星になったヒーロー 作:日暮 蛍
生前のアズマは全く気が付いていなかったが、アズマの血液は猛毒だ。
これまでの服毒や怪人からの毒に加えて返り血を浴びまくった影響と肉体のリミッターが外れた事でアズマの血液は凶悪で特殊な毒へと変貌した。
その毒には意思が宿っていた。
粘膜、皮膚、空気。
あらゆる方法を使って対象に感染し、免疫細胞を破壊し、細胞を変質させ、あらゆる病を引き起こす。
アズマが敵対する対象のみを狙い、無関係の者には一切危害を加えない。
アズマが死んだ時に発動する極悪な罠であり、アズマの一生涯を掛けて生み出された遺作だ。
「それが
以上の説明を簡潔に説明した
ガロウの目の前にいるのは幻覚と幻聴だ。毒が確かに効いている証拠だ。
「ふざけるな!」
そんな毒があるか! と言わんばかりにガロウは手を払い
「無理だよガロウ。君、
「このっ消えろ!!」
「そんな事しても無駄だよ。君が今見ている
ガロウは何度も殴りかかるが、
「な、何をしているんだ!?」
感染していないブラストはガロウが何もない空間を突然殴り始めた事に困惑している。
「
「君はどんな風に死ぬのかな? 衰弱しちゃうのかな? 大量の血を吹き出すのかな? それとも、徹底的に苦しんで死ぬのかなぁ?
生前のアズマのように狂喜している
「ふ、ふざけるな。こんな、終わり方。まだ、俺は」
誰もが恐怖する象徴、絶対悪になれたというのに、目的を果たす前に猛毒によって死ぬ。
その事実にガロウは震える。
戦って死ぬというのであればまだ納得が出来た。しかし、気がつけば毒に侵され、自分の命を訳の分からない存在に握られている事にガロウはとてつもない恐怖に支配されていた。
ガロウの絶望を感じ、笑っていた
「でも殺さない。」
唐突に無表情になり、瞳孔を開いた両目でガロウの顔を見つめる。
「...は?」
「ほんとは
そう言って
「
そうしてあっさりと姿を消した
いつの間にか、真っ黒な雨粒が降っていた。
「君はさっきの!? 来るんじゃない!」
ブラストの声に反応したガロウが振り向いた先には、黒い雨に濡れているサイタマが立っていた。
「...ほらよ。」
ガロウがサイタマに投げ渡したのは、アズマの返り血がついたジェノスのコアだった。
「ジェノス。」
それを受け取ったサイタマは、ジェノスの名を呼ぶが、返事は返ってこない。
「アズマ。」
アズマの名を呼ぶが、返事は返ってこない。
「...俺はつくづくヒーローの勘っての? ねえんだなあ。」
来る。
サイタマの本気を引き出す為、2人の命を奪ったガロウは、いつでも動けるように身構える。
「見せてやるよ。お前のヒーローを倒す瞬間を。」
誰にも聞かれない声量で身体の中にいる
「こ、このエネルギーは!? ヤバい!! 地球が砕けるぞ!!」
サイタマとガロウの最終決戦が今、始まった。