さんけつのオリリィ物語〈トレインズ編/Buds of Dystopia〉   作:3次元に見放された決闘者(略:さんけつ)

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―これは……GEHENAサイドにありながらも、自分の中の正義を信じて戦うリリィたちの物語―

アサルトリリィを原作とする二次創作です。
私個人の解釈もありますがご了承ください。

登場人物のイメージはこちら(pixiv)
https://www.pixiv.net/artworks/128075214


第3話 結成トレインズ(1)~彷徨う少女~

【志乃side】

「ねぇ、さすがに無視できない事態に直面してるんだけど」

 グリ子とペアを組んで暫くたった日。今はGEHENA(ゲヘナ)研究所に隣接する社宅で、日課となりつつあるアニメ観賞会をしている。グリ子は私と会う前はテレビをあまり見ていなかったらしく、私が見たいと言った番組を見せてくれる。

「そうだよね、このアニメは第8話くらいから面白さにブーストがかかってきたよね」

「そうじゃないわよ。この部屋の有り様よ」

 グリ子が指差した先には、脱ぎ散らかされた衣類、雑に積み上げられたマンガ雑誌、どこに何があるかわからない日用品があった。ちなみに、2人とも料理・化粧スキルは低いので、台所・洗面台は比較的整頓されている。

「グリ子が来てから2倍散らかるようになったからね」

「盛るんじゃないわよ。私が来たときからこんなだったでしょうが」

Prrrrr

「もしもし、美濃川です」

 部屋の散らかりようについて文句を言い合っていると、PHSに着信があった。

 

「突然ですまないが、緊急の事態が起こった」

 私とグリ子は、刹那さんに研究所のミーティングルームに呼び出された。

「また、事務所でタバコ吸ってたのがバレたの?」

「まったく、子供じゃないんだから、そのへんの分別は(わきま)えなさいよ」

「仕方ないだろ、他に吸うところないんだか……って違う!」

 私たちがボケると、刹那さんがツッコミを入れる。私たちの中では、お馴染みになったやり取り。真面目にこられると、なんだかボケたくなるんだよね、重い雰囲気とか苦手だし。

「実は、他のGEHENA(ゲヘナ)研究所から被験者リリィが1人逃げ出したんだ」

「まぁ、逃げたくもなるわよね。ここは割りと良心的だけど、そうじゃないGEHENA(ゲヘナ)も多いって聞いたわよ」

 グリ子は、面倒くさそうに刹那さんに返す。

「問題なのは、そのリリィが行方不明ってことなんだ」

「家族とか友達の所じゃないの?」

 グリ子の言う通り、普通は身内を頼るよね。身内が居ればだけど。

「孤児院育ちらしいが、そこには帰ってないらしい。実験を行っていた研究所は、彼女の保有権を放棄しているから、その研究所に連れ戻される心配は無いんだが。他の研究所に目をつけられる前に、うちで保護できないかと思っている」

「ちょっと待ちなさいよ。なんで他の研究所がその娘を狙うのよ」

「さっき言っただろ、“保有権を放棄した”って。被験者不足の研究所はざらにある。今、彼女を捕獲できれば、労せず被験者が増やせるってことなのさ」

「……ムカつくわね。その、人を物みたいに扱う連中は」

 本人も知ってか知らずか、グリ子の眉間にいつにも増してシワがよっている。

 私も、辛い思いをする人がいるなら、一人でも多く助けたい。

「とにかく急ごうよ。刹那さん、だいたいの場所とか教えて」

 ミーティングルームのドアを開ける手にも力が入る。

「……百合ヶ丘女学院だ。長期戦になると思うから、昼飯を買っていくんだぞ」

 

【麻莉歌side】

 もう走れない……足が棒みたいっていうのは、こういうことなんだな。

 けど逃げなきゃ……逃げないとHUGE(ヒュージ)と戦わされる。

「くはっ」

 ここはどこだろう。どこかの……廃墟? ……闇雲に逃げていたから自分がどこにいるのかも分からない。

 目がかすむ……身を隠そう。

 

 適当な建物の陰に腰を落とす。適度に日が入っていて心地良い。

 光合成ができれば空腹もまぎれるのに。

 ……施設にいた私と同い年くらいの娘たち。今日も一緒に施設を出たっけ。私はどさくさに紛れて逃げてきたけど、他のみんなは大丈夫かな。

 

……孤児院にいたときは幸せだったのに……

「……シスター……先生……明日嘉ちゃん」

 私を拾って育ててくれたシスター、楽しいイベントを開いてくれる院長先生、私と家族でいてくれるみんな。

 ……会いたいよ。

 いつだったか検査をした時、なんとかっていう数値が高いからって、詳しい検査のためにGEHENA(ゲヘナ)の研究所にしばらく居ることになって……いつの間にか研究に協力することが多くなって。

 そのうち、護身用だからって武器を持ってHUGE(ヒュージ)と戦う訓練をするようにもなった。

 

「うっ……」

 眠い……最近あんまり寝れなかったし、安心して体が一気に疲れを感じ始める。考え事をするのもつらくなってきた。

 どうか……次に目が覚めたとき、目の前が常世(とこよ)ではありませんように。

 

(2)へ続く

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