ありふれない能力二つ持ちが最強生物へ   作:悪魔の力

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激突

 

 

 ──カイドウが激昂してから更に五日。

 

 それからもカイドウは攻略を続け、様々な罠に引っ掛かりながらも、再びゴーレム騎士達の部屋へと辿り着いていた。

 途中に立ち塞がる底に槍の敷き詰められた落とし穴、溶解液、粘着液、転がる大岩、サソリの麻痺毒等の実に多彩な罠の数々が存在したが、怒りを見せたカイドウにはあまり問題にはならなかった。

 

 槍は尽く砕き、溶解液は溶かされながらも耐えてより強靭な皮膚となり、粘着液は足の力で意に介さず、大岩は破壊しまくり、麻痺毒は撃ち込まれながらもサソリゾーンを離脱。

 その後、一時動けなくなるもすぐに耐性が出来上がり、時間稼ぎにしかならなかった。

 

 故にカイドウを一番苦しめたのは、一定時間ごとに迷宮全体が組み変わるこの迷宮の仕組みのあると言えるだろう。この仕組みのおかげでゴールに辿り着けず、同じ罠に掛かる事も珍しくなく、合計で九日以上の時間が掛かってしまったのだ。

 

 因みにこの間に、ハジメのビブルカードが少しずつ消えていっているのだが、カイドウは確認していない為気付いていない。

 理由としては、迷宮の楽しさと途中からの苛立ちが頭に居座っている事。それから、幾ら怪しいと言っても戦わせる為に召喚したなら、もう暫くは準備期間に当てるだろうという楽観的な思考をしてしまっている事。

 迷宮に入る前は大丈夫だったのが、その思考に拍車をかけている。何だかんだ言おうとカイドウも、現代日本の戦いをしたことのないぬるま湯に浸っていたということだろう。

 

 

 何はともあれカイドウは、つまらない罠だらけで退屈していた為、更に怒りを募らせていた。故に仕掛けられている罠は文字通り粉砕しながら進み続け、再びゴーレム騎士達の部屋へ着いたのだ。

 

 「もうお前らに構うつもりはねェんだよ───!!」

 

 ゴーレム騎士達が窪みから出て襲い掛かってくる前に、素早く部屋を抜けて扉の向こう側へ行く。すると後ろからガシャガシャと音が迫ってくるのを聞き取ったカイドウが、後ろを振り向く。

 

 「──って、お前らも来んのか!?……お前らの相手なんざ飽きてんだよ!こっちはァッ──!!」

 

 部屋を超えて追いかけて来るゴーレム達に苛立ちながらもツッコミつつ、もう一度叩き潰そうと金棒を構えたところで、ゴーレム達が天井すらも進む道として来ていることに気付く。

 

 「あァ?なるほどな、どっかから誰か操ってんだな?しかも重力まで操作して───ッ!?」

 

 天井を進むゴーレムに疑問を持つカイドウだったが、すぐにそれが何者かに操作されているのだと判断した直後──。

 カイドウの未来視に写った光景に思わず言葉を詰まらせ、ニヤリと笑って頭上を見上げる。

 

 「!!!」

 

 ボゴオォォォ────ッ!!!

 

 その頭上からは、赤熱化している巨大な塊が凄まじい勢いで落下してきており、回避は間に合わないし、回避する気もない。

 上等だとばかりに笑みを浮かべたまま、カイドウはその攻撃を真正面から受け止め、足場のブロックも破壊して地面の底へと埋もれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あちゃ~、もしかして終わっちゃった?」

 

 カイドウに巨大な塊が直撃し、埋もれていった後。

 

 人のように流暢に言葉を話すこれまた大きなゴーレム騎士が、カイドウの埋もれた穴から姿を現す。そして、甲冑の頭部分を右腕で擦りながら、穴の底を見下ろしている。

 その姿は、全身甲冑に二十メートルはある全長。右手はヒートナックルの如く赤熱化しており、先ほどカイドウを攻撃したのはこの右手による一撃だ。左手には鎖がジャラジャラと巻き付いていて、フレイル型のモーニングスターを装備している。

 

 「でもこの程度の不意打ちをどうにか出来ないんじゃ、アレと戦うのは無理だしなぁ〜。ここまで来た人間は初めてだけど、これが限界って事かな♪」

 

 「おい……!!誰が限界だと?」

 

