自由時間と言う名の暇潰しで鎮守府内を探索する紀伊。今日1日の訓練が終わり、皆鎮守府内で暇を潰しているのか、あちこちで談笑をしたり、自主練をしたり、食堂で3時のおやつを食べていたりと様々である。
特にやる事の無い紀伊はただ歩き回る。
「暇だな」
趣味や自由な事を楽しんでいる艦娘達の邪魔をしないよう気配を消しながら歩いていると、ふと駐車場へと出た。
「駐車場か?」
軍事施設の中にしては広い面積を持つ駐車場には多数の車が停まっているが、殆どが民間のナンバーをつけた普通の車ばかりで、軍用と分かる車は見当たらない。
「これ全部、此処の連中のか?」
以外に思われるかもしれないが、この鎮守府では運転免許を取得している艦娘が多く、各々で自家用車を持っており、中には車が趣味の艦娘が何人か存在する。
その内の1人であると思われる艦娘が1人、自身の愛車の手入れをしていた
「アイツは確か………最上だったか?」
最上型巡洋艦の『最上』。彼女は所謂ボーイッシュと呼ばれる類いの艦娘で、鎮守府でも数少ない性格の彼女の趣味は以外にも車である。それを知った紀伊は少し興味が湧いたのか、最上に話し掛ける。
「何してるんだ?」
「君は確か紀伊だったね?こうして話をするのは始めてだね?」
「あぁ」
「改めて、最上型巡洋艦1番艦の最上だよ。よろしくね」
「こちらこそ。もしかして車の手入れか?」
「そう。僕の趣味なんだ」
「何て車なんだコレは?」
その質問に最上の表情に弾んだような笑みが浮かんだ。
「コレはね180SXって言う車で、FRなんだけど乗ってて楽しい車だから僕のお気に入りなんだ」
(そう言えば前に見た本の中に車の雑誌があったな)
紀伊は以前、艦内で観光客が落としていった雑誌の中に車の雑誌があったのを思い出した。偶々それを拾って読むと車の事が細かく載っていて、紀伊自信も船である以上、地上の乗り物である車に興味を引かれていた。
「そう言えば紀伊って欲しい車とか目を付けてる車とかある?」
「今の処無いが車には非常に興味がある。出来れば自分も車を持って乗ってみたい」
「車の事なら基本的な事は教えられるから、教えようか?」
「頼む」
それから紀伊は最上から車について基本的な事を教えてもらった。どれも紀伊が耳にした事が無いものばかりで、紀伊自身もいつの間にか車にハマっていた。
「まぁこんな処かな?後は今説明した車の基本の中から自分の好みに合う車を選ぶのさ」
「成る程な……俄然車に興味が湧いたよ。車を趣味にしてみるのも良いかもしれない。色々と教えてくれてありがとう最上」
「どういたしまして。僕も仲間が増えたみたいで嬉しいよ。それで、車を買うお金は貯まってるの?」
「生憎、身一つで此処に来たんだ。先立つものが無い」
「じゃあ先ずはお金を貯める事と免許を取る事から始めないと」
「免許はどうやって取るんだ?」
「簡単だよ。長門秘書艦に免許取得の申請をして書類を書いたら講習と実習を受けられるから。今なら誰も希望者が居ないし、枠も余ってる筈だし直ぐに受けられると思うよ」
「そうなら善は急げだな。ありがとう最上!」
「頑張ってね」
紀伊はその足で直ぐに申請を行い、訓練や任務の隙間の空いた時間を活用して免許取得に動くのであった。
続く
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