星になったヒーロー 作:日暮 蛍
サイタマの家でアズマがお茶を淹れる準備をしている時、チャイムが鳴った。
「お客さん?」
「ワシが出るよ。はーい。...お客さんだぞサイタマ君。」
バングの兄、ボンブに出迎えられたのはフブキだった。
「あっフブキ。ほうじ茶淹れますけど、大丈夫ですか?」
「え、えぇ。大丈夫よ。」
キッチンにいるアズマに返事を返したフブキは改めて部屋の中を見た。
サイタマとキングはゲームで対戦をして。
バングは仰向けで寝て針治療をして。
ボンブは痛む膝に顔をしかめながらゆっくりと座り。
ジェノスは床に敷いた新聞紙の上で損傷した自身のメンテナンスを。
1人暮らし向けの部屋では多すぎる人数が密集しているこの状況に困惑するフブキ。
「ん? なんでお前いんの?」
「緊急事態よ!!!」
それでも困惑したままではいられない。今後の対策の為にサイタマ達の力は絶対に必要と考えているフブキは何としてでもサイタマ達と作戦会議をしようとする。
「フブキ組の皆がやられたのよ! 今回の怪人組織はかなり危険よ!! ゲームとかしてる場合じゃなくて、あんた、いま何が起きてるかわかってんの!?」
「そんなに怒鳴らなくても。さっき帰ったばっかでちょっと一服してただけじゃねーか。」
「横になるなって!」
フブキは今がどれだけ危機的な状況であるか訴えかけるが、サイタマは取り乱す事なくいつも通り過ごしている。
「先生の言う通りこっちも難敵を相手にしていたんだ。自分達だけだと思うな。」
「まぁ、それはその姿を見ればわかるけど。キングは前もいたけど、何で今度はシルバーファングまでサイタマの家にいるの!?」
「ワシも一緒に戦っとったんじゃが、サイタマ君の部屋で休ませてもらってんだ。ちょいとはしゃいだせいで腰をやっちまって動けなくなってな。」
「ワシは膝にきた。久しぶりの轟気空裂拳がこたえたな。」
「そう。それなりに修羅場だったようね。」
それゆえにフブキは困惑している。
修羅場をくぐったはずなのにいつも通りゲームをしたり寝っ転がってだらだらしているサイタマの姿を見て何故そんなに平然としていられるのかと疑問が尽きなかった。
「きっとすんご〜い強かったんでしょ!? 怪人協会の奴ら半端じゃないわ! ねぇサイタマ! 落ち着いたフリして流石にちょっとは焦ってるんでしょ!??」
「いや。別にいつものことだし。」
「はぁ!!? この状況がいつものことな訳ないでしょ!?」
「まぁまぁ落ち着いてください。お茶入りましたから座ってこれでも飲んで落ち着いてください。」
ほうじ茶を淹れたアズマが人数分の湯呑みに入れて一人一人に渡していく。
「お茶どうぞ。」
「あぁ、ありがとう。」
「バングは、ストローいります?」
「いや、このままでいい。ありがとな。」
「ここに座って! 今から皆で作戦会議を開くわよ!」
「っていうかなんでくるの。」
テーブルの前に座りべしべしと叩くフブキ。とりあえずアズマはフブキの分のほうじ茶はフブキの手が当たらないようテーブルの上に置いた。
怪人協会。
ガロウ。
2つの問題をどう解決するべきか皆で話し合う。
「そうだな、怪人集団。ガロウもそこに加わってるとなるとちと厄介だぜ。」
「あぁ。単独のガロウを襲うチャンスは二度と来ないかもな。あのムカデ並みの奴もまだ怪人側に控えてるとしたら。...駄目だな。もうヒーローやめた方がいいぞバング。」
「サイタマ氏。さっきの現場に会いたかったヒーロー狩りがいたみたいだよ。入れ違いになったっぽいけど。」
「帰り道で聞いたよ。またいっぱいヒーローが狩られたって。」
「このままヒーローが狩られ続けてしまえば怪人に対抗する術が無くなり被害が大きくなってしまいます。ガロウが怪人協会に与しているとすればさらに厄介になると私は思いますが、サイタマ様はどう思われますか?」
しばらく聞き役に徹していたアズマはぼんやりと話を聞いているサイタマにも意見を求める。
「許せん。しかも俺を狩りに現れないのが余計許せん。ハゲマントだからか?」
そう言ってサイタマはヒーロースーツに着替えて外へ出る準備をする。
「サイタマ様?!」
「サイタマ氏?」
「先生!?」
「ちょっと行ってくるわ。」
「ガロウの居場所がわかるんですか?」
「探すんだよ。ガロウって野郎を見つけ出してぶん殴ってくる。あとついでに白菜買ってくる。」
そう言ってサイタマは出かけて行った。