「トマホーク全弾、弾着!」
パイオニアから送られてくる映像がタブレットに表示され、遠距離からではあるものの16発のトマホークが凄地姫に次々と着弾していき、派手な爆炎が上がる。
「弾着確認。龍驤!」
「ようやウチの出番やで!」
龍驤はここぞとばかりに艦載機を打ち出していく。零戦で編成された直掩機隊が上空に展開する。
「これより凄地に突入する!龍驤は下がってくれ!暁と雷は龍驤の護衛、電と響は俺に着いてこい!」
「了解!」
「任せて!」
「行くぞ!全艦最大戦速!!」
紀伊、電、響の3人は速度を上げて凄地に突入する。
「始まったな」
サングラス型HUDにはパイオニアからの映像が引き続き送られてきており、トマホーク弾着直後に第1機動部隊の航空部隊が爆撃を敢行している。凄地姫は前と後ろからの攻撃に対して、真正面の敵を叩く事を優先して自ら動き出し、後方の紀伊達に対しては1個水雷戦隊と航空部隊を差し向けてきた。
「どうやら足止めする気らしいな」
「上の妖精達が頑張ってくれると良いけど」
「信じるしかない」
紀伊は直掩機隊に敵航空部隊接近を無線で知らせ、直掩機隊は速度を上げて敵を迎え撃つ。
「始まったか」
両航空部隊が接触、直ちに空戦に突入する。
零戦は敵戦闘機相手に素早く鮮やかに立ち回り敵機を撃墜していく。しかし敵側も負けじと数を生かして零戦相手に食い下がる。
「頑張ってくれてるみたいね」
「だが時間の問題だ。こっちも敵を迎え撃つかい?」
「当然。まだ秘密兵器はある」
直掩隊は奮戦しつつも次第に数に押されていき、迎撃を潜り抜けた艦攻と艦爆が迫ってきた。
「やっぱり来たか。こっちの手札を使わせてもらおう」
紀伊は自身の51センチ砲に赤く塗装された砲弾を装填、砲口を上空に向けて仰角をとる。
「久し振りの対空戦だ、腕が鈍ってなけりゃいいが」
そう呟きつつも、妖精達が測距儀を使い仰角と方位角を調整し、射撃準備が整った。
「主砲、3式改、撃て!」
主砲が上空に向けて砲撃を開始する。打ち出された9発の3式改は超音速で敵機の真正面に向かって飛行、弾頭部の近接信管が敵の磁場を捉えた瞬間、赤白い花火が咲いた。
その直後、複数の敵機が爆発炎上した。
「あれって3式弾?」
「そうだ。厳密に言えば3式弾の発展改良型だ」
新世界でロウリア王国との武力衝突の際のロデニウス沖海戦でロウリア王国軍ワイバーン部隊を悉く火達磨にした3式改そのものである。
元の3式弾に付いていた時限信管に代わり近接信管を装備し対地攻撃用に改良されたものであるが対空戦にも使用可能であるため、速度の遅い航空機相手にも有効である。
実際、今発射した9発の3式改は敵機5機を纏めて炎上、墜落させている。
「まだまだ行くぞ!撃て!」
再び3式改を打ち上げるが、先程の砲撃で敵は散開しているため2機の撃墜に留まった。
「敵も馬鹿じゃないって事だな。次の切り札だ」
主砲による砲撃を止め、次にミサイルによる迎撃に切り替える。
1980年代の近代化改修で装備されたのはハープーンやトマホークだけではない。対空戦用にシースパロー用のGMLSランチャーを搭載しており、国産のFCSによる誘導が可能で、FCSのレーダーターレットが迫ってくる敵機に向けてレーダー波を照射する。
「攻撃始め!」
合図と同時に4連装ランチャーからシースパローが打ち出された。FCSによる誘導でシースパローは正確に誘導され、敵機は避けようとしたがミサイルに捕捉されており回避空しく命中、撃墜される。
しかし未だに敵の数は多く、シースパローによる迎撃は追い付かず、敵は側面が駄目なら真上からと艦爆が急降下してくる。
「紀伊さん!上っ!」
「分かってる!そう来ると思った!」
敵艦爆が爆弾を投下する態勢に入った瞬間、今まで沈黙していたファランクスCIWSが起動、真上に銃身を向けると毎分3000発の発射速度で20ミリ弾を打ち上げ、瞬く間に4機を破壊した。
残りの艦爆は急降下から水平飛行に入ろうとしたが、既に機首上げをするには遅く海面に激突するか、水平飛行に入れてもMk42速射砲による精密砲撃を受けて撃墜される。
その直後……
「直掩隊だ!」
直掩隊の零戦が戻ってきて、残りの敵機を追い回し瞬く間に全機撃墜。敵の刺客の一つを払い除けた。
「あの戦争を生き抜いた俺に死角は無いぞ!」
続く
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