 元気出してください甘露寺さん」

 

「えーーーーっ! ほんとォ!?」

 

 

そうして甘露寺さんは機嫌を直してそのまま下って行った。煉獄さんが以前言ってたけどまるで春の嵐のような御人だ。私一人の前でなら良いけど炭治郎の前であれは止めて欲しかった。

 

 

「いてて。何に怒ってたのかわかんないけど、しのぶごめんって」

 

「・・・折角炭治郎にお風呂で見せつけるつもりだったのに・・・」

 

「え?」

 

「なんでもないわ。ほら行くわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が一人呟くも炭治郎は怪訝な様子。誰だって甘露寺さんのと比べたら物足りなくなっちゃうわよ。私は根限り不貞腐れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




???「生まれた時は誰もが小さな赤子だ。お乳が無ければ生きられない。お前もそうだよ猗窩座。記憶にはないのかもしれないけど赤ん坊の時のお前は、誰かにお乳を貰って育って今生きているんだ」

人類総じて哺乳類なんだから大きい方が良いに決まってるだろ(過激派思想)。
尚大正時代は大きいと着物が似合わずだらしないと言われるので公の場だと忌避されていたそうです。まさか蜜璃ちゃんの縁談がうまくいかなかったのってこれが理由なのか(絶対違う)。

冗談はさておき告知です。本章から週二回投稿に移行します。話のストックが底を付き、いよいよ毎日投稿できなくなりました。無念。今後は水曜19時と土曜9時に更新します。それでも引き続き読みに来てくれると嬉しいです。皆様の感想、高評価、お気に入り登録が励みになっております。筆者のモチベ向上のため応援して下さると嬉しいです。それでは次回の更新でまたお会いしましょう。バイバイ。

カナヲの恋人候補は?

  • 冨岡義勇
  • 時透無一郎
  • 煉獄杏寿郎
  • 竈門炭治郎※しのぶ付き
  • 輝利哉君※産屋敷家へ嫁入り確定
  • 鬼が存在しないこの美しき世界※独り身
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