さんけつのオリリィ物語〈トレインズ編/Buds of Dystopia〉 作:3次元に見放された決闘者(略:さんけつ)
【グリ子side】
「今日も一日、しまっていこ~!」
……しまっていこうは違わないかしら。野球じゃないんだから。
いや、号令はいい。問題は……
「「お~」」
2つの声がレスポンスを返す。片方が
「ちょっと……良いかしら?」
私は志乃をじろりと睨んだ。
「なに?」
「どうして明日嘉がここに居るの?」
明日嘉はまだ小学生なのよ、こんなところに連れてきたりして、もう。
「私が迎えに行ったの、縮地なら電車とかより
「麻莉歌、説明して」
「えっと……私にも分からないの。志乃ちゃんが朝一で施設を出て迎えに行ったみたいなんだけど」
志乃のボケにツッコむのが面倒くさくて、言葉の途中で麻莉歌に聞いてみた。
あの時か……そう言えば、サプライズがどうとか言って出て行ってたわね。
「まったく……
「汚い言葉を使うんじゃない。明日嘉が
「お姉ちゃん、みそじってなに?」
私が刹那さんを呼ぶと、お説教まじりに私のもとに来る。
「三十路は汚い言葉ってわけじゃ……じゃなくて、なんで明日嘉がここに居るのよ」
「明日嘉のいる孤児院から、明日嘉の元気がないからどうにかできないかって連絡があってな。だったらもっと頻回に会いに来ても良いと答えたんだ」
……そっか、明日嘉も寂しかったのね。少し前に麻莉歌が孤児院を出て、志乃の部屋に住むようになったから。
「それは良いわ。けど、出撃にまで連れてきてどうするの!」
「ここは戦闘区域からかなり離れているから大丈夫だ。なにせ、避難所のほとんど隣だからな」
刹那さんの視線の先には、簡易的に設けられた避難所がある。
「それに、志乃だって小学生くらいのころは、俺の手伝いとか戦闘訓練をしてたんだぞ」
倫理観が崩壊してないかしら。
「まぁまぁ……ここならすぐに逃げられるから大丈夫だよ」
「私も、頑張るから」
志乃が私をなだめるようにフォローを入れる。麻莉歌も明日嘉がここに居ることに賛成している。
……私だけが悪者みたいじゃない。
「グリちゃん。私、皆が頑張ってるのに私だけ何もしないなんて嫌だよ。でも、グリちゃんがダメって言うなら
明日嘉が上目づかいで私の腕をつかんでくる。いや、身長差があるから、常に上目づかいなんだけど。
「はぁ、わかったわよ……その代わり」
私がズイっと迫ると、刹那さんは少しだけたじろいだ。
「何かあったらアンタが命を捨ててでも明日嘉を守るのよ」
「分かってる」
「あと、明日嘉を危険な場所や物に近づかせない」
「分かってるよ」
「あと、明日嘉が興味本位で危ないことをしようとしたら、ちゃんと叱る」
「分かってるって」
「あと、明日嘉が
「もういいよ! 分かったから。大人として常に正しい行動をとるから」
本当に分かってるのかしら、この三十路は。まぁ、こんなのでも志乃の保護者を10数年やってきたんだから信じてあげましょう。
「グリ子ちゃん優しいね」
「良いお母さんになれるよね、グリ子ママ」
「グリちゃんママ」
「そこ! うるさい!!」
刹那さんに注意事項を叩きつけていると、麻莉歌と志乃が私を見て笑みを浮かべている。明日嘉に至っては、満面の笑みを向けてくる。
「いい! ちゃんとあの三十路の言うことをちゃんと聞くのよ。
「うん、分かった」
明日嘉にも念押しして注意喚起をすると、小学生低学年ながら真面目な声で返事が来た。
……まぁ、一応仲間が増えたってことかしら。……
【志乃side】
グリ子、明日嘉のことをすごく気にしてたよね。無理もないか、まだ小学2年生だもん。……でも、明日嘉と麻莉歌を見てると、昔の自分を見てるみたいなんだよね。
私が明日嘉くらいのころ、初めてせとか様の存在を知った。どんな人なんだろう? 私が会いに行ったらどんな反応をするだろう? って毎日考えてたっけ。
けどそれと同時に、せとか様を
第6話に続く