歓迎会の翌日、急きょ参加する事となった鎮守府定期演習へ紀伊は、会場となる鎮守府沖の海上に居た。
「よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いしまース!」
今回の演習に於ける編成で紀伊はA艦隊の配置となり、共に行動する事となったA艦隊旗艦を勤める金剛型戦艦1番艦『金剛』と握手を交わす。
「半年振りの定期演習……腕が鳴ります!」
「はい。榛名、頑張ります!」
「既に向こうの情報は手にしています。今回こそは前回のリベンジを果たします!」
金剛型の姉妹艦である『比叡』『榛名』『霧島』もやる気を見せている。
「霧島、相手の編成はどうなっていますカ?」
「はい。B艦隊は第1、第2航空戦隊を中心とした空母機動部隊となっており水雷戦隊に重巡多数が配置されています。対する我々A艦隊は私達金剛型を中心に戦艦4隻に紀伊さんを加えた5隻、拠点防空用に龍驤さんと鳳翔さんを中心とした航空戦隊に高雄さんを中心とした重巡部隊6隻、護衛役の2個水雷戦隊となっています」
「向こうは機動力中心、こちら防御中心の編成か。この演習の内容は?」
「今回の定期演習は前回と同じ、我々A艦隊は鎮守府を自軍の拠点と見立て、攻略を目指すB艦隊からの攻撃から守り抜くと言う内容になっています。前回はこちらの火力不足や配置の不備から手痛い敗北を受けています」
「となると、相手が航空機を中心とした航空戦力を展開させる前にこちらが向こうを見つけて攻撃できればベストですネ」
つまりは先手必勝、出鼻を挫く事が出来ればA艦隊に勝ち目はある。
「だったら俺から提案があるんだが」
そこへ紀伊が挙手をした。
「聞きましょウ」
「先手必勝が今回の演習の最大の鍵になるなら、その相手を見つけての先手必勝の任は俺に任せてくれないか?」
「単独で…と言う事でしょうか?」
「そうだ」
「それは危険デース!下手をしたら向こうからの集中攻撃を受ける事に」
「それが良いんだよ。むしろそれが俺の能力はそれで生かせるんだ!」
そう言うと紀伊は自身の拳と主砲を撫でる。
「まぁ、任せてくれ。必ず向こうの出鼻を挫いてやる」
金剛が紀伊の眼を見た。彼の眼から戦意と共に何処か冷静な雰囲気を感じ取る事が出来た。彼になら任せても心配は無いと言う信頼感が湧き、金剛は決断を下した。
「その言葉、信じてモ?」
「あぁ」
「分かりマシた。紀伊、youに先手必勝の任を任せマース!」
「ありがとう。次いでだが、龍驤と駆逐隊1個を貸してくれないかが」
「勿論!Hey龍驤!暁!come on!」
「なんや!」
「どうしたの?」
金剛の呼び掛けに龍驤型空母『龍驤』と暁型駆逐艦『暁』がやって来た。
「2人にお願いがあるのデース」
金剛は龍驤と暁に例の件を伝える。
「成る程な。で、ウチと第6駆逐隊が紀伊の手伝いをすればエエ訳やね?」
「そうデス」
「任せとき!ウチもリベンジしたかったんや!」
「私達もよ!第6駆逐隊も此処で実力を見せとかないと、輸送任務ばかりに駆り出されてばかりじゃつまらないもの!」
「決まったな」
A艦隊の行動指針が決まり、遂に演習開始のGOサインが出された。
『各艦隊、演習開始せよ!』
続く
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