星になったヒーロー   作:日暮 蛍 

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輝き

「...すごい。」

 

強力な広範囲攻撃が可能なホームレス帝を無力化させる為にあえてゾンビマンが潜んでいる場所に一度注目させて何もないと錯覚させ、ホームレス帝の正体をバラし動揺を誘う事でゾンビマンのアシストをし、エビル天然水の特性を一目で見抜き殺気を消し、黒い精子との対決までに持ち込んだ。

 

戦闘力だけではなく洞察力もずば抜けており、一歩も動かずに戦況を大きく変えたキングの影響力に凶人は無表情の下で感嘆する。

ゾンビマンに押さえつけられているホームレス帝を見て、凶人は大きく息を吸って、吐いて。気持ちを落ち着かせ、殺意を一旦抑えた。

 

「ふー。」

『みんな、少しだけ耳をかして。』

 

耳元で童帝の声がして無表情のまま驚き一瞬体を揺らす凶人。

 

『データを基に作戦を立ててみたんだ。』

『童帝くん。』

 

視線を向けれはてんとう虫の形をした機械が凶人の肩に止まっており、そこから小さくはあるが童帝の声が聞こえていた。

 

『早いな。』

 

怪人達に聞こえないよう小声で話すアトミック侍達。

 

『怪人達が一直線上に並ぶように僕らで挟撃するんだ。倒さなくてもいい。』

『人工衛星からビームで薙ぎ払うとかか?』

『そうではないです。ハッキングされた時のリスクが大きすぎる遠隔兵器は作らない主義なので。そんなものより今の僕達にはキングさんがいます。』

『...そういう事か!』

「どういう事ですか?」

 

皆が何かを察しているのは分かったが、凶人にはまったくピンと来ていないので質問をする。

 

『幅15m内に怪人達を誘導したら、スーパースパーキングキングモード(SSK)のキングさんの限定必殺奥義、煉獄無双爆熱波動砲で跡形もなく消滅させる! これなら弱点の見当たらなかった凶悪怪人やまとめて倒せる!』

「それって、そんなに凄いんですか?」

『そりゃあもう凄いですよ。』

「おぉ。」

『今ちょっと糖分が足りなかったけどなんとか成立する作戦が閃いてよかった!』

 

1人の人間がそこまで強力な必殺技を持っている事を聞かされた凶人は期待から目を輝かせる。

 

「キング。」

 

童帝が作戦の伝達を終えた時、黒い精子は動き出す。

 

「11兆4491億69万7514体。今俺の中に潜在する俺の数だ。そして黄金精子の43兆。あわせて54兆。全ての俺を倒せるか?」

「,,.数字を言われてもな。どうかな。」

 

途方もない数を聞かされてもキングは臆した様子を見せない。

 

「いくぞオラッ! 54兆究極合体!!」

 

その姿を見て、黒い精子達はさらなる合体を決行した。

 

『合体!?』

『オイッ! さらに強化する気だぞ! どうする!?』

『キングさんチャンスです!』

 

てんとう虫型の機械から聞こえてくるヒーロー達の声を意に介さず、凶人はじっと合体する黒い精子達の姿を見つめていた。

 

「綺麗。」

 

54兆の命が自我を奪い合い、溶け合っていく。54兆の命が1体の生命体へと凝縮される。新たな命の輝きが今、誕生しようとしている。

その様を見て不適切な、しかし心からの言葉を凶人は無意識に出していた。

 

『今なら水怪人、合体怪人とキングさんは直線上です! 煉獄無双爆熱波動砲を早く!!!』

 

童帝は急かすが、キングは静観している。

 

合体が完了し、ヒーロー達の前に新たな怪人が爆誕した。

 

名は、白金(プラティナム)精子。

その名の通りの輝きを放っていた。

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