「作戦参加だって?」
とある日の午前、紀伊は長門から呼び出しを受けて司令室に居た。司令室にやって来て、いざ話を聞くとある命令が下された。
「急な話だな」
「あぁ。ギリギリまでは極秘だったからな」
「で、内容は?」
「我が国と諸外国軍による共同作戦が行われる。作戦は米軍と国防軍が主導となり、鎮守府正面海域の奪還する事にある」
「正面海域?確か遠征に行った時は……」
「第6駆逐隊や他の駆逐隊はそれぞれ敵の出現率が低く戦力が手薄な航路を設定している。お前が暁達と遠征任務に従事していて敵と殆ど遭遇しなかったのはそのためだ」
「頭いいな。で、俺にその作戦参加しろと?」
「あぁ。提督からの直々の命令だ」
「分かった。作戦には喜んで参加するが、俺は何をしろと?」
「説明しよう」
長門は机の上に地図を広げ説明を始める。
「当作戦は鎮守府正面海域を制圧している凄地姫と呼ばれている深海棲艦の上位個体が居座っている凄地を強襲、海域奪還が作戦概要だ」
「強襲作戦か?」
「そうだ。作戦では第3水雷戦隊を前衛とし、赤城と加賀を主力とした第1機動部隊を強襲、第2支援艦隊がこれを援護するのが大まかな内容だ。紀伊には特別任務として、敵の背後から奇襲を掛けてほしい」
「つまり、敵の寝首を切る訳か」
「そうだ。第1機動部隊は強襲を仕掛けるが察知される可能性がある。特に今回の作戦は反攻作戦における試金石になるから失敗は出来ない。お前は別動隊として手薄になった敵後方から仕掛けてほしい」
「言うだけなら簡単だな」
「もちろん無理にとは言わない。作戦に無理があるようなら変更する事も出来ると提督は言っている。提督らしい優しさだな」
「その優しさを他に生かしてほしいね。それで、敵の戦力は?」
「第4艦隊からの報告によると、敵は高速戦艦を中心とした機動部隊1個、水雷戦隊6個、航空戦力多数が確認されている。凄地周辺を水雷戦隊が囲み、機動部隊がその後方で待機している。最低でもこの半数がやって来るだろう」
「成る程」
紀伊は敵布陣と戦力を見て、普通なら並の戦力では返り討ちにあう可能性が大だと感じた。
だがそれは並の戦力ならではの話であり、並を上回る戦力ならと考えた。
「別動隊には俺以外に誰を就けてくれるんだ?」
「龍驤と第2支援艦隊から第6駆逐隊を就ける。お前と演習と実任務に就いた事があるのは今のところ彼女達だけだ」
「分かった。任せろ」
紀伊の反応に今まで沈黙していた陸奥が口を開いた。
「任せろって……これだけの戦力を相手に出来るの?」
「出来る。様するに機動部隊が到着するまで持ち堪えれば良いんだろ?難しい話じゃない」
「無謀よ」
「心配するな。俺は片舷に魚雷60本や80センチ列車砲の砲撃に高高度からの爆撃を受けた事があっても沈まなかったんだ。ちょっとやそっとじゃ沈まん」
それを聞いた長門と陸奥は驚きを隠せない。
「本当なのそれ?」
「本当だ。それに百機の航空部隊を払いのけた事もあるんだ。任せろ」
さも当然の如く応える紀伊に長門は少し考える。
「分かった。任せよう」
「ただし、絶対に無理はするな」
「了解」
そう言うと紀伊は意気揚々と司令室から出て、長門と陸奥のみが残った。
「良いの?少し無謀にも思えるけど」
「深海棲艦に対する反攻作戦のためだ。提督もこの作戦を立てた時は苦渋の決断を強いられたのだろう」
「提督もそうだけど、長門も辛そうよ」
「毎度の事ながら、命令する立場に立つと命令1つで仲間を前線に皆を向かわせると言うのは中々に重責だ。提督の気持ちが分かる」
それから数時間後、午後1時
「皆揃ってるな」
作戦に参加する艦娘達が揃っている中、紀伊は別動隊として先に出撃する事となり、既に龍驤と第6駆逐隊が待っていた。
「久しぶりやな。演習以来か?」
「だな。第6の皆も全員居るな?」
「勿論!」
「居るわよ!」
「居るのです」
「ハラショー」
「よし。じゃあ今から本隊に先発して出撃する。初めての艦隊編成と指揮をするが、よろしく頼む」
紀伊が皆にそう言葉を掛ける。
「任せとき!空ならウチの十八番や!」
「私達も遠征任務だけじゃないってところを見せてあげる!」
「よし!別動隊、出撃!」
続く
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