星になったヒーロー 作:日暮 蛍
怪人が出現した。
「大きい。」
見上げるほどの巨人。この怪人のせいで町が1つ消し飛んでしまった。
どうやって殺そうと見上げて観察している時、アズマは見つけた。
「サイタマ様!」
アズマが陰ながら応援しているヒーロー、サイタマが巨人の肩にいた。何をしているのかと様子を見ている時
「兄さあああああああああん!」
轟音とも言える巨人の声が周囲に鳴り響く。
思わず耳を塞ぐアズマ。
その直後、巨人が動いた。何かを地面に叩きつけた後、それに向かって攻撃していく。しばらく地面を殴っていたが、段々と殴る勢いが無くなっていき地面に巨大なクレーターが出来上がった頃には巨人の動きが止まった。
その直後、巨人に向かって何かが飛んできた。その姿をアズマにははっきりと見えた。
「サイタマ様!」
巨人に地面に叩きつけられ猛攻を受けてもなお無傷のサイタマは巨人に向かって強烈な一撃を与える。
「やった!」
今回も一撃で怪人を倒したサイタマを見て喜ぶアズマ。だが、その喜びは焦りへと変わる。巨人が倒れる方角に町があるのだ。
アズマは思った。あれ? これまずくない? と。
町が巨人の下敷きになれば壊滅状態は免れない。そしてもし町が壊滅したのがサイタマと思われてしまえば間違いなくサイタマへ非難が殺到する。
「まずい!」
それを危惧したアズマは動いた。
足に力を込め巨人が倒れるよりも前に速く跳んだ。巨人の頭上まで跳んだアズマはどうやって服の中にしまっていたのか大剣を取り出す。
「せぇの!」
巨人に向かって大剣を振ったアズマ。骨ごと叩き切っていき切り分けた先から町のない方へと蹴り飛ばしバラバラになった巨人の肉体のほとんどが巨人の作ったクレーターの中へと入っていく。その作業を何度も何度も繰り返していき、とうとう巨人の足元まで到達した。
「まに、間に合った。」
何とか町の壊滅を阻止したアズマは安心感から大きく息を吐いた。
「はっ!」
が、何かに気がついたのか大慌てでその場から離れ身を隠す。物陰から先ほどまでアズマがいた場所を見ているとサイタマがやって来た。周りを見回していたサイタマだったが、しばらくした後立ち去って行った。
「あー。良かった。」
推しに認知されるのはかなり恥ずかしい。
そう思ってしまい咄嗟に隠れてしまったアズマはサイタマが完全に立ち去った事を確認すると脱力して座り込む。しばらくその場で座り込んだ後、表情を緩める。
「今日もかっこよかった。」
巨人を一撃で倒すサイタマの姿を思い浮かべ笑みを浮かべる。
「忘れないうちにスケッチスケッチ。」
独り言を言いながらどこからか取り出したスケッチブックと鉛筆を手に記憶に焼きついたサイタマの活躍を楽しげに紙に描いていく。何枚か描いた後、アズマもその場から立ち去って行った。