さんけつのオリリィ物語〈トレインズ編/Buds of Dystopia〉   作:3次元に見放された決闘者(略:さんけつ)

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第2話(2) 志乃キック!!

【鶴紗side】

 こいつら、次から次へと切りがない。

 自分から前衛を受け持ったが、HUGE(ヒュージ)の数が多すぎる。他のリリィも、私と同じで初対面の者が多いらしく、文字通り烏合(うごう)の衆。戦っているうちに散り散りになってしまった。

 みんな、うまく逃げてくれれば良いが。

 1人でHUGE(ヒュージ)を相手にしていると、HUGE(ヒュージ)の光弾が雨のように私に降りかかる。

「ぐっ!」

 上手くHUGE(ヒュージ)の攻撃をいなしているつもりだったが、疲労がたたったのか動きが鈍っていたようだ。CHARM(チャーム)を盾にして直撃は避けたが……不味いな、このダメージでは次の攻撃が交わせない。

 無情にもHUGE(ヒュージ)の腕から発射される光弾の第2波。迫りくる痛みと恐怖に耐えるために眼をつむる。

 大丈夫、私のブーステットスキルはリジェネレーター。苦痛は避けられないが、即死だけは免れる。

「?」

 あれ? 轟音は聞こえるが、体に痛みが走らない。まさか、脳をやられて痛みもなく逝ってしまったんじゃないだろうな。

「間に合ったわね」

 恐る恐る目を開けると、さっき合った三つ編みおさげの少女が、私をかばうように立ち塞がっていた。不敵にHUGE(ヒュージ)を見つめる少女の手には、赤黒く光る盾が握られている。

「貴女、逃げたんじゃ」

「逃げるわよ。今から」

 少女に肩を貸してもらい、私は戦線離脱した。

 

【志乃side】

 コンビニを出た後、私はレアスキル:縮地をつかって現場になっている山中を駆け回っていた。

 グリ子の向かった座標はあらかじめ聞いていたけど、土地勘のない山の中では何処が何処だか全然分からない。

 せめて何か目印があれば、そこに向かって行くだけなんだけど。早くしないと、せっかく買ったおやつが冷めちゃうよ。

 

【鶴紗side】

 HUGE(ヒュージ)の群れから逃げた後、私と三つ編みおさげの少女は木の陰に隠れて体を休めていた。

「貴女、さっきのはアルケミートレースみたいだったけど、マディックじゃなかったのか?」

 血を媒介に疑似CHARM(チャーム)を作るブーステットスキル/アルケミートレース。私も使えるから、すぐにピンときた。

「ええそうよ、私は一応リリィ。けど、戦闘に関してはマディック並なのも本当よ。私が作れるのは、さっきの盾だけだもの」

「他のCHARM(チャーム)は?」

「持ってないわ。私のメインウエポンはアルケミートレースなのよ」

 お互い周囲を警戒しながらなので、直視はしていないが、少女が若干不貞腐れているのは分かった。

「とにかく、分の悪い状況なのには変わりない。もう少し休んだら――」

「来るわよ!」

 少女の視線の先には、さっきまで交戦していたHUGE(ヒュージ)の群れが迫ってきていた。

 しつこいHUGE(ヒュージ)だ。体力は回復してきたが、もうちょっと戦力が欲しいな。

「ん?」

 少女が何かに気づいたように俯く。

 打開策でも思いついたのか?

「来たわね」

「ああ、もう目の前まで来てるな」

「そうじゃなくて……耳を澄ませてみなさい」

「耳を?」

 HUGE(ヒュージ)から目を離さないようにしながら、言われたとおりに周りの音に集中する。

「ぁ………ぁ……」

 何か聞こえる。これは? 叫び声?

「ア~~アア~~、ア~アアァ~~~!」

 声のした方を見ると、リリィと思しき人影が高所からHUGE(ヒュージ)に飛び掛かった。

「『志乃キーーック!!』」

 人影の主は、飛び掛かった勢いのまま、急降下して飛び蹴りを放った。

「お待たせしました。頼れる女の登場です!」

 HUGE(ヒュージ)を蹴り飛ばした後、ポーズを決めて出現をアピールしてくる謎のリリィ。白いサイドテールに赤いセーラー服。さっき猫缶を上げたリリィだ。

「登場は良いけど、なんなのよ、あの叫び声は?」

「グリ子が、近くに来たら分かるようにしなさいって言ったんじゃん」

「ターザンで来いとは言ってないわ」

 いつの間にか、さっきまでいた少女と言い争っている。2人は知り合いだったんだな。

 

(3)へ続く

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