鎮守府に戦力が集結し、いよいよ作戦実行日となった。
司令室で腕時計を見つめ作戦開始時刻を待つ長門。
「5、4、3、2、1、0。作戦開始時刻です」
「こちら長門、W島攻略作戦を発動する。第3、第4水雷戦隊、ガルム隊、出撃せよ!」
鎮守府内に広がるアナウンスに作戦部隊は出撃を開始する。先ずは第3、第4水雷戦隊が出撃する。
「第3水雷戦隊、出撃します!」
射出用カタパルトで海上に打ち出されていく艦娘達。
滑走路ではガルム隊が離陸態勢に入っていた。
『管制塔よりガルム隊、離陸を許可する』
「了解。ガルム1、Take off 」
ガルム隊の隊長機であるサイファーが乗り込むF-15Cが滑走路より離陸。
「ガルム2、Take off」
続けてピクシーのF-15Cが離陸し、最後にPJのF-16Cが続く。
「こちらクロウ3、Take off!」
W島攻略部隊は全て出撃を完了。水上打撃部隊と航空部隊はW島を目指す。
《こちら空中管制機イーグルアイ、水上打撃部隊並びにガルム隊へ告ぐ。これより両部隊の空中管制を実施する。以後作戦指揮はこちらで行う》
《AWACS、ちゃんと見ていてくれよ》
「ガルム隊、上は頼むぜ」
海上を進む第3水雷戦隊は敵部隊誘因のためW島へ向けて先行する。
紀伊と第4水雷戦隊と待ち伏せ部隊は第3が引き連れてくる敵機動部隊を待ち受ける。
「さて、果報は寝て待てか」
待ち伏せ部隊は潜水艦や別の敵勢力を警戒しつつその場で待機する。
紀伊のHSS-2Bを飛ばし対潜警戒、球磨、多摩の2人は水上機を飛ばして周辺海域の監視任務を行っている。上空ではガルム隊が旋回して待機している。
「こちら球磨、異常なしクマ」
「多摩、異常なしニャ」
「こっちも潜水艦の発見の報なし。紀伊よりAWACS、第3水雷戦隊の状況は?」
《こちらイーグルアイ。第3水雷戦隊は所定の位置で待機中。神通、川内が航空偵察を実施中》
「了解。取り敢えず異常なしだな」
今のところ作戦は順調に進んでいる。第4水雷戦隊と紀伊はひたすら待機を続け時間だけが経過する。
《ガルム1より紀伊へ。少し話をしても良いか?》
「ガルム1?どうしたんだ藪から棒に」
《お前、なんで男なんだ?》
「?」
《おい相棒、いきなりすぎる。すまない、相棒はお前さんは艦娘の筈なのに何故男の姿なんだと聞きたいらしい》
「あぁ。それは俺も分からん。産まれた時から体は男だったから何故そうなったかは分からない。まぁ突然変異なんだなって俺は納得してる」
《突然変異………納得した》
《相棒、そう言う事を相手に聞くときはもっと言葉を選べよ》
《俺はこう言う物言いしかできない》
《まったく………》
「サイファーさんて本当に面白い人なのね」
夕張が笑みを浮かべてそう呟く
「本当に純粋。可愛いわ」
睦月型駆逐艦『如月』も妖艶な声でサイファーの事を評価する。
《相棒が純粋で可愛い?聞いたか相棒?初めて聞くぞそんな評価》
《こちらPJ 、考え方次第ですよガルム2。ある意味で如月の評価は的を得てます》
《そうか……どうにも俺には相棒が純粋で可愛いとは思えんな》
《………………好きに言え》
その時、AWACSからの通信が入った。
《こちらイーグルアイ。第3水雷戦隊が敵と接触》
状況が変わり、その場の全員の表情が変わった。
「やっとか。全艦戦闘配置!」
紀伊の命令で待ち伏せ部隊は敵を待ち受ける横列体系を組んだ。
《イーグルアイから待ち伏せ隊へ。第3水雷戦隊は交戦を開始、敵は空母クラス2隻を中心とした機動部隊と思われる》
「報告通りだ。敵は航空機を飛ばしているか?」
《確認している》
「了解。全艦、対空、対水上戦闘用意!」
待ち伏せ部隊は空と水上の脅威に備え、紀伊は作戦に従いハープーンの発射態勢に入る。
《イーグルアイより紀伊へ。敵の位置をレーダーへ転送する、直ちに攻撃を開始せよ》
「支援感謝する。ハープーン全弾連続発射、撃て!」
AWACSからのデータリンクを基に諸元入力を終え、直ちにハープーン全弾を発射した。
今回はAWACSからの支援により、今までの様に無人機やヘリを敵の近くまで飛ばして位置情報を得なくても広範囲のエリアをカバーできるAWACSのレーダー情報をデータリンクでリアルタイムに確認できるためハープーン本来の能力を発揮できる。
《ハープーン全弾、目標到達》
直後、レーダーから敵機動部隊の光点が次々と消滅していく。
《敵空母ロスト。しかしミサイル着弾前に艦載機を放った模様。航空目標多数を補足。ガルム1とガルム2は第3水雷戦隊の援護に向かえ。クロウ3は現状で待機し待ち伏せ部隊の上空援護を続けろ》
《ガルム1了解》
《ガルム2了解!行くぞ相棒!》
《こちらクロウ3、こっちは俺に任せてください!》
AWACSの指示に従い、サイファーとピクシーは第3水雷戦隊の援護に向かった。
《そろそろだ相棒》
《あぁ》
サイファーとピクシーはアフターバーナーを全開に現場へと急行する。
《見えたぞ!》
現場へと到着すると、多数の艦載機に追われている第3水雷戦隊の姿が見えた。
《第3水雷戦隊が押されている!ガルム1、ガルム2直ちに攻撃を開始せよ!》
《了解。よし相棒、花火の中に突っ込むぞ!》
2機はその場で急降下、第3水雷戦隊へ群がってる敵艦載機へ向けてミサイルを放つ。
「敵機6機を撃墜!」
2人の乗るイーグルに搭載されてるミサイルは普通のミサイルではなかった。
航空機よりも遥かに小さくロックオンが難しい深海棲艦の航空機用に開発されたこのミサイルは、超小型の敵機をロックオン出来るように開発された新型レーザーシーカーを備えておりレーザー放射してその反射を捉え誘導される仕組みとなっており、数で勝る敵に対してより効果的にダメージが与えられるよう破砕弾頭となっている。
この時、2機のイーグルから放たれたは2発。目標の手前で爆発すると封入されていた数千発のベアリングが弾丸の様に広がり、広範囲の敵機にダメージを与える事ができる。
少ない搭載数で多数の敵機を撃破できるこのミサイルは深海棲艦相手に広く使われており、傭兵部隊であるガルム隊でも例外ではなかった。
《相棒、撃墜数を稼いでやろう》
《あぁ》
続く
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