艦隊これくしょん 異界の不沈戦艦召喚   作:明日をユメミル

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第12話

紀伊が現場に到着するまでの間、深海棲艦の高速艇部隊の足止めを命じられた HSS-2Bの1号機は2号機との合流を待ち、準備に入っていた。

 

 

「しっかり取り付けろ」

 

 

ヘリ妖精達は機内の武器ケースに厳重に仕舞われていた74式車載機関銃を取り出して銃架に取り付ける。

本来、自衛用の機関銃と銃架が無いHSS-2Bだが、紀伊に搭載されている機体は浮上した潜水艦や不審船に乗り込む臨検隊の上空援護用として搭載出来るように改修されているのである。

 

 

「弾薬装填!」

 

 

弾薬箱からベルトリンクで繋がれた7・62ミリNATO弾を装填、射撃可能な状態にする。

 

 

 

『こちら2号機、到着した』

 

 

 

そこへ2号機も到着した。向こうも機関銃の準備を完了しており左右のスライドドアから機関銃を操作するヘリ妖精が見える。

 

 

「こちら1号機、間も無く現場に到着する。艦長がやってくるまでに何としても足止めしろ」

 

『了解!』

 

 

2機は低空を高速で敵高速艇部隊に接近を仕掛ける。

 

 

「見えた!」

 

 

水平線上に多数の影が見えた。

 

 

「上昇するぞ!こっちは左、2号機は右側面から仕掛けろ!」

 

『了解!』

 

 

2機は左右に分かれる。

 

 

「目標視認!」

 

 

PT小鬼と呼ばれる高速艇を目にする妖精達。

この世界にやって来た直後の戦闘で目にした深海棲艦よりも遥かに小型だが速度は本当に早かった。機関銃を当てるのは本当に至難の業だと確信する1号機の機長妖精。

 

 

「2号機!敵は数は多い上に素早い!無理に機銃を当てようとしなくても良い!牽制で奴らの動きを鈍らせる!」

 

『了解!』

 

「射撃手、聞いたな!無駄撃ちを控えつつ牽制射撃に留めろ!だが、当てれそうなら当ててもいい!」

 

「了解!」

 

 

射撃手が機銃のグリップを握り、両手の親指でトリガーに指を掛ける。

 

 

「行くぞ!」

 

 

2機は高速艇部隊の左右から一気に接近を仕掛ける。

 

 

「撃て!」

 

 

合図と共に機銃掃射が始まった。射撃手がPT小鬼に向けて機銃を撃ち、鼻先の海面に向けて撃ち込む。

突然の機銃掃射に驚いたのか何隻かのPT小鬼の速度が落ちた。

 

 

「当てれる!」

 

 

それに向けて機銃を撃ち込む。

 

 

「やった!敵2隻撃破!」

 

 

弾丸が直撃した2隻が爆発炎上した。

 

 

「良いぞ!そのまま撃ち続けろ!」

 

「了解!」

 

 

2機は高速艇部隊の針路を阻むように機銃掃射を続け、敵側の勢いを削いでいく。

 

 

「来たぞ!」

 

 

だが相手もやられているばかりではなく、機銃を打ち上げてきた。

 

 

「やられるか!」

 

 

しかし腐ってもヘリコプター。固定翼機程ではないが速度は早いため、回避はさほど難しくはなかった。

 

 

 

「気を付けろ!窮鼠猫を噛むだ!」

 

 

 

敵の銃撃を回避しつつ、機銃掃射を続ける2機。

 

 

 

「クソ!ミニガンが欲しい!」

 

 

発射速度は普通の機関銃と変わらない74式に射撃手はミニガンの制圧力を欲しがった。

 

 

『こちら紀伊、到着した!全機離脱せよ!』

 

 

 

そこへ紀伊から通信が入った。

 

 

「了解!離脱する!」

 

 

2機はその場を急速離脱し現場を離れた。

 

 

 

 

 

「さて、行くか」

 

 

現場に到着した紀伊は主砲の砲撃準備を行う。弾薬庫から榴弾が引き上げられ砲に装填する。

 

 

 

「砲撃用意よし!」

 

 

3基9門の準備が完了、RQ-2Jからの誘導に従い照準を行う。

 

 

「撃てぇ!」

 

 

 

轟音と共に砲撃が開始された。

放たれた9発の砲弾は弧を描きながら飛翔、動きが鈍くなっていた高速艇部隊に降り注いだ。

重量1トン以上ある51センチ砲弾の持つエネルギーは伊達ではない。爆発による衝撃波は凄まじいエネルギーとなりPT小鬼を纏めて空高く吹き飛ばし、落下で思い切り海面に叩きつけられたPT小鬼は木っ端微塵に破壊される。

 

 

「第2射撃て!」

 

 

続けて砲撃し、更に多くのPT小鬼を破壊していく。

 

 

「よし良いぞ!」

 

 

砲撃の度、PT小鬼は木の葉の如く吹き飛ばされていき一気にその数を減らしていく。

しかし、数と速度は遥かに向こうが上で、装填する隙を突いて多数のPT小鬼が向かってくる。

 

 

「近付けさせるか!速射砲、副砲、射撃用意!」

 

 

接近してくる目標へは副砲、Mk42速射砲による砲撃で対処する。

 

 

「撃て!」

 

 

副砲と速射砲が攻撃を開始した。副砲が砲撃し、その隙を埋めるよう速射砲が連射でPT小鬼を仕留める。国産のFCS-1による射撃管制は正確で、Mk42は精密砲撃でPT小鬼を確実に仕留めていく。

 

 

「まだ北朝鮮の魚雷艇部隊が手強かったな」

 

 

戦後に急遽参加する事となった朝鮮戦争で北朝鮮の魚雷艇部隊の襲撃を受けた際は、何とか退けたものの陸地と近かった事もあり接近と魚雷攻撃を許してしまった過去がある。幸いにも魚雷は命中したがほぼ無傷で済んだ事と相手側が直ぐに離脱した事もあり大事には至らなかった。その時と比べれば目の前のPT小鬼は紀伊にとっては対した脅威ではなかった。

 

主砲、副砲、速射砲など砲撃可能な火器が敵高速艇部隊にダメージを与えていき、やがて敵の数も数えられる程度にまで減っていった。

 

 

 

「此処で決めるか」

 

 

此処で敵部隊を殲滅するため主砲を残った敵に向ける。

 

 

「撃て!」

 

 

再度、轟音と共に砲撃が加えられた。

9発の砲弾は撤退しようとしていたPT小鬼の残党に降り注ぎ、水柱の向こうに消えた。

 

 

「やった」

 

 

水柱が収まると、そこにPT小鬼の姿は無かった。

 

 

「終わった」

 

 

敵を殲滅し戦闘を終えた紀伊。

離脱していたヘリと無人機を回収し終え、暁達の元へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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