星になったヒーロー 作:日暮 蛍
巨大隕石騒動から3日が経った。
「低い。」
自宅でベッドに寝っ転がりながら携帯端末の画面を不満そうに眺めているアズマ。
表示されているのはC級ヒーローのランキングだ。
サイタマの順位が342位から5位まで上がっているのだ。
そこだけ見れば良い結果なのだが、隕石を破壊した功績にしてはかなり低い評価だとアズマは思っていた。
「協会の人達の目が節穴すぎる。ちゃんと正しく評価してよぉ。」
携帯端末を置きベッドの上で悶えるアズマ。
しばらくすると落ち着いたのか起き上がった。
「こういう時こそファンレターだよね。」
思い立ったら即行動。
アズマはレターセットとペンを取り出して机に向かい熱心に書き綴る。
◆◇◆◇◆
何度も書き直した末にどうにか3枚に収めたファンレターの封筒を待ってサイタマの家の玄関前でアズマは悶々としていた。
「後は扉の隙間にさすだけ。後は扉の隙間にさすだけ。後は扉の隙間にさすだけ。」
何度もそう自分に言い聞かせるが、手紙を持つ手は中々動かない。
「いつまでそうしているつもりだ。」
「びゃあ!!?」
玄関の扉を開けたジェノスに驚いたアズマはその場で尻餅をついた。
「ジェ、ジェノス君だったか。びっくりした。」
「サイタマ先生に用か? 先生ならつい先ほどパトロールに出かけてしまったぞ。」
「用は用だけど、ファンレターを渡したくて。...渡してもらってもいい?」
「預かろう。」
手紙をジェノスに渡したアズマはようやく立ち上がる。
「良かった。用はそれだけ、なんだけど、そのさ。」
「なんだ?」
「...サイタマ様の様子、どうだった?」
「いつも通りの様子だ。...隕石の事か?」
「うん。」
サイタマのおかげでZ市は救われた。
アズマが可能な限り隕石の欠片を粉微塵にしたおかげで二次災害は最小限に抑えられたが、それでも完全に無くせた訳ではない。窓ガラスが割れ屋外にあった車などが壊れてしまった。
死人は出なかったのは幸いだったが、それでも被害が出てしまえば不満も出てしまう。
一部の人達がサイタマに対して悪く言っているのをアズマとジェノスは知ってしまったのだ。
「サイタマ様、あの悪評知ってる様子だった?」
「おそらく知らないだろう。」
「ならそのままの方がいいよね。」
アズマの気分は落ち込んだままだ。
「どうした辛気臭い顔をして。」
「不甲斐ないなぁっと思ってね。私、任せたぞってサイタマ様に言われたんだよ。なのに、結果はこれ。私の責任なのに、サイタマ様が悪く言われるのはやだよ。」
「サイタマ先生はお前を責めるような器の小さな人ではない。それどころかお前のおかげで町への被害が減らせたと誉めてたぞ。」
「え?! サイタマ様が。」
アズマは片目を見開き、感動で瞳を潤ませる。
「今回の件は俺も自分の力不足を実感した。俺はより一層更なる力を得る為にサイタマ先生から与えられた課題を一刻も早くこなすつもりだ。」
「課題?」
「S級10位以内に入れとの事だ。」
「おぉ。なかなかハードだね。」
ジェノスは隕石の件で最下位の17位から16位に上がっている。ジェノスもまたなかなか険しい道のりになりそうだ。
「なら、私も頑張らないと。私もS級になった方がいいかな?」
「なっておいて損はないだろう。」
「だね。ならやるよ! 私も自分に課題をかける! 目指せS級! 早速怪人を倒しに探しに行くよ。長々とごめんねありがとうジェノス君。またね!」
「またな。」
ジェノスと話したおかげで気持ちに整理がつき前向きになったアズマはジェノスに別れを告げて軽い足取りで怪人を探しに駆けていった。
◆◇◆◇◆
「おい聞いたか。凶人が大量の怪人の生首を刈ったそうだぞ。」
「えっ怖。」
その結果、また周囲に恐怖を与えることになってしまったがアズマはこれっぽっちも気にしなかった。