さんけつのオリリィ物語〈トレインズ編/Buds of Dystopia〉 作:3次元に見放された決闘者(略:さんけつ)
【志乃side】
コートの男性との話の最中、何者か(
レアスキル‐縮地で一気に距離を取って身を隠そうとしたが、こちらの位置を把握しているかのように距離を詰めてくる。
今はお互いにヒット&アウェイで様子を見ているが、長期戦になれば
「ぐるる……があぁっ!!」
おまけに、わざとか天然か知らないが、相手のリリィはときおり獣のような
早くグリ子の援護にも行きたいのに。
「どうだね? 我々が養成技術の
コートの男性は愉快そうに笑う。その声を聞いて、相手のリリィは男性のそばに戻っていき、こちらから目を離さずに
赤い短髪に
「養成技術?」
私も臨戦態勢を崩さずに返答する。
「言っただろう、リリィの能力研究をしていると。この
「……私もだよ。小さいころから施設で訓練を続けてる」
「そうか、境遇が似ているな……だが、その割には……」
「ぐがあぁ!!」
男性が指パッチンをすると、赤髪リリィがそれを合図に
私は突進を紙一重でかわすが、彼女は
「ぐへぇ!」
なんとか弾は受け止めたが、衝撃で大きく後方へ吹き飛ぶ。
「ここまで実力差があるのは、どういうことだろうかね?」
男性の
【グリ子side】
「このくそぉお」
攻撃が当たらない。
私の身体能力は、他のリリィと比べて
こんなことなら、志乃の訓練に付き合って素振りでもすれば良かったわね。
「グルゥラァァウ!!」
機械狼は、軽いフットワークで私をかく乱しながら爪や牙を突き立ててくる。気を抜けばサンドバッグになりそうになるが、志乃の縮地と比べれば対応できないほど速いわけではない。
……今だ!
ダメもとで、機械狼の動きに合わせて突きのカウンターを試みる。
「ガウバッア!!」
……嘘、決まった? ……いや、決まってないわ! 刃が当たったけど、塗装がちょっと剝げたくらいね。
「くっ! ……? ……風?」
反撃の方法を模索していると、強めの海風が吹いてきた。
そう言えばここは海が近かったわね。
「……ん?」
一瞬間を置いた後、機械狼は私を探して再び鼻をヒクヒクさせた。
さっきも、匂いを嗅ぐような
「……行けるかもしれない」
私はコートを脱ぐと、血液を媒介にした疑似
成功すれば
「ヴァウガァウ!!」
でも、やるしかない!!
コートを機械狼の前に放り出し、一歩後ろに下がる。
機械狼は私の方を向くと、疲労を感じさせない動きで接近してくる。
……が、私に到達する手前で急停止すると宙を舞い、近くの
そして私は確信する。やはり、この機械狼はほとんど匂いだけで私の位置を認識していたのだ。
私よりもコートを優先して攻撃したのは、ポケットの中に入れていたフライドチキンの匂いを追っていたから。私を一度見失ったのは、強い海風で周囲の匂いが混ざったから。
「コートや採血器の経費が落ちなかったら、あの男に請求するわよ」
今度は機械狼の横腹を狙い、接近する勢いもプラスして
「……効いて……ない」
全力を込めたつもりだったけど、私の
まずい、もう次の手を考える隙も体力もない。渾身の一撃を仕掛けて体勢が崩れた。次の攻撃はかわせない。
駄目よ! ……志乃の方も優位に立っているかわからない、ここで戦闘不能になるわけにはいかないのに。
「はあぁぁあ!」
思考回路に絶望が巡り始めたとき、金髪の揺らめくポニーテールのリリィが
「……鶴紗様」
「これで借りは返したぞ。閑林」
(4)へ続く