星になったヒーロー 作:日暮 蛍
『次はB市付近で討伐された巨大な怪人についてです。討伐したのはS級ヒーロー、キングであるとヒーロー協会は発表しました。』
ラジオから流れる早朝のニュースを聴きながらアズマは手を動かしていた。
「できた。」
出来上がったのは繊細な編みレース。出来上がったものをアズマはすぐに入れ物として使っているクッキーの空缶に入れようと蓋を開けて動きを止める。
「もうこんなに。」
缶の中にはデザインは違えど全てアズマが編んだレースでいっぱいだった。
「そういえば他のも。」
今度はタンスを開ける。中に入っていたのは無地から柄ものの布。どの引き出しにも大きな布がみっしりと収納されている。
そして次にタンスの横にあるクローゼットを開ける。中には刺繍やフリルがついた派手な服がたくさん並んでいた。
クローゼットを閉め、タンスを閉じ、片付けを終えるとアズマは椅子に座ってため息を吐いた。
「...ぬいぐるみでも作るか。」
そう言ってレースを入れていたものとは別のクッキーの空き缶の蓋を開けて中を確認する。中にはボタンやビーズが入っているが、先ほどと違ってこちらはほんの少ししか入っていない。
「買いに行くか。でもまだ店開いてない。暇だしパトロールしよっと。」
独り言を続けながらアズマはすぐに着替えて外に出て手芸店が開店するまでの間は町中を歩いて時間を潰し、開店した後は目当ての物を買った後別の町の手芸店に向かうのを何回か繰り返した。
そろそろ帰ろうかなと思っている時、家電店の前に通った時に気になるニュースを見た。アズマが住んでいるZ市に大量の蚊が発生したそうでニュースでは大量発生した蚊の大群の危険性を伝えていた。
「へぇ。いいね。」
それを見たアズマは笑った。
そしてそのままZ市へと戻って行った。
◆◇◆◇◆
Z市に到着したアズマは蚊の大群から人々が避難して無人の町中を歩き回った。しかし蚊の大群は見つからない。
「いない。サイタマ様がやったのかな?」
来た道を引き返し、多発する怪人被害から逃げるために人々が手放したゴーストタウンを歩きながらアズマは蚊の大群を探している時、遠いが空に浮かぶ黒いものを見た。
「ん?」
一瞬雲と見間違えたが、よく見れば蚊の大群が密集して1つの塊に見えていた。
「あそこか。」
アズマはすぐに向かおうとしたが蚊の大群が地面に向かった瞬間、大爆発が起きた。
アズマがいる場所からでは何が起きているのか分からない。爆発が終わった後、アズマは爆発地点へと向かって走る。その途中で爆発地点の近くにあったビルがいきなり半壊したのを目撃した。
「え? さっきから何が起きてるの。」
それを知るためにアズマは走って向かう。
しかし着いた時にはもう終わっていた。現場には爆発跡しかない。
蚊の大群はあの爆発で全て死んだ。しかしなぜ?
現場を見てもアズマにはその原因が分からない。
「もう帰ろうかな。」
何も分からないままだがここにいても何も分からないためアズマは家に帰ろうとした。
「ん?」
その時にふと空の方を見ると何かが飛んでいるのを見つけた。蚊の大群ではなく巨大なドローンだった。そしてそのドローンの下には何かがぶら下がっていた。
「人?」
欠損している人の姿をアズマは目視することが出来た。
「ここに人?」
少し気にはなったが知らない人に話しかける理由がないアズマはドローンの姿が遠くなって行くのを見た後、家に帰って行った。