星になったヒーロー 作:日暮 蛍
ムカデ仙人を追いかけるガロウと凶人。
その道中、今にも崩れそうなビルを足場にしてムカデ仙人に飛び掛かる人影が見えた。
「あっ金属バット!」
「何!?」
タンクトップマスター達と同じように病院から抜け出してきた金属バットは自分の武器であるバットでムカデ仙人をめった打ちにするが、ムカデ仙人の装甲にヒビを入れる事すら出来ず弾き飛ばされる。
「うわぁっ!? 大丈夫?」
「あ!?」
走っているガロウと跳んでいる凶人のすぐ目の前に落とされた金属バットはすぐに起き上がり、凶人の声に反応して振り向く。
「てめェは...ヒーロー狩り!!」
ガロウと目が合い、すぐに正体に気がついた金属バットはバットを構える。
「まァた邪魔しよーってのか!?」
以前、今回のとはまた別の巨大なムカデの化け物と戦っていた時にガロウが乱入してきて襲ってきた事をはっきりと覚えている金属バットは今回も自分に襲いかかってくると思いガロウに向けてバットを振るう。
「今それどころじゃねぇ!」
しかし金属バットの予想とは裏腹にガロウは金属バットからの攻撃をあっさりと避けて通り過ぎる。
「あ!?」
「金属バットも手伝ってください!」
凶人は金属バットの頭上から言い、飛び跳ねてムカデ仙人を追いかけて行く。
金属バットから見れば素顔を晒している今の凶人は知らない人物だ。
「何なんだいったい!」
何が何だか分からない金属バットだったが、考えるよりも先に体が動く方が圧倒的に多い金属バットはとりあえず2人を追いかけた。
ムカデ仙人の身体に飛び移った3人は頭上に向かって行く。
「ヘッ! すっかり怪人化したよーだなァ。本性表したってワケか!! 今度は逃さねーぞ!」
「金属バットにも喧嘩売ったんですね。」
うるさいのに鉢合わせたなと思いながらも、頭数は多い方がいいと考え直しているガロウを先頭にムカデ仙人の頭を目指している途中、報道ヘリが大きなプロペラ音を立てて近づいてきていた。
「ちょっとあれ、危ないんじゃないんですか!?」
凶人の心配は的中し、ムカデ仙人は報道ヘリを鬱陶しそうに触腕を使って払い落とそうとする。
真っ先に飛び出した金属バットがバットを使って触腕の攻撃を受け止め、ガロウが報道ヘリに飛び移り
「うせろ!!」
と怒鳴り報道ヘリに乗っている人達を脅して遠ざけた。
その様子を見ていた金属バットは唖然としていた。
ムカデ仙人に先ほどのように何度も攻撃を浴びせた後、ガロウは地面に降り立つ。
「どーなってんだ!? 怪人のクセにヘリを避難させたり怪人をぶっとばしたり。人間の時より分別あるじゃねーか。」
「うるせーよ。俺の恐ろしさを世界中に報道させた方が都合がいいっつうだけだ!」
凶人がバトルアックスを振るってムカデ仙人の装甲を剥がして肉を抉ってダメージを与えてムカデ仙人の注意をそらしている間、金属バットはガロウに真意を問う。
それに対してガロウはぶっきらぼうに答え、背後を指差す。
「んな事よりこのデカブツの狙いはあの救助ヘリだ。」
「あ!?」
「てめえらが保護したガキが乗ってる。ヘリが逃げ切るまで時間を稼ぐぞ。アテになんかしてねーがヒーローなら囮くらいにはなりやがれ。」
「なに指図してんだエラソーに!」
ガロウからの提案に背中を蹴り飛ばして断る金属バット。
「何の心変わりか知らねーがさんざんボコッて来やがった怪人と手ェ組む訳ねーだろ! 大体てめーのせいで前のムカデも仕留め損なってんだ! 一人でやるからひっこんでろタコ!!」
「ハァー!? 人間のオレにボロ雑巾にされたザコがいきがんなボケ! ワガママぬかしやがって、ガキの救出が最優先の筈だろーが! S級ヒーローが聞いてあきれるぜ!!」
「喧嘩してる場合じゃありません。ムカデが来ますよ!」
ムカデ仙人に吹っ飛ばされて、2人が喧嘩している様子を頭上から見た凶人はムカデ仙人が2人に向かって突進してくるのを注意する。
「子虫どもが何をゴチャゴチャと!」
凶人の注意が耳に入らず睨み合っている2人を牙で両断しようとするムカデ仙人を
「「ウルセー!!!」」
足技とバットで同時にぶっ飛ばした。
「...息ぴったり。」
着地をした凶人は金属バットとガロウの2人を見て案外相性が良いのでは? と考えたが口にはしなかった。2人のやり取りを見て、言えば確実に2人を怒らせると察したからだ。