 「!……手応えはバッチリだったのに。生きてたんだぁ〜」

 

 一人納得していたゴーレム騎士に、低い声で語り掛けるカイドウ。それには素直に驚いた素振りを見せるゴーレム騎士を尻目に、自分の上に乗った瓦礫を殴り飛ばし、焔雲に乗ってゆっくりと地表へ出ていく。

 

 

 「アァ〜〜痛ェ。──痛ェな。死にそうだったぜ。───ウォロロロロロォォ!!!」

 

 

 「!!その状態でよく生きて──っていうか、何で笑ってるの!?」

 

 獰猛な笑みを浮かべて出てきたカイドウは、頭を含めた体中のあちこちから血を流し、少し焼け焦げたような傷もついていた。

 そんな状態でも笑い声を上げているカイドウに、色々と突っ込むゴーレム騎士。突っ込まれたカイドウは、そんな事は知らぬとばかりに口を開いた。

 

 「──いずれ最強生物になる男(・・・・・・・・)……!カイドウだ!!」

 

 「無視!?………まぁ、いっか。はじめまして〜。私がみんな大好きミレディ・ライセンちゃんだよぉ〜」

 

 「………何だと?ミレディ・ライセンと言やァ、反逆者の一人じゃねぇか。そんな昔の人間……今は、ゴーレムがいるって事は憑依の類の魔法でも使ってんのか?」

 

 「!……そうだよ〜、魂に関する魔法を使ってここにいるってわけ♪」

 

 戦う前の名乗り。それをお互い行った後で、カイドウは疑問に思った事を口にし、自分なりの推測を並べて問い掛けた結果、ミレディは肯定する。

 

 

 「なるほどな。…さて………疑問は解けた。そして生憎とおれには、お前と長々と遊んでやる気もねぇ。──早めに終わらせるぞっ!!!」

 

 

 生じた疑問も解けた事で金棒を構えるカイドウは、ミレディ相手に早く終わらせると言う。それはつまり、早く終わらせられるほど実力差があると言っているのと同じであり、ミレディが挑発として受け取るには充分だった。

 怒った様に低い声をだしながら右手を振りかぶり、大きな灼熱の拳をカイドウに向けて放つ。

 

 

 「──生意気だなぁ〜。もう一度潰れちゃえ〜〜っ!!!」

 

 

 迫る灼熱の拳。その直線上に突っ込んでいたカイドウは、少しも焦ることはなく右手を構えて振り抜いた。

 

 

 雷鳴八卦(らいめいはっけ)ェッ!!!」

 

 「!!!」

 

 

 

 

ドォンッ!!!

 

 

 「くぅ~〜〜!!!」

 

 「ウォロロロ!!!」

 

 激突した、互いの右手による一撃。一応の拮抗はしているが、ミレディが必死な声なのに対してカイドウは笑っており、余裕がある雰囲気だ。そしてそれを肯定するかのように、カイドウが徐々に押し返していき、弾き飛ばす。

 

 「──うそぉっ!!パワーでゴーレムが負けるなんて───っ!!」

 

 「まずは一発!!」

 

 「…やるねぇ〜。でも、無限に再生する五十体の騎士達と私。それを相手に勝ってるっかなぁ?」

 

 「面白ェじゃねぇか…お前…!」

 

 右拳を弾かれ態勢を崩したミレディに接近したカイドウが、金棒を頭上から両手で持って振り降ろし、一撃を入れる。それによって頭部分の三分の一が砕けるが、すぐに再生を始めたミレディは余裕を感じさせる声で挑発する。

 挑発を受け取りつつ、襲い掛かってくる騎士達を叩き潰していくカイドウは、鋭くミレディの方を睨みつける。

 

 (再生には絶対ぇ魔法使ってるな……。再生限界を超えて…って言いてぇが、そこらは対策してるだろう。…とはいえ、弱点無しな訳じゃねェ。ゴーレムなら操る為の核は必ず存在する。まず潰すなら………頭全体か、心臓の位置か……)

 

 「頭か……心臓の位置だな?お前の弱点は」

 

 「!!さぁ〜、どうかな?」

 

 襲い来るゴーレム騎士達を金棒で粉砕しつつも思考を回し、ミレディの弱点の位置を探す。人型のである事から頭か心臓の位置かと考えたカイドウは、半ば確信しながら問い掛ける。

