艦隊これくしょん 異界の不沈戦艦召喚   作:明日をユメミル

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第25話

MO攻略作戦開始日となり、横須賀鎮守府から作戦に参加する部隊の出撃が始められていた。

鎮守府の飛行場から滑走路をタキシングするガルム隊のF-15とF-16が離陸ポイントに入る。

 

 

《今度は南の島ッスね。俺、ハワイとかグアムとかって初めてですよ》

 

《PJ、遊びに行くんじゃ無いんだ。気張ってろ》

 

《こう言う時くらい夢見させてくださいよ。サイファーもそう思いますよね?》

 

《まぁな。俺も南の島は初めてだ》

 

《相変わらずマイペースだなサイファー。そろそろ離陸するぞ》

 

 

ピクシーが乗り込むF-15Cがエンジン最大出力で短い滑走路を駆け抜け離陸していく。

 

 

《相変わらず綺麗に飛び上がるなぁ~》

 

《ガルム1、Take off 》

 

 

続けてサイファーのF-15Cが離陸、後を追うようにPJのF-16Cも飛び立った。

離陸したガルム隊は上空で待機していたイーグルアイのE-767と合流、空中哨戒のためMO作戦空域のに向かった。

 

 

 

 

 

「ガルム隊が先に行ったみたいだねぇ」

 

 

 

波止場で出撃準備をしていた第5遊撃部隊所属の『北上』が、エンジンからアフターバーナーの炎を吐き出しながら上司していくガルム隊を見ていた。

 

 

「いつ聞いてもジェット機の音って耳に悪いです」

 

 

側に居る姉妹艦『大井』は耳を塞ぎながらそうぼやく。

 

 

「私は好きなんだけどねジェットって」

 

「瑞鶴って本当に飛行機が好きなのね」

 

「もう見えないデスね」

 

「はい。凄いですね」

 

 

瑞鶴と翔鶴、金剛と吹雪も空に消えていくガルム隊を見ていた。

 

 

「そろそろだな。吹雪、出撃の時間だぞ」

 

「あ、はい!では第5遊撃部隊全艦、出撃してください!」

 

「OK!Me達もガルム隊の後を追うヨー!」

 

「金剛さん!待ってください!」

 

 

 

 

無事に鎮守府を出撃した第5遊撃部隊は支援艦隊の第3艦隊と合流し空母『祥鳳』を中心としたMO攻略主隊と合流を目指し作戦海域へと針路を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間の後、艦隊は敵に発見される事なく作戦海域である珊瑚諸島へと接近していた。

 

 

 

「………………」

 

「どうしたんだ?」

 

 

吹雪の真横を走っていた紀伊が問い掛ける。

 

 

「いえ、何でもないです」

 

「本当か?」

 

「はい。少し緊張してて」

 

「落ち着け。艦隊旗艦がそんな顔してたら士気に関わるぞ」

 

「はい」

 

 

浮かない顔を無理矢理、笑顔に変え吹雪は前を見据える。

 

 

 

「綺麗な海と空……まるで私達と北上さんの行く末を祝福しているようね」

 

「ねぇ、大井っち…」

 

大井が周囲の景色に見惚れているところを北上が何かを話出そうとした瞬間、全員の無線機のコールが響いた。

 

 

《こちらイーグルアイ、第5遊撃部隊へ。針路上にスコールが近付いて来ている注意せよ》

 

「チっ!空のクセに空気を読まないなんて……北上さん、今私に話し掛けようとしていましたか?」

 

「いや、イーグルアイにセリフ取られちゃったからいいや。まぁ嵐くらいならさっさと越えれば良いでしょ」

 

 

 

一方、吹雪は辺りをやたら警戒している様子であった。

 

 

「翔鶴さん、瑞鶴さん。念のため索敵機を出してもらえますか?」

 

「え?別に良いけど、作戦海域はちょっと先だし速度も落とさないと」

 

「夕張さん達には先行してもらいます。飽くまで念のためですから。大丈夫だと分かれば全速で追い付きます」

 

「いいの?」

 

 

 

吹雪の指示に金剛と紀伊がフォローに入った。

 

 

「大丈夫デース!ブッキーは自分のやる事の意味をちゃんと理解してる子ネ」

 

「そうだな。吹雪だからこそ個性が強いこの部隊の指揮官をやれているんだ。俺は吹雪の指示に賛成だ」

 

「それに旗艦任せたの私達だし」

 

「本当は北上さんの方が似合うのに」

 

「みなさん………」

 

 

皆のフォローに吹雪は言葉が出なかった。

 

 

