紀伊が鎮守府へ配属となり、早くも3ヶ月が経過した。
既に鎮守府での生活にも慣れ、艦娘全員とも顔馴染みとなり、訓練や演習、更には遠征任務にも就く様になり実績も積みはじめていたが、未だに本格的な実戦には就いていなかった。
「今日も上々ね!」
遠征任務から帰還し物資を倉庫に搬入する紀伊と第6駆逐隊。
最初の遠征任務から数えて20回目となると流石に紀伊も手慣れたもので、他の駆逐隊の遠征任務にも同行し自身の肉体が持つパワーを生かして駆逐艦達が運びきれない量の資源が詰められたドラム缶を艤装に取り付けたり牽引したりして多くの資源を持ち帰る事に成功している。そのおかげか、倉庫の中は必要以上に資源に溢れ、いよいよ倉庫からドラム缶が溢れそうな勢いである。
「流石にもう入りきらないな」
「必要なものは多い越した事は無いが、保管場所が少し問題だな」
倉庫を見に来ていた長門もその光景に嬉しさ反面、少し頭を抱えている様子である。
「すまん、張り切り過ぎたか?」
「いや構わない。無いよりは全然良い。むしろ此処まで働いてもらって感謝しているし、これだけの資源があれば当面の間は余裕が出来るし作戦も立てやすくなる」
「なら良いんだが」
「だが資源を確保して貯めこむだけでは意味はない。これらを必要としている他の鎮守府や艦隊へも回さなければならない。今後、深海棲艦に対する反攻作戦が進められるに連れて補給線も延びる可能性があるから補給路の確保が課題だな」
「そこはお宅らの提督の仕事だな」
「提督も忙しい中、こちらの行動指針を考えてくれているが無理もさせられん。我々も独自で作戦を立案しなければ」
「まるで引っ張りだこだな提督は」
「なまじ腕が良いだけに各部署が中々離したがらないんだ。我々の提督だと言うのに」
長門はため息を吐く。
「紀伊、今度のW島攻略にはお前も参加する事になるやもしれんから準備だけはしておいてくれ」
「あぁ、前に話してた作戦だろ?実行日は決まったのか?」
「実行日は決まったんだが、こちらも戦力不足は否めない。提督が手配した新しい艦娘がもうすぐ着任する予定になっている」
「新人か?」
「あぁ。提督の推薦らしい」
「期待できそうだ。で、その新人はなんて奴なんだ?」
「これだ」
長門は紀伊に書類を手渡す。
「特型駆逐艦『吹雪』か………性能や性格的に悪くはなさそうな人材だな」
「たが実戦経験が皆無だ。作戦開始までに実戦に出せるかどうか」
「そこは訓練や本人の努力次第だ。お前の口振りから流作戦開始は近いんだろ?突貫作業になるな」
「足柄や利根にも吹雪に関しては注意しておくよう伝えてなければな。紀伊にも協力してもらう事にもなるかもしれんが」
「俺も?」
「あぁ、時期的には同期になる。第3水雷戦隊へ配属させるが、同期の中ではお前が唯一実戦を幾度も経験している。神通と共に彼女の能力向上を図ってやってくれ」
「分かった。取り敢えず実戦に出せるレベルにまではしておこう。彼女にそれだけの根性があれば可能性はある」
「頼んだ」
それから更に一週間が経過した。
「いよいよ鎮守府へ配属かぁ」
鎮守府を見渡せる丘の上で、セーラー服を纏った1人の少女が鎮守府を眺めている。
「特型駆逐隊『吹雪』!行きます!!」
続く
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