星になったヒーロー 作:日暮 蛍
「...嘘でしょ。」
瓦礫から出て改めて空を見上げれば巨大な戦艦は滞空していた。ミサイルが撃ってくる様子はないがまたいつ撃ってくるか分からない。
「...宇宙人の侵略?」
昔見たSF映画の冒頭シーンみたいだなと思ったアズマはぽつりと呟き、そして口角を上げた。
「侵略者だったら、強くて残酷なのかな?」
きっとそうだ。A市を問答無用で破壊した存在が慈悲深く優しいわけがない。
アズマは戦艦の元に向かおうと
「! 人?!」
したが、近くから人の呻き声が聞こえてきた為すぐに声がした方へと駆け出す。
「聞こえますか?! 誰かいますか?!!」
大声を出せば下の方から助けてくれと言う声が聞こえてきた。アズマは急いで、かつ崩れないよう慎重に瓦礫をどかして埋もれていた生存者を救い出した。
「しっかり!」
「あ、ありがとう。」
ひとまずこの人を助けようとし、ひとまず何故かミサイルを受けたはずなのに損傷が無いヒーロー協会本部へと向かおうと生存者を背負って体に響かないよう揺れを極限まで減らして走った。
◆◇◆◇◆
「どういう状況ですか!?」
ヒーロー協会本部に着き生存者を職員に任せた後、誰にも気づかれないうちにアズマは着替えて凶人になりオペレーター室へと向かった。
「凶人?! どうしてここに。」
「たまたま近くにいたのです。それより、上の戦艦をどうにかしないと。S級ヒーローはどうしているのですか? 来てるはずですよね。」
「えっと。今は、その。」
職員は答えられない。何が起きたのか職員達もよく分かっていないからだ。
突然外が壊滅してしまい軽いパニック状態になっているのかオペレーター室は慌ただしい雰囲気だ。
「...答えられないなら構いません。空の戦艦はS級ヒーローに任せます。私は少しでも生き残っている人を探し出しここに連れて来ます。避難場所の確保と治療の準備を済ませておいてください。いいですね!」
「は、はい!」
「生存者の場所は分かりますか?!」
「すぐにA市全体をスキャンします。お待ちください。」
「急いでください。」
生存者の居場所が判明するまでの間、凶人はモニター画面を見る。
A市損壊率99.8%。
復興が不可能なまでに破壊され尽くした。絶望的な状況だ。
「凶人! 生存者の居場所が判明しました!」
「了解! 直ちに向かいます!」
それでもヒーローとして自分に出来る事をしようと凶人は送信されてきたデータを頼りに生存者を助けようと動いた。
◆◇◆◇◆
「この人で最後だ。」
「よし、運ぶぞ。」
それから凶人はひたすら瓦礫をどかして生存者を助け出してヒーロー協会の持つ救護用の車両に乗せていく。
その途中で騒動に気がついてやって来てくれた他のヒーロー達とも協力をして遂に最後の生存者を見つけ助け出した。
「ありがとう凶人。君が瓦礫をどかしてくれたおかげで迅速に生存者を助ける事ができた。」
「こちらこそお礼を言わせてください無免ライダー。あなたのような素敵なヒーローがいたからこそ生存者の方々が安心出来たのです。」
共に手伝い唯一積極的に話しかけてきてくれたC級ヒーロー、無免ライダーとこうして少しだけ落ち着いて話せるくらいの余裕が出来た。その為、凶人は空の戦艦に再び意識がいく。
「無免ライダー。後は任せてもいいですか? 今からあの戦艦の方に行きます。」
「え?! 危険だぞ。」
「承知の上です。それに、私がいては皆さんが落ち着けませんので。無免ライダーさん達が付き添ってあげてください。」
「...分かった。くれぐれも気を付けてくれ。」
「ありがとうございます。」
他にも何か言いたい事があったのだろうが、それを何とか飲み込んだ無免ライダーは凶人の言う通り生存者達を守る事を優先する事にした。
車両がヒーロー協会本部へと向かって行くの確認した後、凶人は戦艦がある方へと跳んで行った。
その途中で戦艦が傾き落ちてきたので巻き込まれないよう慌てて引き返した。