星になったヒーロー 作:日暮 蛍
「んー。」
凶人は困っていた。
現在凶人は怪人協会のボスと思わしき怪人に引っ付き共に空を駆け回っていた。
怪人を倒そうと他のヒーロー達も頑張っているなか、凶人は自身も何か他に出来る事はないかと考えていた。
瓦礫にぶつけられ時々光線を受けてもへばりつき、サイコスの光線による攻撃は凶人が手を突っ込み阻止しているが、今のところそれくらいしか出来ていない。踏ん張れずしがみつくのが最優先な為普段通りとはいかず決定的な攻撃を与えるのが難しいのだ。
しかし、遠目からでもジェノスとタツマキは限界でいつ倒れてもおかしくない。その前に決着をつけねばならないと凶人は思い、自分がどうにかしようと考えた。
「...あ! そうだ。」
考えて考えて、ある事を思いついた凶人は医療器具のメスを取り出し、それをサイコスの身体に突き刺した。
「ぎゃっ!!? この、いい加減にしろ!」
恐怖よりも怒りが勝った事でサイコスは光線が効かなければ捕食しようと自身の体を変形させ巨大な口を作り、そのまま凶人を取り込もうとした。
「あっ。ラッキー。」
しかしそれは凶人にとって好都合だった。
怯む事なく口内にメスごと腕を突っ込み、鋭い歯が凶人を捕えるが気にせず奥を弄る。
「いぎっ!」
不快感と微かな痛みがサイコスに伝わり、急いで凶人を噛み砕くか飲み込もうとするが、びくともしない。
「んー。これかな?」
「何を」
凶人がサイコスに気づかれないようメスを動かして肉体の中を切り裂き、目当てのものを感触だけで探り当てるとそれを思いっきり握り込んだ。
そこは、サイコスの神経が多いところだった。
「イッギャアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!???」
サイコスは叫び声を上げ、痛みに悶え苦しむ。
「すみませんこんな方法で。でも今の私にはこれくらいしか出来なくて。本当にすみません。」
サイコスの絶叫にかき消されながらも凶人は心底申し訳そうにしながらもサイコスの神経と痛覚を刺激し続ける。
「嫌なら頑張って食いちぎってくださいねー。」
恐怖と痛みによって集中出来ずまっすぐ飛ぶ事が難しくなる。そんなサイコスに突如巨大な瓦礫がぶつかる。
「ん? ...あっ! タンクトップマスターだ。」
瓦礫を投げたのは病院から抜け出して合流したタンクトップマスターとそれを補佐するフブキだ。
続けて投げられた瓦礫も全てサイコスにだけ当たり、機動力が低下する。
「離れろ凶人!」
そして、そう遠くないところから聞こえたジェノスからの要望を叶える為に凶人は即座に手の動きを変える。
「ギャア!」
それによって凶人を捕らえていた口の力が一瞬緩み、その隙に凶人は抜け出して今まで張り付いていたサイコスから離れ、空中へと放り出される。
「お、おぉ!?」
突然凶人が離れた事に驚きつつもトラウマの元が離れた事で少し安心感を得たサイコスだったが、そのすぐ後に駆動騎士とジェノスによる集中砲火を浴びされる。
その後、立て続けにアトミック侍、ぷりぷりプリズナー、超合金クロビカリからの連携攻撃を受け、このままではまずいと判断したサイコスはオロチと分離する。
最後に残されたオロチはバングとボンブの連携攻撃を受け、タツマキによってトドメを刺されその命と野望が潰えた。
「ジェノス君、大丈夫かな? 身体、ばちばち光ってたけど。」
その一部始終を空の上から眺めていた凶人はヒーロー達の活躍に感服し、落下しながらジェノスの身の心配をしていた。