 当然正直には答えないミレディだったが、見聞色で動揺はしっかりと感じ取っているので、たとえ答えずとも正解だと教えられたに等しい。

 

 

 「隙あり〜。私にも注意しなきゃダメだよ〜」

 

 

 カイドウが確信を持って攻めようとしたのを読んだかのように、ミレディはモーニングスターを手元で振り回し、投擲する。

 そのモーニングスターが迫る中、群がるゴーレム騎士達の剣や槍を左腕や体で受け止め、金棒で殴り飛ばしていたカイドウは、至近距離にいた騎士を纏めて吹き飛ばし、振り返りつつ両手で金棒を構える。

 

 その姿は振り返るという行動こそ追加されたものの、さながらバッターボックスに立つバッターのようで、飛んできたモーニングスターを打ち返した。

 

 「なっ!!キャアァ───!!!」

 

 

 「これが本当の隙ありだ!!──雷鳴八卦(らいめいはっけ)!!!!」

 

 「!!!!」

 

 打ち返されたモーニングスターは真っ直ぐミレディの腹目掛けて飛んでいき、驚きで一瞬硬直したミレディの腹に直撃した。

 そこへ、モーニングスターの後ろに追随していたカイドウが顔面の前に接近し、ミレディの斜め上から流れるように右手の金棒を叩き込んだ。

 

 その衝撃で吹き飛び、地面に叩き付けられるミレディだが、無数の騎士達は止まることはなく、空中にいるカイドウに剣を振り降ろした。

 

 「──っ!!」

 

 当然反応したカイドウは左腕で受け止めたが、反動は殺せずにミレディから距離を離される。

 その間に粉砕された頭と亀裂の入った腹とモーニングスターを再生させながら、ミレディはゆっくりと上体を起こして立ち上がる。

 

 

 「いやぁ~、君の一撃一撃が強すぎるよ〜。でも、そんなんじゃあいつまで経っても私は倒せないよ〜?」

 

 

 

 金剛鏑(こんごうかぶら)ァ──!!!」

 

 

 「──っ!!!」

 

 

 砂煙の中。ミレディの言葉を挑発と受け取ったカイドウは、返答代わりの飛ぶ打撃で今度は心臓の位置を攻撃する。

 直撃を受けたミレディは後ろに飛んでいき、背後の壁に激突する。

 

 「いやぁ~、危ない危ない」

 

 壁に埋もれたミレディは、危ないと言いつつも仕草からはダメージがある様には見えない。しかし、胸の装甲が剥がれ、その中に更に砕けた装甲が見える。そして、中には罅の入った丸い球体がほんの少しの間だけ覗き見えていた。

 

 その光景を視界に捉えたカイドウは、ニヤリと笑って口を開く。

 

 「──フッ。どうやら……弱点は見えたみてェだな…」

 

 「あはは、そうだね〜。バレちゃった!でも……その状態で君はこれに耐えられるかなぁ〜?」

 

 「?……!!」

 

 弱点が割れたからこそ、相手を仕留めるための一手を放とうとするミレディ。その自信満々の様子に疑問を覚えるカイドウだが、未来視で捉えた光景に驚いた。

 

 その攻撃が、普通なら躱せない類の攻撃だったが故に。

 

 よって、カイドウの選択肢は真正面から受け止めるか、“鏡世界”に逃げ込むかだった。しかし、カイドウにとって逃げるとは、特別な意図があった時のみであり、正面戦闘で逃げるなどカイドウにとってはあり得ない。

 つまりカイドウは、最初から受け止めるという選択しか取らないのだ。

 

 「さぁ、見事凌げるかな?」

 

 「!!!!!」

 

 ゴゴゴゴゴ──ッ!と天井が揺れ始め、終いには部屋全体のブロックが天井から外れ、轟音を響かせながら下へと自由落下してくる巨石群。しかもある程度軌道を操れるようで、カイドウに密集する様に落としてきた。

 

 「ぐっ……!!おぉ───ッ!!」

 

 これには堪らずカイドウも、歯を食いしばって呻き声を出しながら巨石の山に埋もれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う~ん。流石に耐えられなかったのかな?でもこれくらい耐えられないと、あのクソ野郎には勝てないしねぇ」

 

 うず高く積み上がった瓦礫の山を眺めながら、一人呟くミレディ。その言葉は相手を試しているような感じに聞き取れ、駄目かと見切りをつけたように聞こえる。

 