「ま、旗艦のクセに勢いで突っ込み過ぎたり、そそっかしい処はあるけど」

 

「翔鶴さん~酷い!」

 

「ゴメンて。まぁ確かに、備えておく事に越した事は無いよね。索敵出すから待ってて」

 

 

そう言うと瑞鶴は腰の矢筒から矢を1本取り出して、空に打ち上げ、6機の零戦を偵察に出した。

 

 

「次は私の番ね」

 

 

続けて翔鶴が矢を打ち上げ、6機の零戦を偵察に出した。

 

 

「此処から南へ30度毎に」

 

「了解」

 

 

続けて艦攻も加えて偵察に出し、2段構えで索敵網を広げた。

 

 

 

「ちょっと大げさじゃない?」

 

「いえ、これで良いんです。これで………」

 

 

 

 

 

 

ここで時系列は昨日の夜に戻る。

 

 

 

 

『深海棲艦が私達の暗号を…?』

 

 

呼び出しを受けた吹雪が司令室で長門から聞かされたのは衝撃の話だった。

 

 

『確証は無いが、向こうが我々の通信を傍受して解読している疑いがある』

 

『そんな……』

 

『疑念が払拭出来ない以上、常に最悪を想定した行動を取ってくれ。下手をすれば我々の編成も筒抜けかもしれん』

 

『それって、向こうが私達を待ち受けているかもしれないと?』

 

『そうだ』

 

『……………分かりました。細心の注意を払います』

 

 

 

 

 

時系列は此処で戻る。

 

 

 

 

 

 

昨日の長門の話について、疑念と警戒心を抱いていた吹雪の不安は徐々に高まっている。

 

 

 

「もし向こうが私達の動きを読んでいるとしたら……」

 

 

 

その時、AWACSから通信が入った。

 

 

 

『警告!警告!MO攻略主力部隊より緊急通信!』

 

 

 

吹雪の不安は現実のものとなった。

 

 

 

「MO攻略主隊の祥鳳さんが待ち受けを受け大破!?」

 

 

 

AWACSがMO攻略主力部隊からの緊急通信を傍受。

どうやらMO攻略主隊が敵の待ち伏せを受け、祥鳳が敵の集中攻撃を受け大破、しかも敵の主力部隊の現在位置は不名誉との事であった。

 

 

「やっぱり、敵は私達の動きを読んでいました」

 

 

 

不安が確信に変わり吹雪はどうするかを考える。

 

 

 

「どうする?もっと索敵機を出す?」

 

「でも瑞鶴、徒に数を出しても意味は無いわ。こう言う時は根気が一番。慌てたら負けなのよ」

 

「翔鶴ねぇ」

 

「とは言っても待つだけって嫌だよね」

 

「先に見つけ方が勝ちネ。そうデショ、ブッキー?」

 

「はい。今は艦載機の皆さんに期待しましょう」

 

 

空を見上げる吹雪。

 

 

「処で、MO攻略主隊はどうする?このままだと全滅する可能性があるぞ」

 

 

紀伊が吹雪に祥鳳達の事をどうするかを問う。

 

 

「そうですね。ちょっと待っててください」

 

 

吹雪は無線機のチャンネルを上空のAWACSの周波数に合わせてイーグルアイに問い掛ける。

 

 

「こちら第5遊撃部隊、AWACS聞こえますか?」

 

『こちらイーグルアイ。どうした?』

 

「ガルム隊の皆さんにMO攻略主隊の援護と支援に回って欲しいんです」

 

『しかしそれだとそちらの上空援護が出来なくなるが』

 

「こちらは大丈夫です。現在、敵機動部隊の索敵に当たっていますので、発見次第攻撃します」

 

『………………了解した。ガルム隊をMO攻略主隊援護に回す』

 

「ありがとうございます」

 

『気を付けてくれ』

 

 

AWACSとの通信を終えた直後、瑞鶴の無線に連絡が入った。

 

 

「4番機より入電!『ワレ、敵空母機動部隊を発見ス!編成は空母1、重巡1、軽巡2、駆逐艦2の6隻!』だって!」

 

「分かりました!翔鶴さん、瑞鶴さん、お願いします!」

 

「了解!任せて!」

 

 

此処で翔鶴と瑞鶴は敵機動部隊攻撃のため艦載機を出撃させる。

 

 

 

「さて、俺達はどうする?」

 

「このまま敵機動部隊を攻撃してください。攻撃成功後は残敵の掃討のため追撃します!ですが空母のお二人はこのまま凄地MOに向かって先行している支援隊に追い付いてください」

 

「了解!その時になったらガ直掩機は出して、先行するわ」

 

「お願いします!」

 

