さんけつのオリリィ物語〈トレインズ編/Buds of Dystopia〉   作:3次元に見放された決闘者(略:さんけつ)

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第4話 3人いれば(3) ~重なりだした欠片たち~

【グリ子side】

 出現したHUGE(ヒュージ)殲滅(せんめつ)した後、私たちとシン様は再び駅前に集まって一休みすることになった。

「お疲れ様でした~!」

 結構激しく動き回ってたと思うけど、志乃(しの)は疲労を感じさせずに昼食(時間的にはおやつだけど)をパシってきてくれた。

 また肉まんか……って言うか、鎖は切れたけど(じょう)の部分はくっ付いたままよね。また変な目で見られなかったかしら。

「初めてにしては良い連携だったぞ」

「そ、そうですかね」

 麻莉歌(まりか)、シン様に褒められて分かりやすく照れているわね。

「今回はシン様が居てくれたおかげで、急場しのぎのフォーメーションでもなんとかなったわ」

 これはお世辞じゃない。戦闘中、シン様はHUGE(ヒュージ)のタゲを取るように動き、志乃の負担を軽減するのと同時に、私と麻莉歌の所にHUGE(ヒュージ)が来ないようにしてくれていた。

 ……私要らなかったんじゃないかしら。

「そんなに謙遜(けんそん)することはないさ。ただ、改善できるところもある」

「私も心当たりがあるから、ちゃんと対策も考えてるわ」

 研究所に戻ったら、また必要なものを請求しないと……まぁ、手錠が経費で落ちたんだから、直接戦闘に関係するものなら大丈夫よね、多分。

「今思えば、手錠で繋がれて結果オーライだったかもしれないわね。下手したら、恐怖で動けなくなった麻莉歌が狙い撃ちされてたかも」

「私のおかげ? イェ~イ」

「そうは言ってないわよ……だいたいアンタは……」

 

【麻莉歌side】

「麻莉歌はどうだ? やっていけそうか?」

 志乃ちゃんとグリ子ちゃんがギャーギャー騒いでいると、シン様が私に声をかけてきた。

「ええ、なんとか……2人が一緒なら大丈夫だと思えてきました」

「そうか」

 シン様、なんだか嬉しそう。

「今日はありがとうございました。ごめんなさい、折角のお洋服だったのに汚れてしまって」

「気にするな。言っただろ、テキトーに着てきたヤツだって」

 凄い余裕……私もこれくらい余裕があれば、ちゃんと戦えるのかな?

「戦闘用の服じゃないのに、よくあんな動きができるわよね」

「流石、シン様だよね」

 グリ子ちゃんと志乃ちゃんが言い合いを止めて、シン様を称賛(しょうさん)してきた。

 2人とも、もう肉まんを食べ終わって、口直しの菓子パンを食べている。

「私たちなんて、3人でやっと一人前って感じなのにね」

 ジャムパンを片手に、グリ子ちゃんがため息をつく。

「そうかな? 私はともかく、志乃ちゃんとグリ子ちゃんは今までもHUGE(ヒュージ)と戦ってきたんじゃないの?」

「実は志乃も私も、勝てる相手としか戦ってないの。現に、先日の他組織のリリィや機械狼には苦戦したわ」

 グリ子ちゃんは、志乃ちゃんの方を見て言葉を続ける。

「私は疑似CHARM(チャーム)の精度がまだまだだし、志乃は攻撃手段が近接戦しかない……これはリリィとしては致命的だと思うわ。」

 そう話すグリ子ちゃんの顔には(うれ)いが見えた。

 そうだったんだ……志乃ちゃんは、戦いは任せて(・・・・・・)って言ってたけど、今まで以上に凄い敵が出てきたらどうしようもないのかな。

「3人で、一人前か……」

「それは違うよ……今日の出撃で確信した! 私たち、3人いれば百人力なんだよ!」

 私がグリ子ちゃんの言った言葉をポツリと復唱すると、志乃ちゃんが、私たちの不安を吹き飛ばすように食べていたクリームパンを掲げた。

 ……そうだよね、私たちなら大丈夫だよね。

「三色パンみたいなものか?」

「その通りです、シン様」

 ……それはちょっと違うと思う。

 

【グリ子side】

 シン様との共闘の数日後、私が注文していた品が部屋に届いた。

「え~っと、ちゃんと3個ある……結構イケてるわね」

 私が注文したのはトランシーバー……小型のイヤホンが本体と無線で接続されているタイプで、これなら戦闘中でも両手が自由になる。しかも、同時通話型なのでスムーズに会話ができる。

 届いた小型トランシーバーを確認していると、志乃が私の手元を覗いてきた。

「なになに? また宅配便?」

「トランシーバーよ……前に言ったでしょ」

 志乃が超近距離、麻莉歌が超遠距離で戦って、しかも同じターゲットを狙うことも多くなるとすれば、ノータイムでのコミュニケーションが必要になるものね。

「色違いになってる……私、赤ね」

「また勝手に……麻莉歌は何色が良い?」

「じゃあ……緑色」

 志乃が一部に赤の塗装があるトランシーバーを手にとるので、麻莉歌が緑、私が青に決まる。

 ……なんか丁度イメージピッタリな色に分かれた感じがするわね。使うときは耳の後ろに隠れるから周りからはほとんど見えないけど。

 

 ふと麻莉歌の方を見ると、一部が新品になったアステリオンが目に入る。

「あら、アステリオンのアップグレード終わったのね」

「うん。丁度さっき戻ってきたよ」

 先の出撃の後にみんなで話し合って、麻莉歌にはスナイパーのような役割をしてもらうから、CHARM(チャーム)を狙撃重視に改造しようということになった。

 とは言っても、可変式スコープを取り付けて、内部のエネルギー比率を射撃寄りにしただけ……なんだけど。

「スコープの動かし方が……ここで…こうで……こうっ!」

 CHARM(チャーム)の名前も知らなかった麻莉歌が、自分のCHARM(チャーム)に愛着を持つきっかけになってくれれば(さいわ)いね。

「グリ子! グリ子!」

「何?」

 私が珍しく感慨にふけっていると、志乃がトランシーバーの本体部分を持って騒ぎ始めた。

「周波数をいじってたら変な所に繋がって、「何色のパンツ履いてるの?」って聞かれちゃったよ!?」

「何やってるのよ、おバカ!」

「……白です。可愛いフリルが付いてて…」

「答えんでよろしい!!」

 今度、アルケミートレースでお仕置き用の道具でも作ろうかしら……ギロチン? アイアンメイデン?

「……グリ子ちゃん、目が怖いよ」

 なんか、麻莉歌が酷く脅えてるわね。HUGE(ヒュージ)への恐怖が断続的に表れてるのかしら?

 

第5話に続く

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