星になったヒーロー 作:日暮 蛍
怪人を討伐する為に凶人は町から町へと跳んでいく。
ひたすらに怪人を討伐していくうちにサイレンの音が止み、協会からの海人情報の数が減っていく。逃げたのか討伐されたのか。様々な理由で怪人の数が少なくなってはいるがまだ残っている怪人が確認されるまでの間は凶人は討伐の手を緩める気は無かった。
次に着いたのはW市だ。
住民が避難してほとんど無人の町の中を凶人は歩く。
「あ。」
そうしていると2人の人影が見え、片方が殴られて倒れた。
「こんな時に喧嘩ですか?」
凶人は一般人の喧嘩かと思い止めようとしたが、声に気がついて振り返った相手の顔を見て考えを改めた。
「アーマードゴリラ。」
「うわっ! 怪人!?」
「アズマです。」
知人に驚かれたがもはや慣れた様子で凶人が仮面を外せばアーマードゴリラは安心した様子で話しかけてきた。
「なんだアズマさんだったか。びっくりした。」
「どうしたんですかこんなところで。」
「食材を買いに来たんだ。だけどどこも閉まってて。何か知ってる?」
「ついさっきまで怪人が出てヒーローを倒したから皆さん避難してるんですよ。ヘヴィコングっていうヒーロー、知ってます?」
「あっ。名前は聞いた事ある。」
「で、あなたがさっき殴り倒したのがそのヘヴィコングを倒した怪人です。」
「え、こいつが?」
怪人はアーマードゴリラのパンチを顔面に喰らって完全に気絶している。起きる気配はまだ無い。
「何か変な事言って襲ってきたから殴っちゃったけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ。正当防衛ですので。とどめさします?」
「いや、いいよ。アズマさんに任せる。」
「了解。では気をつけて帰ってくださいね。」
「あぁ。またたこ焼き買いに来てくれよ。」
仮面をつけ直したアズマは怪人を背負いアーマードゴリラと別れた。
「...なんか萎えちゃったなぁ。」
1人で協会支部に行く道のり、アズマは独り言を呟いた。
◆◇◆◇◆
怪人を協会支部に任せ、町を巡りまだ残っている怪人を始末した後、アズマはZ市にある自宅へと戻った。
汚れを落とし部屋着に着替えるとラジオをつけベッドの上に寝転がる。
『今回の怪人騒動の原因は未だ分かっておらず』
『金属バットの意識がつい先ほど回復したと』
『大勢のヒーロー達がやられ市民の皆さんに不安が」
ラジオのチャンネルをいじってもどの局も今日の怪人騒動のニュースばかりだ。ラジオの電源を切り体を丸める。
「ジェノス君大丈夫かなぁ。不安だよぉ。」
帰る途中、アズマはジェノスにメールを送ったがまだ返信が来ない。不安な気持ちでいっぱいだったが、ジェノスも強いヒーローだからきっと生きているとアズマは信じる事にした。
が、不安なものは不安である。
「金属バットまでやられるなんてさぁ。」
独り言をぶつぶつと。聞く者は誰もいない。
「ヒーロー達も大丈夫なのかなぁ。後遺症残らないのかなぁ。...あれ?」
自身の発言に違和感を感じたアズマは独り言を止めて顔を上げた。
「なんで他のヒーローの心配まで? ...あれー?」
自身の心境の変化に気がついたアズマは自問自答したが答えは出ず一晩が明けた。