艦隊これくしょん 異界の不沈戦艦召喚   作:明日をユメミル

28 / 34
第26話

珊瑚諸島での戦いを終えて、損害を負いつつも第5遊撃部隊はトラック島へと近付いていた。

 

 

「見えたネ!」

 

 

先導役の金剛が指差した方向に、島が見える。

 

 

 

「あれがトラック島……」

 

「只の島にしか見えないな」

 

「て言うか、あんな島に本当に前進基地があるんですか?」

 

 

 

海上から見えるトラック島は海に浮かぶ只の島にしか見えず、とても基地があるようには見えなかった。

 

 

 

「FS作戦遂行のための基地ネ。他の艦娘達や国防軍もUS NAVY fleetもmoveしている頃でス!それに陸奥が言うには、彼処にはとっておきの新鋭艦が待っているんですヨ。しかも2隻も居るらしいヨ」

 

「新鋭艦?」

 

「聞く処によると1隻は強力な攻撃力を持った戦艦、もう1隻は紀伊とも深い繋がりがあるみたいデス」

 

「俺と?だが他の鎮守府に知り合いなんて居ないぞ」

 

「アレ?長門から聞いてませんカ?」

 

「何を?」

 

「おかしいですネ~、紀伊には長門から話すと聞いてますケド」

 

「俺は何も聞いちゃ居ない」

 

「?」

 

 

 

一抹の疑問を抱きつつ部隊は警戒ラインを越えて、遂にトラック島へと到着。

 

 

 

「此処が夏島デス」

 

 

 

一行が入港したのはトラック諸島最大の島、夏島であった。此処には本土の鎮守府や国防軍とアメリカ海軍の艦艇が入港と停泊可能な港湾設備が整備されており、強力な指揮通信能力や艦隊指揮統制能力を持つ司令部が置かれている。

また、隣の春島には戦略輸送機が運用可能な飛行場も設けられており、国防空軍とアメリカ海軍の飛行隊に空軍の分遣隊が駐留している。

 

 

「凄い設備………」

 

「規模だけで言えば本土の鎮守府や海軍基地並みね」

 

 

入港後、夏島に上がる一行は司令部の建物や工廠の規模に驚愕する。

 

 

 

「第5遊撃部隊の皆さん、お待ちしていました」

 

 

 

そこへ、1人の艦娘が姿を表した。

 

 

「大和型戦艦1番艦『大和』です」

 

 

大和と名乗った艦娘。紀伊はあの太平洋戦争終盤に共に戦い、最後は米・英・仏・伊の合同戦艦部隊6隻と交戦、長門と共に4隻を撃沈し2隻を大破させるも集中攻撃を受け鹿児島灘沖にて壮絶な最期を遂げている。

無論、この世界に来てからの経験から目の前に居る大和にそんな記憶はなく自分が居た世界の大和とは違う存在なのかもしれないと紀伊は思った。

 

 

 

「第5遊撃部隊旗艦、特型駆逐艦吹雪です!」

 

「紀伊型戦艦1番艦の紀伊だ。宜しく頼む」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

 

 

2人と握手を交わす大和。

 

 

 

「それでは早速ですが、損傷を受けた艦の方はあちらの工廠で修理を受けてください」

 

「良かった。翔鶴ねぇ、行こう」

 

「えぇ」

 

 

先の戦闘で損傷した翔鶴は瑞鶴に付き添われ工廠へと向かった。

 

 

「では司令部にご案内します、着いてきてください」

 

 

吹雪達は大和の案内で夏島に設けられた基地司令部へと向かう。

 

 

「それにしてもすごい規模だねぇ。まるで鎮守府じゃん」

 

「はい。此処は南太平洋での反抗作戦に備えて建設された前進基地ですので、規模だけで言えば南太平洋で一番なんですよ」

 

「すごいねぇ」

 

 

北上は辺りを見回すと、工廠や倉庫、兵舎等が処狭しと作られており、時々ジープやハンヴィー、トラック等が頻繁に行き来している。

 

 

「着きました、此処が司令部がある庁舎です」

 

 

たどり着いた処には、鉄筋コンクリートで作られた頑丈な基地司令部庁舎が聳え立っており、周囲には対空機関砲や地対空ミサイル、レーダー車が取り囲むように庁舎を守っている。

 

 

「まるで要塞だな」

 

「一応、地下にも予備の司令部が置かれているので、ある意味では要塞とも言えますね」

 

「流石は前進基地だ」

 

 

紀伊が素直に感心していると、庁舎の中から見覚えのある艦娘が2人、やってきた。

 

 

 

「睦月ちゃん、夕立ちゃん!」

 

「久し振りだね吹雪ちゃん!」

 

「いつから此処に?」

 

「昨日、此処に来たっぽい」

 

「また一緒だね」

 

「うん!」

 

 

久し振りの再開に3人とも嬉しさが湧き出している。

 

 

「皆さんには補給を受けて戴きたいのですが、その前にご紹介したい方が居るのです」

 

 

すると大和は紀伊に視線を向ける。

 

 

「紀伊さん、貴方がよく御存知の方なんですよ」

 

「さっき金剛から聞いた。誰なんだ?」

 

「今、お呼びします」

 

 

そう言うと大和はトランシーバーを使い「どうぞ」と一言、通信相手に向けて合図を送った。

 

 

 

その瞬間、司令部入り口のドアが開き。そのドアの奥に1人の男が立っていた。

 

 

 

「あれ?あの服って……」

 

「紀伊さんと同じ服ネ」

 

 

その男は紀伊と同じ、海上自衛隊の海洋迷彩作業服に身を包み胸にはネームワッペンが縫い付けられ、艦名が書かれたキャップを被っている。

 

 

 

「まさか……いや、間違いない!」

 

 

ネームワッペンとキャップには堂々と『OWARI』と言う文字が描かれていた。そんな名前の艦は紀伊が知る限りでは1隻しか居ない。

 

 

 

「久し振りだな兄さん。あの戦いから退役して依頼か?」

 

「お前は………尾張!」

 

 

そう。目の前に立つその男は、紀伊型戦艦2番艦にして紀伊と並んでモンスターと恐れられた超弩級戦艦『尾張』だった。

 

 

 

「尾張!」

 

 

 

紀伊は早足で尾張の前に立ち、そして堅い握手を交わす。

 

 

「お前も来てたのか!?」

 

「あぁ。つい1ヶ月前にな」

 

「何故連絡を寄越さなかったんだ?」

 

「すまん。兄さんが此処に居るって知ったのが3週間前で、反攻作戦前だったから秘密保持って事で連絡出来なかったんだ」

 

 

 

久し振りの兄弟再会に2人とも会話が弾む。

 

 

 

「紀伊さん弟居たんですね…」

 

「知らなかったネ……」

 

「ミサイル持ちの超弩級戦艦が2隻居たら百人力じゃん」

 

「て言うか、両方とも男なんですね」

 

 

 

第5遊撃部隊の面々は驚きを隠せないでいた。世界最高クラスの51センチ砲を9門を持っている上にミサイルや自動砲を多数備えた超弩級戦艦に弟が居たと言う事実に強い衝撃に開いた口が塞がらない吹雪達。

 

 

「では皆さん、補給を受けてください。ご案内しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

続く




此処で尾張が登場です。いきなりの登場ですが気にしないで下さいね。

皆様からのご感想お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。