 

的確に指示を出す吹雪を見て紀伊は感心する

 

 

「旗艦が板に付いてきたな」

 

 

 

 

 

それから30分後、攻撃隊は敵空母機動部隊の急襲に成功、先手を打つ事に成功した。

 

 

「先手を打てたわ!もう艦載機の脅威は無い!」

 

「では、手筈通りに」

 

 

此処で第5遊撃部隊は2手に分かれた。翔鶴と瑞鶴は直掩機を出してから第3艦隊と合流のため先行、吹雪達は残敵の掃討に入る。

 

 

 

「空母が1隻だけで良かった……司令官と長門さんが言っていた最悪の事態には…………っ!?」

 

 

安堵した瞬間、再び吹雪は心臓を締め付けられる様な不安に駈られた。

 

 

 

「どうした?」

 

「不味いです!空母のお二人が危ないかもしれません!」

 

「どうしたんだ?」

 

「敵がこっちの作戦を知っていたとしたら、この程度では済まない筈なんです!もしかしたら敵の狙いは、翔鶴さんと瑞鶴の2人かもしれません!」

 

「だとしたら不味いな………今から急行すれば間に合うか?」

 

「恐らく………行きましょう!」

 

 

 

そう言うと吹雪は踵を返して一気に走り出した。

 

 

 

「吹雪っ!金剛、此処は任せた!」

 

「OK!行ってくるネ!」

 

 

 

吹雪の後を追うように紀伊も走り出す。

 

 

 

「間に合うか………AWACS、聞こえるか?」

 

《どうした?》

 

「翔鶴と瑞鶴の2人の状況を知らせてくれ!」

 

《無線封鎖はどうする?》

 

「この際構いません!解除してください!」

 

「だそうだ。頼む」

 

《待て…………………来た。翔鶴より緊急入電!どうやら別の空母機動部隊と遭遇、敵艦載機からの攻撃を受けているとの事だ》

 

「ガルム隊はどうなっています?」

 

《ガルム隊はMO攻略主隊の援護を遂行、現在こちらへ合流のため急行中だ。既にこちらから指示を出しておいた。間も無く翔鶴と瑞鶴の援護に入る事が出来る》

 

 

 

仕事の早さに驚く吹雪と紀伊、流石はプロの空中管制官と言った処であろうか。

 

 

 

「了解!こちらも間も無く到着します!」

 

 

 

全速力でスコールの中に突入、雨粒に打たれつつも先へ進み続け、ようやく現場へと到着した。

 

 

「紀伊さん、先行します!」

 

「あぁ!」

 

 

吹雪が全速力で2人と敵空母機動部隊の間に入り、紀伊は後方から主砲を敵機動部隊へ向ける。

 

 

「全門斉射、撃て!」

 

 

轟音を響かせ主砲を放ち、9発の砲弾は敵空母機動部隊へ降り注ぎ派手な水柱を上げた。着弾の衝撃を受けた敵空母『ヲ級』は身構える。

 

 

「そこっ!」

 

 

その隙を見逃さなかった吹雪が連装砲をヲ級に向けて撃ち込み1発がヲ級の左目に着弾、衝撃受けたヲ級は後ろに仰け反る。そこへヲ級を守る様にロ級とイ級が立ちはだかる。

 

 

《ガルム1、Fox2》

 

 

直後、2発のミサイルがイ級とロ級に直撃し大破。

 

 

《ガルム2、Fox1》

 

 

直後、曳光弾の光がイ級とロ級を蜂の巣にする。

 

 

《クロウ3、Fox2!喰らえ!》

 

 

とどめに再度ミサイルが撃ち込まれ、2隻は爆散した。

 

 

「ガルム隊か!」

 

 

上を見上げると、ガルム隊が到着しておりミサイルと機関砲による援護が行われたのであった。

 

 

《こちらガルム1、残弾なし》

 

《ガルム2、ミサイル残弾なし。機関砲のみ》

 

《クロウ3、こちらもミサイル、機関砲共に残弾なし》

 

《イーグルアイよりガルム隊へ、全機RTB》

 

《了解。もう燃料も残り少ない、トラック島で待ってる》

 

 

弾薬を使い果たしたガルム隊は一足先にトラック島へと向かった。

 

 

 

「終わったな………これでMOは解放されたか」

 

 

 

それを表すかのようにスコールが晴れ、敵空母機動部隊も珊瑚諸島から水平線の彼方へと去っていく。

 

 

 

「これで暫く肩の荷が降りる。吹雪、早くトラック島へ行こう」

 

「はい。では皆さん、このままトラック島へ向けて針路を取ってください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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