艦隊これくしょん 異界の不沈戦艦召喚   作:明日をユメミル

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第5話

(朝か)

 

朝日が差し、光により目が覚める紀伊。重い目蓋を開けて布団からゆっくり起き上がる。

 

 

(ん?)

 

 

耳を澄ますと、外から誰かの話し声が聞こえてきた。

 

 

「あ~……眠い……疲れた…」

 

「姉さん、少し張り切り過ぎなのでは?」

 

「那珂ちゃんも眠い………徹夜はお肌に悪いのに…」

 

 

窓越しに、第3水雷戦隊の面々が歩いているのが見えた。窓を開けて3人に声をかける。

 

 

「よお。徹夜か?」

 

「あ、紀伊じゃん。昨日の夜から哨戒任務でね」

 

「そうそう。お肌が荒れそう」

 

「ご苦労様」

 

「ところで、紀伊さんは其処で何を?」

 

「手続きとかでまだ他の面々の前には出せないらしくてな、此処で数日寝泊まりする事になったんだ」

 

「あぁ……そう言えば長門秘書艦が箝口令敷いてたけど、そう言う事だったんだ」

 

「そう。まぁ早く皆の前に出たいと思ってるよ」

 

「楽しみにしてるよ。じゃあ私達、宿舎に行くから」

 

「おう」

 

 

 

3人はそのまま宿舎がある方向へ歩いていった。

 

 

 

「さて、メシでも喰うか」

 

 

紀伊は自室から出て、工廠に入る。

 

 

「おはよう」

 

「おはよう。朝から大変だな」

 

 

其処では夕張が朝から握り飯片手に作業をしていた。どうやら紀伊の艤装の点検や整備をしていたらしい。

 

 

「大変だろ?」

 

「まぁね。大和型に比べれば工数は多いわ」

 

「ところで俺のメシは?」

 

「そこの冷蔵庫にあるから好きなの食べて」

 

 

そう言って冷蔵庫を指差す夕張。

冷蔵庫のドアを開けると、レトルト食品やら惣菜やら、軍用の缶詰めがある。その中から缶詰めを2つ取り出し封を切る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を終た紀伊にはやる事はない。

 

 

「暇だな」

 

 

自室で寝転がりながら時間が過ぎていくのを待つ。一応、紀伊は諸々の手続きが終わって鎮守府配属が決まるまでは待機と言う事になっている。そのため工廠から出る事は出来ず、鎮守府内を歩き回れないため何もする事が無いのである。

 

 

「…………………」

 

 

ひたすらに天井の模様を見つめ、時計の秒針の音を聴きながら心を無にする。

 

 

 

そうしていると、夕張がやって来た。

 

 

「紀伊」

 

「どうした?」

 

「長門秘書艦から電話よ」

 

「?」

 

 

 

そう言われ工廠内にある内線電話を手に取る。

 

 

「俺だ」

 

『諸々の手続きが終わった。直ぐに講堂へ来てくれ』

 

「早いな。昨日今日だぞ」

 

『提督が尽力してくれたお陰で早く片が付いた』

 

「優秀だな、お宅らの提督は」

 

『我々の自慢の提督だからな』

 

「で、この後はどうする?」

 

『鎮守府の面々と顔合わせをする必要がある。1800時に講堂に来てくれ』

 

「了解」

 

 

電話を切ると、夕方の顔合わせに備えようとするが、ある事に気付いた。

 

 

 

「正装なんて持ってないぞ」

 

「作ってあげようか?」

 

 

電話の内容を聞いていたのか、夕張が巻き尺を手にしていた。

 

 

「聞いてたのか?」

 

「まぁね。此処じゃ着任した新人の子達には、全員が着任をお祝いするのが伝統みたいなものだからね」

 

「歓迎会って訳か。頼めるか?」

 

「勿論。デザインさえ言ってくれれば、後は私が直ぐに作るから」

 

「じゃあ、今からデザインを言うからその通りに作ってくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間が経過し、歓迎会の時間直前となった。

 

 

 

「似合うじゃない」

 

「中々、しっくりくるな」

 

 

服を作り終えて試着をしている紀伊。

紀伊がリクエストしたのは海上自衛隊の第2種夏服と制帽で、それを夕張がサイズを調整しながら妖精達と制作し、今しがた完成したのであった。

 

 

「やっぱり大勢の前に出るのにこの服は丁度良い」

 

「デザインが海軍の夏用制服に近いから助かったわ」

 

「ありがとう夕張。じゃあ行ってくる」

 

「行ってらっしゃいね」

 

 

そう言うと紀伊は工廠を出て、真っ直ぐ講堂へと向かった。夕張から手渡された講堂までの地図を頼りに歩き、直ぐに講堂がある建物へとたどり着いた。

 

 

 

「まるで体育館だな」

 

 

 

見た目は学校の体育館そのものに見える。入り口へ向かうと、そこには陸奥が立っていた。

 

 

 

「待ってたわ」

 

「俺を?」

 

「えぇ。長門から案内するようにって頼まれたの」

 

「案内?」

 

「長門、皆に顔合わせさせるならしっかりやろうって張り切っちゃって」

 

 

そう言いながら紀伊を体育館の真横の奥まで案内すると、鉄製のドアを開ける。

 

 

「来たか」

 

 

そこには長門が待ち構えていた。

 

 

「此処から壇上に上がれる。皆がお待ちかねだ」

 

「今更ながら緊張するな」

 

「そんな格好してきてか?」

 

「俺なりの飾りっ気だよ」

 

「充分だ」

 

 

促されるまま壇上へ上がる階段を登ると、ステージ袖へ立ち、其処で長門は待機するよう言いステージへと出る。

 

 

「先も伝えた通り、本日付けで急遽当鎮守府へ配属となった者を紹介する。今回配属となった者は提督から大きく期待を掛けているルーキーだ。是非とも皆でよろしくしてやってくれ」

 

 

そう前置きをしてから紀伊はゆっくりとステージへと出た。

 

 

(結構居たんだな此処)

 

 

ステージ下のコートには大勢が集まっている。皆、ステージ袖から現れた紀伊を見て仰天していた。

 

 

(まぁ当然の反応だろうな)

 

 

昨日、長門との会談で艦娘は名前の通り基本的にさ女性なのだが、目の前に現れたのは男であり、しかも海軍の士官用夏服と制帽を着て現れたのだから無理もなかった。皆一様に「大男だ」、「士官候補生?」、「提督の息子さん?」、「新しい部署の人かな?」等と色々と小声で話している。

 

 

「ゴホンッ!紹介しよう。本日付けで配属となった新米の」

 

 

長門が咳払いをして皆を黙らせて自己紹介を促すと、紀伊は2歩前に出て海上自衛隊式の敬礼で自己紹介を始めた

 

 

「紀伊型戦艦1番艦の紀伊だ。こんな大男だが皆と肩を並べて戦える様に精進する。どうかよろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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