さんけつのオリリィ物語〈トレインズ編/Buds of Dystopia〉   作:3次元に見放された決闘者(略:さんけつ)

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第5話 明日嘉来訪(3) ~未来の戦華(せんか)?~

【グリ子side】

 明日嘉(あすか)が遊びに来てから次の休日(私たちにとっては出勤日でもあるけど)、私たちはHUGE(ヒュージ)が出現した現場から少し離れた待機所に来ている。

「今日も一日、しまっていこ~!」

 志乃(しの)が出撃の前に号令をかける。

 ……しまっていこうは違わないかしら。野球じゃないんだから。

 いや、号令はいい。問題は……

「「お~」」

 2つの声がレスポンスを返す。片方が麻莉歌(まりか)だが、もう1つは私じゃない。

「ちょっと……良いかしら?」

 私は志乃をじろりと睨んだ。

「なに?」

「どうして明日嘉がここに居るの?」

 明日嘉はまだ小学生なのよ、こんなところに連れてきたりして、もう。

「私が迎えに行ったの、縮地なら電車とかより

「麻莉歌、説明して」

「えっと……私にも分からないの。志乃ちゃんが朝一で施設を出て迎えに行ったみたいなんだけど」

 志乃のボケにツッコむのが面倒くさくて、言葉の途中で麻莉歌に聞いてみた。

 あの時か……そう言えば、サプライズがどうとか言って出て行ってたわね。

「まったく……三十路(みそじ)、ちょっと来なさい」

「汚い言葉を使うんじゃない。明日嘉が真似(まね)したらどうするんだ」

「お姉ちゃん、みそじってなに?」

 私が刹那さんを呼ぶと、お説教まじりに私のもとに来る。

「三十路は汚い言葉ってわけじゃ……じゃなくて、なんで明日嘉がここに居るのよ」

「明日嘉のいる孤児院から、明日嘉の元気がないからどうにかできないかって連絡があってな。だったらもっと頻回に会いに来ても良いと答えたんだ」

 ……そっか、明日嘉も寂しかったのね。少し前に麻莉歌が孤児院を出て、志乃の部屋に住むようになったから。

「それは良いわ。けど、出撃にまで連れてきてどうするの!」

「ここは戦闘区域からかなり離れているから大丈夫だ。なにせ、避難所のほとんど隣だからな」

 刹那さんの視線の先には、簡易的に設けられた避難所がある。

「それに、志乃だって小学生くらいのころは、俺の手伝いとか戦闘訓練をしてたんだぞ」

 倫理観が崩壊してないかしら。

「まぁまぁ……ここならすぐに逃げられるから大丈夫だよ」

「私も、頑張るから」

 志乃が私をなだめるようにフォローを入れる。麻莉歌も明日嘉がここに居ることに賛成している。

 ……私だけが悪者みたいじゃない。

「グリちゃん。私、皆が頑張ってるのに私だけ何もしないなんて嫌だよ。でも、グリちゃんがダメって言うなら(うち)に戻るよ」

 明日嘉が上目づかいで私の腕をつかんでくる。いや、身長差があるから、常に上目づかいなんだけど。

「はぁ、わかったわよ……その代わり」

 私がズイっと迫ると、刹那さんは少しだけたじろいだ。

「何かあったらアンタが命を捨ててでも明日嘉を守るのよ」

「分かってる」

「あと、明日嘉を危険な場所や物に近づかせない」

「分かってるよ」

「あと、明日嘉が興味本位で危ないことをしようとしたら、ちゃんと叱る」

「分かってるって」

「あと、明日嘉が

「もういいよ! 分かったから。大人として常に正しい行動をとるから」

 本当に分かってるのかしら、この三十路は。まぁ、こんなのでも志乃の保護者を10数年やってきたんだから信じてあげましょう。

「グリ子ちゃん優しいね」

「良いお母さんになれるよね、グリ子ママ」

「グリちゃんママ」

「そこ! うるさい!!」

 刹那さんに注意事項を叩きつけていると、麻莉歌と志乃が私を見て笑みを浮かべている。明日嘉に至っては、満面の笑みを向けてくる。

「いい! ちゃんとあの三十路の言うことをちゃんと聞くのよ。(ほん)(とう)に危ない場所なんだから!」

「うん、分かった」

 明日嘉にも念押しして注意喚起をすると、小学生低学年ながら真面目な声で返事が来た。

 ……まぁ、一応仲間が増えたってことかしら。……HUGE(ヒュージ)との戦いが続くなら、いつかこの()も戦うことになるかもしれないわね。

 

【志乃side】

 グリ子、明日嘉のことをすごく気にしてたよね。無理もないか、まだ小学2年生だもん。……でも、明日嘉と麻莉歌を見てると、昔の自分を見てるみたいなんだよね。

 

 私が明日嘉くらいのころ、初めてせとか様の存在を知った。どんな人なんだろう? 私が会いに行ったらどんな反応をするだろう? って毎日考えてたっけ。

 

 けどそれと同時に、せとか様をGEHENA(ゲヘナ)に近づけちゃいけない。って思った。正義と悪の判断も曖昧だったけど、その思いだけは常に心の中にあった。大切な人に危ないことをさせたくないんだよね、子供でも。

 

第6話に続く

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