艦隊これくしょん 異界の不沈戦艦召喚   作:明日をユメミル

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第30話

紀伊と尾張に工廠へ連れら夕立は、その体の異変について夕張による調査を受けていた。

 

「成る程。もしかしたら、近代化改修の条件を満たしたのかもしれないわね」

 

「近代化改修っぽい?」

 

「えぇ。艦娘と言えど、旧来の装備ではやがて戦力不足となるのは当然。だから新型装備を搭載したり別の艦種になったりする等の近代化改修の必要が出てくる訳なんだけど、それには練度や様々な条件を満たす必要があるの。今の夕立ちゃんは、まさにそれよ」

 

 

夕張の説明に夕立と尾張、紀伊、付き添いの吹雪ら駆逐艦達はざわめきに包まれた。

 

 

 

「夕立ちゃん、もうそこまで行ってたんだ」

 

「でも確かに夕立ちゃんて戦い上手だなって思ってたけど………」

 

「先越されたな吹雪」

 

「うぅ………」

 

「まぁ兎に角、長門秘書艦に報告するからちょっと待ってて」

 

 

夕張は内線電話で夕立の件を報告する。

 

 

「…………分かりました」

 

 

電話を切り再び夕立に向き直る?

 

 

「許可と指示が出たわ。夕立、貴女の近代化改修が正式に決定されたわ」

 

「ぽい……ちょと不安ぽい」

 

「近代化改修って言っても、痛い事をする訳じゃないから心配ないわ。貴女は駆逐艦だからそんなに時間も掛からないし、直ぐに終わるわよ」

 

「………………分かった。やってみるっぽい!」

 

「そうと決まれば善は急げね」

 

 

 

そう言うと夕張は近代化改修の準備に入り、夕立を工廠の奥へと連れていった。

 

 

 

 

 

 

それから数時間後…………

 

 

 

「終わったわよ」

 

 

 

作業が終わり、待機していた紀伊と吹雪達が工廠内に呼び出される。

 

 

 

「見て驚いちゃだめよ」

 

 

 

そう言って工廠内の一角にある部家のドアを開ける夕立。

 

 

 

「ぽい~」

 

 

 

部家の中には夕立の姿があった。

しかし彼女の姿は数時間前とは見違える程となっており、背丈や体つき、肉付きが良く、目付き、顔付きも幼さが無くなり凛々しくなっている。

 

 

「本当に夕立ちゃん?」

 

「まるで別人みたいだな」

 

「夕立っぽいよ」

 

 

殆ど別人となった夕立の姿に駆逐艦達は取り囲む様に集まる。

 

 

「でも、意外だなぁ~。私、吹雪ちゃんが最初に改修を受けるかと思ってたんだけど」

 

 

駆逐艦の中の1人『島風』が呟く。

 

 

「だって駆逐艦の中で旗艦やってるの吹雪ちゃんだけだし」

 

「そう言えば……-確かに……」

 

 

 

その後、騒ぎは一旦収まり普段通り戻るトラック島基地。

 

 

 

「近代化改修か………そう言えば俺らも散々やったよな?」

 

「あぁ」

 

「俺らも近代化改修する時期が来るんだろうな。もしそうなったら、どんな改修を施されると思う?」

 

「そう変わらんと思う。それこそ武装の変更かアップグレード程度だろう」

 

「それじゃ、新世界での現役復帰の時の改修と同じじゃないかよ。なんか詰まらねぇな」

 

 

そう話す尾張。

紀伊も内心では近代化改修を受けたいと思っていた。しかし此処では条件を揃えないと不可能なためもう少し練度を上げるべきかを考える。

 

 

「尾張、俺たちも本格的に練度を上げる必要があるな?」

 

「あぁ。いつまでと同じじゃ前に進めないからな」

 

 

二人はその場で練度向上のため、更なる実戦経験を積む必要があると考えて長門の所へと向かった。

 

 

 

「成る程………確かに近代化改修は戦力強化のためには欠かせない手段だ」

 

「何か任務は無いか?何処かが戦力が足りなから力を貸してくれとか、遠征任務とか護衛任務とか」

 

「…………………この際だ。2人には話しておこう」

 

 

そう言うと長門は真剣な表情で2人に話をする。

 

 

「1時間程前に提督から新たな指示の連絡が入った……………第5遊撃部隊は本日を以て解散とし、吹雪と紀伊、そして尾張は鎮守府に帰投せよとの命令だ」

 

 

突然の話に紀伊は驚きを隠せなかった。

 

 

「いきなりすぎる。態々南の島に行けと命令しておいて、わずか数日で部隊を解散させるなんて」

 

「落ち着け紀伊。実は吹雪だけではなく、蒼龍と飛龍の2人にも帰投命令が下っているんだ」

 

「2航戦の2人もか?どう言う事だ?」

 

「私も分からん。だが提督は以前から深海棲艦の動きについて懸念を示していた。もしかしたら今回の帰投命令もそれが関係している事かもしれん」

 

「だが精鋭の2航戦に戦艦2隻、遊撃部隊1個を解散となれば相当な戦力低下だ。そこまでして何をしようとしてるんだ?」

 

 

 

紀伊と尾張の疑問は尽きなかったが、長門はある推測を話す。

 

 

 

「これだけの戦力を急いで帰投させるとなると、本土で何かが起きるかその兆候があると言う事か…………もしかしたら深海棲艦は本土への直接攻撃を狙ってる……」

 

 

 

それを聞いた2人もそれに同意する。

 

 

 

「あり得るな。そうじゃなかったら作戦前に貴重な戦力を下げるなんて事はしない」

 

「だとしたら兄貴、深海棲艦とも一戦交えるかもしれないぜ」

 

「あぁ。近代化改修の話から凄い事になったな」

 

「取り敢えずは2人も命令に従って鎮守府へ戻ってくれ。杞憂かもしれんが、念には念を入れて万が一に備えてくれ」

 

「分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2日後の早朝………

 

 

「蒼龍と飛龍、追って鎮守府に向かう。その先行隊として偵察と護衛は頼んだぞ」

 

「「「了解!」」」

 

 

岸壁には鎮守府への帰投命令が出された艦娘達が集まっており、その帰還に際して先行して航路安全確保のため吹雪、睦月に加えて最上、そして紀伊と尾張の5人がその任務を受ける事となっている。

 

 

 

「最上、俺もようやく免許取ったぞ」

 

 

紀伊は吹雪と睦月との会話を終えた最上に運転免許証を見せる。

 

 

「免許取ったんだね。おめでとう」

 

「あぁ。ようやく徒歩移動から解放されるぞ」

 

「スゲぇな兄貴。俺も早く免許取らねぇと」

 

「帰ったら車選び付き合うよ」

 

「じゃあ早く仕事を終わらせないとな」

 

 

 

先行隊は最上を主力として出港し岸壁を離れ、一路鎮守府へ向けて進路を取った。

 

 

 

 

しかし、その数分後………

 

 

 

「長門秘書艦!」

 

「どうした」

 

「提督からの秘匿通信です」

 

 

慌てた様子の大淀が長門に1枚の紙を手渡す。

 

 

「『MO攻略を中止し、直ちに全艦は鎮守府帰投せよ』………間違い無いのか?」

 

「はい。通信は2回繰り返されました」

 

「2回同じ通信内容の繰り返しは、国防軍の規定では緊急性の高い場合に行われる………何かあったのかしら?」

 

「分からん。2日前の帰投命令と関係している事かもしれんが………もう一度だけ提督に私から進言する。今ならMO攻略は可能だと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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