 それは、カイドウを苛つかせるには充分な言葉だった。

 

 

 「………ふざけんじゃねぇぞ───!!」

 

 瓦礫の下でミレディの失望の声を聞いたカイドウは、苛立ちを声に出しながら龍形態へと変化する。

 広い空間であるここでなら迷宮内でも龍になれる。そして、元々長く遊ぶつもりのないカイドウは、弱点も分かっている今一気に勝負をつける為に、変化したのだ。

 

 「…あのクソ野郎ってのは気になるが……そりゃァ置いといて、だ。その失望だけは頂けねェなァ…。まだ少しも本気じゃねぇおれ相手によォ───」

 

 「……何…その姿……?」

 

 「ウォロロロォ……!!生憎とおれは、普通の人間じゃなくてな。“青龍”ってやつだ」

 

 龍になったカイドウとミレディでは、宙に浮いているカイドウがミレディを見下ろす形となる。

 その異様な姿で見下されたミレディは、この戦いが始まって初めて恐怖を感じているのが分かるほどに、カイドウへ問い掛ける声は震えていた。

 

 「お前は強ェし、戦ってるのも楽しいが……。あんまりダラダラと愉しむつもりはねぇんだ。──終わらせてやる!!」

 

 「っ!?ヤバッ!!!」

 

 そんなミレディに対して強いと認めつつも、終わらせると啖呵を切り、開けた大きな口に炎を収束させていく。

 その炎の収束がヤバいと本能で察知したミレディは、自分達の周囲に居る五十体のゴーレム騎士の全てを自分とカイドウの間に立たせて壁にする。それを見たカイドウは、知った事ではないとばかりに無視して頭を仰け反らせる。

 

 

 「───“熱息(ボロブレス)”!!!!」

 

 「!!!!」

 

 

 

 真上から正面へ戻されたカイドウの口から放たれた熱線が真っ直ぐに飛んでいき、途中に居た脆弱なゴーレム騎士達の全てを容易く消し飛ばして、ミレディまで到達する。

 そして、ミレディゴーレムの胴体部分のド真ん中に命中したブレスは、ほんの一瞬抵抗した装甲ごと核を消滅させ、ゴーレムの全身全てを吹き飛ばし、背後の迷宮の壁をも貫いていった。

 

 「ウォロロロロロロォ──!!このおれに舐めた真似しやがるから、そういう目に合うんだ」

 

 吹き飛んだミレディを見ながら高笑いするカイドウは、浮かれているように視えて油断なくミレディゴーレムを見据えて、消えた事を確信する。

 

 「完全に消し飛んだか……。今際の言葉は聴き忘れたが…ミレディ・ライセン。その名前は覚えておいてやる。………さて、何かクリア報酬的なのは───、ん?」

 

 ミレディを倒した以上、何らかのクリア報酬があるだろうとカイドウが周囲を見渡していると、怪しい所が二つ(・・)あった。

 

 一つは、光を放つ壁の一角だ。先程までは光っていなかった事を考えると、その場所がクリアに関わるのだろう。

 

 それからもう一つは、“熱息”が貫通していった先。つまり厳密には迷宮の外であり、更に下に行った場所。其処には、明らかな人工的な空間が広がっていた。

 そんな場所に何故か心惹かれたカイドウが、龍のまま長い穴を進んで、ライセン大峡谷の最奥部へ辿り着いた──その時。

 

 「ちょっと!ボクの封印されている部屋(・・・・・・・・・・・・)に攻撃して、どういうつもり!?」

 

 ブレス通った穴の左側。奥に空間が続いているであろう場所から、咎めるような女性の声が響き、やがてその姿を表す。

 

 現れた女性は、紫色の髪をサイドテールで結び、少し苛ついた表情をしつつも可愛らしい顔立ちをした一人の少女だった。

 

 「!………驚いた。こんな所に女がいるとはな」

 

 こんな場所に他者が居る事に驚いたカイドウは、静かにその少女を見つめる。

 

 

 この二人の出会いこそが本当の始まりであり、ここから物語が大きく動き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

オリ主カイドウが築く百獣界賊団について。界賊団の構成員は、どちらがいいですか?

  • カイドウ以外全員が女性のハーレム界賊団。
  • ハーレムだが、男性も加えた界賊団。
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