星になったヒーロー 作:日暮 蛍
身体に宇宙を宿している。
それ以外に表現しようがない風貌の男がヒーロー達の前に現れた。
何名かが男がガロウである事に気がつく。
その姿を見た途端、ヒーロー達は理解した。
あの爆発を引き起こしたのは目の前にいるガロウの仕業である事を。
そして、肌から伝わるプレッシャーにほとんどのヒーロー達は悟った。
敵わない。
圧倒的な力の前にヒーロー達は怯え、腰を抜かし、逃げようとする者までもがいた。
それは仕方がない事だ。それほどまでに今のガロウは異質な強さを、圧を周囲に放っている。自ら命を捨てにいくようなものだ。
「...ありが」
それを真っ先にしたのが凶人だった。
理想の力を手にし、空に向かって何かに礼を言おうとしたガロウに向かって凶人は飛びつき胴辺りに抱きついたまま足に思いっきり力を込めて跳ぼうとした。
「あ、あれ?」
しかし、抱きついたまではいいがビクともしない。
「え?」
顔を上げれば目の前にサイタマがいて、
「え??」
ガロウはサイタマによって殴り飛ばされていた。
「え???」
唐突な事態に混乱する凶人はもう一度サイタマの方へと視線を向ける。
「サ、サイタマ様?」
サイタマと目が合った時、凶人はある事に気がついてしまった。
サイタマが、全裸だ。
抱きついている事でサイタマの素肌の感触が伝わってくる。その事実に顔を真っ赤にし体を硬直させて黙り込んでしまう凶人。
「へぶぅっ!!?」
なので、サイタマが急速な勢いで離れた事で凶人は体のバランスが崩れて勢いよく地面に顔面を叩きつけた。
「なん、何で!? サイタマ様、全裸? 裸!? え? ええええええぇっ!!?」
そのおかげで体の硬直が解けた凶人は勢いよく起き上がり、どうにか目の前で起きた事態を飲み込もうと必死になる。
神の力、神通力を宿していたガロウはサイタマに吹っ飛ばされた影響でその力は抜けていき、サイタマはどこかへと飛んでいってしまった。
「えっと。えっとぉ。」
どちらを優先すべきか迷う凶人だったが
大丈夫。
そんな言葉が強く頭の中に浮かび上がり、凶人はその言葉に背中を押されるように足に力を込めてサイタマが飛んでいった方へと跳んでいった。
「あっ! いた!」
跳んで行けばサイタマはさほど遠くまで飛んでおらず、ひと足先に駆けつけていたジェノスと共に地面に座り込んでいた。
遠目からだが、サイタマはヒーロースーツを着ていた。
「サイタマ様! ジェノ」
先ほどの全裸のサイタマの姿は見間違いだと安心しそのまま跳んで2人の元へと向かおうとする凶人だったが、このタイミングで厚底の靴が壊れてしまい
「ぎゃあああっす!!?」
もんどり打ってそのまま2人の元へと転がり倒れた。
「うう。」
「オイ大丈夫かアズマ!?」
「は、はい。すみませんこのような醜態、を...」
顔を上げて、アズマは目の前のものに言葉を詰まらせた。
サイタマは確かにヒーロースーツを身につけていた。
しかし遠目から見た時はジェノスが影になっていて分からなかったのだが、股間の部分が破れており、丸見えだった。
それを至近距離で見たアズマは、眼帯の下から血が溢れ出した。
「アズマぁ!!?」
「おいどうした!??」
前触れなく出血するアズマに動揺するサイタマとジェノス。
アズマはすぐさま起き上がり座り込んだ状態で2人から背を向ける。
「え、あの、その。ありが、じゃない! すみませんその、み、見て、その。あのえっと、そのぉ。」
顔を真っ赤にして片目を泳がせてしどろもどろで言葉を紡ごうとしている。
その間、血は垂れ流しでアズマの服を濡らしている。
「しっかりしろ!!」
「やはりかなりのダメージを。一旦横になれ!」
「待ってぇ!! お願いだから待ってえええっ!!!」
アズマは一旦2人から距離を取ろうとして、厚底の靴が壊れている事を忘れて立ちあがろうとしてそのまままた派手に転んだ。