星になったヒーロー   作:日暮 蛍 

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前哨戦

『本日未明、怪人協会を名乗る怪人の集団がヒーロー協会へ犯行声明を出した事が確認されました。怪人協会はヒーロー協会関係者の子供を人質にとり、ヒーロー協会との交戦を望んでいるようです。』

 

朝になり、ラジオをつければニュースが流れてきた。

 

「えらい事になったな。」

 

ラジオを聴きながら支度をするアズマ。

 

「大規模な作戦になるだろうな。私も参加できたら良いなぁ。」

 

ラジオの電源を切り、気晴らしにと散歩に出かけた。

 

「サイタマ様にもお声がかからないかな。...無理そうかも。ランクだけはまだ低いし。せめて私かジェノス君に声がかけられたらいいのに。ジェノス君大丈夫かな。メール、メール来てる! ...良かった治った!」

 

独り言を口にしながら手を動かしていくアズマ。

 

「それにしても、怪人協会てっなんなんだろ。怪人がたくさんいるのかな? ここみたいに。」

 

そう言ってアズマは残りの1体の怪人の首を斬り落とした。

 

「今日も怪人がたくさん。そんなに魅力的な噂なの?」

 

物言わぬ死体の山に話しかけるアズマ。もちろん返事はない。

 

散歩の途中で出会した怪人の群れを苦戦する事なく討伐したアズマは慣れた手つきで怪人の死体をいつも埋葬している場所へと運んでいった。

 

「あー。私も参加したい。」

 

ジェノスに送るメールの文を考えながらアズマはぼやいた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

怪人協会以外にもヒーローを脅かす者がいる。

怪人を自称する人間、ガロウだ。

ガロウの手によって数多くのヒーローが病院送りにされている。

 

S級ヒーローすら倒してしまったガロウ討伐の為A級ヒーローデスガトリングとデスガトリングの呼びかけに応じて集まった手練れのヒーロー達がガロウが潜んでいる小屋をつき止め連携と数の差でガロウを仕留めようとした。

だが、それ以上にガロウの粘り強さと成長速度は凄まじくデスガトリング達はガロウの手によって倒されてしまった。

しかしガロウもただでは済まなかった。銃弾を受け、毒も受け、体のあちこちに治療が必要な傷がつけられ体力がかなり消耗していた。

疲労困憊の体を引きずるように歩き傷や喉の渇きをどうにかしようとした時、上から勢いよくやって来たのは新たなヒーローだ。

 

「応援要請の信号を確認したので来た。発信源は、アイツの端末か。」

 

デスガトリングと共に戦っていたヒーロー、メガネが気を失う寸前で専用の端末を使って他のヒーローに応援を要請していた。

 

「見たところ例のヒーロー狩りか。お前を排除する。」

 

やって来たヒーローはS級ヒーロージェノス。今のガロウにとって絶望的な相手だ。

 

それでも、ガロウは怯まなかった。

 

満身創痍の身でジェノスと戦うガロウ。

ジェノスが小規模とはいえ焼却砲を使おうとした時はさすがに喰らうわけにはいかないと判断して後ろにいる負傷して動けないヒーローを盾にする動きをするが、ジェノスはガロウのその行動を無視するように躊躇なく放った。

 

「は!?」

 

これには予想外だったガロウは驚くが、それでもどうにか避けてジェノスと距離を取る。

その時に確認が出来た。

 

「誰だアイツ?!」

 

つい先ほどまでガロウの後ろにいたはずのヒーローが誰かに背負われ運ばれていくのを。よく見れば他にも気絶しているヒーロー達も一箇所に集められている。

 

「ジェノス君! ここは任せてもいいかな?」

「任せろ。」

 

ガロウには見覚えのない人物が意識の無いヒーロー達を次々と背負っていき落ちないようヒモで縛って固定して運び出そうとしている。

ガロウは止めようかと迷ったが、ジェノスの猛攻が再び始まってしまった為諦めジェノスを倒す事に専念した。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「大丈夫かなジェノス君。パワーアップしてるって言ってたけど。」

 

気絶したヒーロー達を近くの協会支部に避難させる為に走るアズマ。

 

昨日怪人にやられて再起不能になり、今朝治ったジェノスと怪人協会への対策を話し合おうと合流したアズマ。

その時にジェノスが持っていたヒーロー協会から支給された専用の端末から応援要請の信号が受信され、2人で現場に駆けつけた。

現場にはガロウがおり、周りにはガロウによって再起不能にされてしまったヒーロー達が倒れていた。アズマはガロウをジェノスに任せる事にして怪我人をヒーロー協会支部へと運んで行った。

 

その途中で、地鳴りを感じた。

 

嫌な予感がしてジェノスがいる森林公園の方へと振り返る。

そこで、巨大なムカデのような怪物が森林公園の方で蠢いていた。ムカデの怪物が動く度に地鳴りがする。

 

「ジェノス君!!」

 

アズマは戻ろうとしたが、抱えているヒーロー達をほおってはおけない。苦悩の末、アズマはとにかく走りヒーロー協会支部へと向かう。

 

「では後はお願いします。」

「ありがとうございます! せめてお名前を」

「すみません急いでいますので。」

 

協会支部に着いたアズマはヒーロー達を協会の職員に任せ、急いでジェノスがいる森林公園へと向かおうと跳んでいった。

 

「ジェノス君無事でいて!」

 

必死に友の無事を願うアズマ。

そうして森林公園に戻った時にアズマが目にしたのはムカデの怪物が消し飛ぶ瞬間だった。

 

「...えーと?」

 

とりあえず周囲の確認をし、ジェノスを見つける。ボロボロの姿ではあったが生きている事にひとまず安心する。ジェノスのそばにはバングともう1人の男性がいる。

そして離れたところにサイタマとキングの姿が見えた。

 

「サイタマ様!!」

 

あのムカデの怪物はサイタマとキングが協力して倒したのだろうと考えたアズマは満面の笑みを浮かべてサイタマ達の方へと駆け寄った。

 

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